成約率を爆上げさせた“資料”の正体

執筆者:昆 知宏
   

私はFPとして長年、さまざまな営業資料を作ってきました。

セミナー資料、提案書、ライフプラン表…。けれど、正直なところ、成約率を大きく押し上げる「決め手」になる資料はなかなか見つかりませんでした。

そんな中、ある取り組みをきっかけに、面談時の成約率が一気に上がったのです。それが今回お話しする「お客様の声をガチで取材して作る冊子型の事例資料」です。

まず、この資料の特徴は「リアリティの塊」であること。

一般的な“お客様の声”といえば、2〜3行の感想文や、ちょっとしたコメントが多いでしょう。しかし今回の資料は違います。90分程度のインタビューを行い、そこから6,000〜10,000文字の文章を作成します。つまり、1ページのコメントではなく、1人のストーリーとして読ませる構成にするのです。

さらに、可能な限りお客様の顔写真を掲載します。顔が難しい場合でも、後ろ姿や打ち合わせ風景など、人物の存在感が伝わる写真を必ず入れます。この写真の有無が資料の説得力を大きく変えます。「この人、本当に存在するんだ」と直感で伝わるからです。

「ガチ取材」だからこそ響く物語を作る

この資料は、ただのアンケート集ではありません。ガチ取材です。こちらから深掘り質問を重ね、お客様がどんな課題を抱えていたのか、なぜ相談したのか、何が決め手で契約に至ったのか、そして今どう変わったのか。これらをすべて引き出します。

聞き方のポイントは、事実と感情の両方を押さえることです。事実だけでは無機質なレポートになり、感情だけでは信憑性が薄れます。数字や時期、金額の変化を押さえながら、その背景にある想いや悩みをしっかり書きます。

文字量は多ければ多いほどリアリティが増します。短いコメントは、どうしても広告感が強くなりますが、長文のストーリーは小説や記事のように自然と読み進められます。そして、読み手は「この人と自分は似ている」と感じた瞬間、急に距離感が縮まります。これこそが成約率を押し上げる一番の要因です。

フロントエンドとバックエンドを分ける理由

この資料を作る際、必ずフロントエンド用とバックエンド用を分けて作成します。

フロントエンド用は、サービスを検討している層にWEBで示す「入り口」資料です。内容は導入部分を中心に、まだコンサルティングの詳細には踏み込みません。お客様が「もっと聞きたい」と思うレベルで止めることが大切です。

一方、バックエンド用は契約直前のプレゼンテーション時に使います。こちらには詳細な数字、解決策、契約後の変化などを具体的に載せます。フロントエンド資料で興味を持ったお客様に対し、バックエンド資料で最後の一押しをするイメージです。

この差別化が重要なのは、資料の役割がまったく違うからです。フロントエンドは興味を喚起するツール、バックエンドは背中を押すツール。両者を混ぜてしまうと、初回で情報過多になり、売り込みと感じられることが多く逆に成約が遠のくこともあります。

渡し方で効果は倍増する

ここまで作った資料は、必ずカラー印刷して製本します。

安易にプリンターで印刷したものをクリアファイルに入れて渡すのはNG。見た目が安っぽくなり、せっかくのコンテンツ価値が半減します。おすすめは100円ショップで売っているレールファイルです。厚みが出て、しっかりと「冊子感」が出ます。紙質も上質紙にするとより高級感が増します。

ポイントは必ず印刷物を手渡すこと。画面共有やタブレット表示だけでは記憶に残りにくいのです。紙の資料は「持ち帰れる営業マン」として、お客様の家や職場で再び開かれる可能性があります。そして、そのたびに「やっぱりこの人にお願いしよう」という感情が育ちます。

私の実感では、この資料を導入してから、初回面談後の成約率は50%アップしました。しかも、押し売り感ゼロで契約に至るケースがほとんど。リアルな声とストーリーの力は、想像以上に強いのです。

もしあなたが今、「もっと自然に、でも確実に成約率を上げたい」と思っているなら、この“ガチ取材型お客様事例集”を試す価値は大いにあります。ぜひお試しください。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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