税理士にできなくてFPにできること

つくばの自宅より
執筆者:石塚駿平
  

最近、頑張って会社財務の勉強をしています。

僕は元々、

『少ない資本で、借金をせずにビジネスを大きくする!』

という考えで独立をしたので、融資などは全然興味がありませんでした。

しかし、コロナの時にコロナ融資を利用して考え方が変わってきたのと、主催をしている法人顧問FPプロジェクトの影響で財務に目覚め、徐々に勉強をするようになったのです。

今までは『借金をするのは怖いな・・・』というくらいだったのですが、財務を学ぶと、銀行の考え方や銀行との付き合い方というのは思っていたよりも違っていて、学ぶことが多くありました。

『借金は返さなくても良い』という考え方があることや、『借金があっても現金がたくさんあれば銀行からの評価は悪くならない』という考え方はあまり知りませんでした。

そして、学んだ内容の中でも一番驚いたことがあります。

それは何かというと・・・

一番驚いたこと

税理士は財務のことをほとんど意識していないということです。

税理士というのは、一般的には会社のお金のことをわかっている専門家という風に理解されていますよね。

なので、多くの中小企業の社長は『税理士に任せていれば安心』と思っていたりします。

しかし・・・

現実はそんなことはありません。

実際に、何人かの税理士に融資について突っ込んだ質問をした時に、言葉を濁されることがありました。

会社の財務状況を良くして企業価値を上げたり、融資を有利な条件で引き出す為には何が必要かというと、

『しっかりと利益を出すことができる会社』

であることを示すことです。

赤字の会社や、利益がちょっとしか出ていない会社は、外から見るとちょっとやばい会社です。

銀行から見ると、そんな会社に良い条件で融資をするということはありません。

自分が株式投資をするのであれば、赤字の会社よりも、潤沢に利益が出ている会社の方が魅力的ですよね。

税理士がしなければいけないアドバイス

そんな中、税理士が決算月にするアドバイスは何でしょうか?

それは、

『利益を圧縮して節税をしましょう』

というアドバイスです。

これは、経営者が税理士に求めているアドバイスでもありますよね。

当然ながら税理士はこの要望に答えなければいけませんし、適切な節税の提案を怠ることは違反であり、裁判に発展して負けることもあるようです。

以下、裁判での判決を一部引用します。

東京高裁(平成7年6月19日)

・税理士は税務の専門家であるから、税務に関する法令、実務の専門知識を駆使して、依頼者の要望に適切に応ずべき義務がある。

・すなわち、相続税の修正申告手続を受任した場合には、善良な管理者として依頼者の利益に配慮する義務があることはもちろんであり(民法644条)、税理士法上の義務として、法令に適合した適切な申告をすべきことは当然であるが、法令の許容する範囲内で依頼者の利益を図る義務があるというべきである。

当然、節税のアドバイスを提供する

こんな風になっているので、税理士としては節税の提案をする訳です。

真剣さは税理士によって変わりますが、

『利益を圧縮して税金を抑えよう』

という方向のアドバイスになるのは間違いありません。

しかし、会社の財務状況を良くして有利な融資を受け事業を拡大したり、将来的な売却に向けて企業価値を高めるためには、節税というのはマイナスになります。

つまり、税理士というのは、短期的に見るとプラスのように見えるけれども、長期的な財務の観点から見るとマイナスになるアドバイスをする存在であるということが言えるのです。

ただし、税理士が悪いわけではない

もちろん、税理士が悪いと言っている訳では全くありません。

税理士は経営者のことを考えてアドバイスをしていますし、税理士の存在は会社経営にとって不可欠です。

僕が言いたいことは、長期的な財務の目線を持って考えると、税理士の言うことを鵜呑みにせずに会社経営をした方が良いということです。

端的に言うと、損益計算書(PL)ではなくて貸借対照表(BS)を重要視した経営をするのが大事になってきて、これは財務を勉強するとすぐによく分かる話だと思います。

しかし、世の中の多くの税理士はそこまで踏み込んだアドバイスができておらず、重要性はわかっていても

『税務顧問の範囲内でそこまではできない・・・』

と思っている人がほとんどでしょう。

FPが活躍できる可能性のある分野

この状況というのは、FPにとってはチャンスです。

なぜなら、アドバイスの重要性がそこにあるにも関わらず、その潜在的な需要を満たすアドバイザーが存在していないからです。

この分野というのは財務アドバイザーがいたり、一部の税理士や会計事務所がやっている所ですが、一般的な中小企業まで普及しているとは言い難いでしょう。

なので、FPが会社財務のことを理解してアドバイスができるようになれば、大きな価値を提供することができると思います。

財務のことをしっかりわかっていると、資金繰りで悩むことがなくなったり、手元の現金を増やして有効な投資に回したり、売却時の価格を大きく上げたりなど、様々なことができるようになります。

このアドバイスだけでも、月に10万円くらい顧問料を頂けるものであるのは間違いありません。

また、財務を完璧にしなくても、大枠を理解して正しい方向性をアドバイスできるようにして、細かい業務は専門家に任せるという形でもいけるはずです。

今はYoutubeにも情報がたくさん出ているので、財務関連の動画をたくさん見て本をいくつか読むだけでも、大部分の経営者よりも詳しくなることができます。

この分野というのは、FPにとって可能性のある分野だと感じるので、もし興味があれば深堀りしてみてください。

P.S.

この財務の分野を含め、会社経営者の個人資産と法人財務を見ることで高額のフィーを頂くことができる法人顧問FPを育成するプロジェクトのプレセミナーを近日中にご案内する予定です。

たくさんの成果が出ている面白いプロジェクトなので、楽しみにしていてくださいね。

石塚 駿平
株式会社FPライズ代表。独立FPに専門特化したコンサルティング、セミナー開催などを行っている。現在は依頼のほとんどを断っているが、相談料5万円の住宅相談をネットから月10名集客、開業コンサルティングを行なったFPが独立後15日で100万円以上の売上げを達成など、多くの成果を上げている。

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