つくばの自宅より
執筆者:石塚 駿平
『ナレッジワーカー』という言葉を聞いたことがありますか?
ピーター・ドラッカーが提供した概念で、
"自らが持つ専門的な知識を用いて、既存の情報を分析・統合し、新たな価値や成果を生み出す労働者"
のことを指します。
こう考えると、FPというのは典型的なナレッジワーカーですよね。
顧客とFPの間に、知識や情報の格差があれば、その格差がFPの持つ価値になるわけです。
これは普遍的な原則のようなものですが、AIが登場してからどんな人でも高いレベルの知識を得ることができるようになってきました。
そして、AIはこれからもっと進化していきます。
例えば、AIの質問に答えるだけでわかりやすいキャッシュフロー表が出力されて、改善点も提案されるとしたらどうでしょうか?
FPが持つ価値が、脅かされてしまいそうですよね。
どう対処すればいい?
今はまだそのレベルではありませんが、きっと近い将来にAIはそういったことができるようになっているでしょう。
こうなった時にどのようにして自分のFPとしての価値を保つのか?
という命題は、FPとして仕事をするのであればこれからずっとついて回る問題であることは間違いありません。
僕がおすすめする方法の1つは、メルマガでも何度もお伝えしていますが、
『提供する価値の次元を上げる』
というものです。
ただ知識を提供するだけではなく、顧客が気づいていない問題を先回りして解決したり、顧客が持っている価値観を引き出して幸せな人生を送るサポートをする。
そういった価値が提供できるFPになれれば、自分の価値を保ち続けることが可能です。
個人的にはこれが王道だと思っているのですが、FPが提供できる価値というのはまた別の方向性があったりします。
お金を頂ける別の方向性
それはどのようなものかというと、
『顧客の代わりに面倒なことをやってあげる』
というものです。
例えば、相続手続きなんかがわかりやすいですよね。
しっかりと調べて、1つずつ手続きを行えば自分でもできないことはない。
でも、それは面倒くさいから専門家にお金を払ってやってもらう。
このように、手間や時間を節約する為にお金を払う、というパターンが存在します。
こういったことは、AIが代わりにやってくれるものではありません。
なので、これからの時代に自分のFPとしての価値を保つ為に、こういった方向性で何ができるのか?ということを探るのは有益な考え方だと思います。
でも、大きな問題があります
では、FPの場合は何ができるのか?
ということですが、ここで1つ問題があります。
それは、
『面倒だからFPにお金を払ってこれをやってもらいたい』
と思っている人はいないということです。
なので、自分から需要を作り出す必要があるのです。
例えば、保険だったら
『保険は入りっぱなしではなく、適切なタイミングで見直すことが大事です』
ということを教えてあげたら、FPに面倒なことを頼みたいという需要が生まれますよね。
ここが、収益の源になる可能性があります。
どの分野でも応用できる
他にも、資産運用だったら
『投資を始めたあとは、こういう観点でこういった数字を見直す必要があります』
と教えてあげたら、
「自分でやることもできそうだけど、面倒そうだしこのFPに任せたい」
と思ってくれる可能性が出てきますよね。
住宅ローンの分野だったら、
『住宅ローンの返済がこれから始まりますが、ただ放っておくのではなく、繰り上げ返済のタイミングなどを考える必要があります。』
と教えてあげたら、
「今までそんなこと考えていたこともなかったけど、確かにそうだな。自分でやる自信はないから、このFPに任せることにしよう」
という展開に持っていくことができます。
FPビジネスの収益源を生み出す考え方
このような形で、
『顧客の代わりに面倒なことをやってあげる』
というのは、FPビジネスの収益源になり得ます。
重要性がわかってさえしまえば、お金を払う動機を作ることが可能になってきます。
面倒なことは、お金を払ってでも専門家にやってもらいたいと思うものです。
僕もそうなのですが、自分でやればできるのはわかっているんだけど、面倒だからお金を払って別の人にやってもらっていることもたくさんあります。
会社の社長なんかは、特にこういった傾向が顕著に強いかもしれませんね。
法人の場合は、会社のお金の流れやわかりやすい資金繰りのレポートを代わりに作ってあげるだけでも価値を感じてくれるはずです。
というわけで、これからAIがどんどん発展して知識の格差が小さくなっていく時代に、FPとしての価値を保つ1つの考え方をお伝えしました。
この考え方が使えないかどうか、ぜひ検討してみてください。