つくばの自宅より
執筆者:石塚 駿平
以前からですが、グーグルの検索結果にAIによる概要が表示されるようになりましたね。
この他にも、ヤフーニュースのコメントやアマゾンのレビューなど、色々なものにAI要約が表示されるようになってきています。
こういった流れはこれから加速していくと思うのですが、グーグルがこれをやっているというのは非常に驚きです。
なぜかというと・・・
グーグルのビジネスというのは広告であり、検索結果に表示された広告やウェブサイトの中の広告をクリックした時に収益が発生する様になっているからです。
検索してすぐにAIが答えを出し、その結果にユーザーが満足してしまったら、そこで検索行動は終了してしまいます。
つまり、グーグルに収益は入りません。
なので、AIによる概要表示というのは自分の首を絞める行為に他ならないのです。
グーグルのビジネスは大打撃を受ける
アメリカのITアドバイザー会社のガートナー社によると、2026年までに従来の検索エンジンは生成AIによるチャットボットや、その他のバーチャルエージェントにシェアを奪われ、利用されるボリュームが25%減少すると予想されるそうです。(2024年2月の発表です)
グーグルの広告収入は全体の80%以上であり、単純計算ですが売上が20%減ってしまったら大打撃ですよね。
2024年の売上を考えると、約10兆円の減収ということになります。
数字が大きすぎてよくわかりませんが、そういった売上減少が見えているにも関わらずAIによる要約を導入しているというのは考察に値すると思います。
一番の理由は、AIの会社に置いていかれないようについていく必要があるからなのでしょう。
そうしないと日進月歩のインターネットの世界で生き残れないので、自分の首を絞めながらも進んでいく必要性があるのだと考えられます。
ビジネスの機会が消滅することはない
グーグルはこういった変化になんとかついていきながら、生き残りの可能性を探っていくのだと思います。
生成AIは一時代を築いたグーグルのビジネスをぶっ壊す可能性を持っているので、動向に注目したいですね。
そして、検索にかける時間が25%以上下がるという話をしましたが、だからといって人々がインターネットにかける時間が少なくなるわけではありません。
むしろ、スマホ依存が進んでインターネットを使う時間は増えるので、ビジネスの機会自体が消滅することはないでしょう。
検索にかける時間が少なくなって、生成AIに関わる時間が多くなる。
そうなってくると、生成AIの方も何かしらの形で多大な収益を生むでしょうし、その動向については、FPビジネスにも関わってくるので注目していきたいですね。
生成AIのビジネスモデル
今の所、チャットGPTに代表されるような生成AIの収益方法は2つ考えられます。
1つは、月額課金モデル。
月にいくらか料金を払えば、そのAIを使えるようになるというモデルです。
チャットGPTは基本機能は無料で、利用を無制限にすると有料というモデルになっていますよね。
今はAIの浸透時期なので、多くの人にAIを使ってもらい、まずは便利さを実感してもらう。
そして、ほとんどの人がAIなしで生きられないという状態になったら、無料部分をどんどん有料にしていくという流れが考えられます。
これは、多くのビジネスで機能している方法なのできっとそうなるでしょう。
近年では家計管理の中におけるサブスクリプションの管理が重要性を増していますが、その中にさらに
『どのAIにお金を払うか、一緒に考えていきましょう』
と、FPがアドバイスをする未来がやってくるような気がします。
FPにチャンスが来る可能性がある広告モデル
もう1つのモデルは、広告モデルです。
AIを利用している画面の中や、出力をしたテキストの中や後に広告を入れるという形ですね。
こちらはまだ一般的ではないですが、どんどん増えていくとは思います。
チャットGPTと同じような生成AIのPerplexity AIは、広告モデルを実践するようで、回答を出力した後の『関連する質問』という所に広告を表示させるようです。
また、対話型のAIという特徴を活かして、対話の内容によって広告を表示させたり、『他の人はこんな質問をしていますよ』という候補を出して、それを選ぶと商品やサービスの紹介が出るという広告も出てきそうですね。
人々が検索から生成AIにシフトしていき、それに合わせて使う時間も増えていくとそこにまたビジネスチャンスが生まれます。
どう収益化するのかはまだ手探りな状態だとは思いますが、月額課金モデルか広告モデルになる可能性が高そうですね。
特に広告モデルの方は、FPビジネスを宣伝する機会が生まれる可能性があります。
お金に関する質問は絶対に多いでしょうし、AIには一般的な回答はできるけど個別具体的な回答は当面難しいので『専門家に相談してみてはいかがでしょうか?』という流れはイメージが付きやすいです。
こういった時代の流れをしっかりと理解していると、いざビジネスチャンスが自分の時に来た時に掴みやすくなるので、ぜひ把握しておきましょう。