普通の人が普通の家を買えなくなってきた

執筆者:昆 知宏

    

最近ライフプランを作成していて、明らかに変化を感じています。


4月以降、赤字になるケースが一気に増えてきました。

私は住宅購入前のシミュレーションをすることが多いのですが、住宅ローンは固定金利で計算するようにしています。
変動金利は将来の前提が読みづらく、長期の家計を見通すうえでは不確定要素が大きすぎるためです。

もちろん変動金利を否定するわけではなく、まず固定で全体像を把握し、その上でどちらを選ぶかを一緒に検討するというスタンスです。

「普通の家」が普通ではなくなってきた

その前提で現在の金利水準と住宅価格を当てはめると、いわゆる普通の立地で普通の家を建てた場合でも、月々の返済は15万円前後になるケースが増えています。

さらに利息総額は約2,000万円。

ほんの数か月前と比べても、総支払額は数百万円から1,000万円近く増えている状況です。

同じような家を買っているにもかかわらず、この差です。
 

実態としては、かなり強い「家計クラッシャー」になりつつあると感じています。

現場ではすでに無理が出ている

こうした状況の中で、販売現場ではいくつかの変化が起きています。
 

一つは、35年を超える長期ローンで月々の返済額を抑える提案。

もう一つは、建物価格を下げるためのローコスト化や、生活に影響が出るレベルまでのサイズダウンです。

いずれも合理的な対応ではありますが、「本来のあるべき姿」からは少しずつズレてきているようにも感じます。

ここまで来ると、いわゆる普通の人が普通の新築を購入できるラインは、かなり限界に近づいているのではないでしょうか。

一方で、若年層を中心に「これ以上上がる前に買わなければ」という動きも強まっています。

実際に日経新聞などでも取り上げられていました。

現場でも同じ空気を感じています。

この先に起こる変化と、住宅FPの役割

こうした流れを踏まえると、この先2〜3年で金利や物価がさらに上昇した場合、新築市場は一気に冷え込む可能性が高いと考えています。

その後は、中古住宅やリフォーム市場が本格的に動き出す局面に入るのではないでしょうか。

そうなると、住宅FPに求められる役割も少し変わってきます。
 

これまでは新築を前提とした資金計画が中心でしたが、今後は不動産そのものの目利きや、実務的な知識の重要性が一段と高まるはずです。つまりより、情報戦になります。

新築メーカーだけでなく、不動産業者との関係構築も含めて、より広い視点での提案力が問われる時代になると感じています。

住宅FPという仕事は、今まさに大きな転換点に差しかかっているのかもしれません。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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