『伝え方が9割』という本がベストセラー
として一時期話題になっていましたね。
「どのように相手に伝えるかが大事」
ということが書かれている本です。
僕はまだこの本を読んではいないのですが、
ちょっとあなたに伝えたいことがあります。
『伝え方が9割』なんてウソ
そう、これはウソです。
『伝え方が9割』ということはありません。
特に、自分で事業を営んでいる人には
たいてい当てはまりません。
ただし・・・
きっとこの本の著者にとっては、
それは事実なんだろうと思います。
この著者の方は、職業が「コピーライター」です。
つまり、どこからかコピーライティング(文章を書く)の
仕事を受注して、クライアントの為に書いているはずです。
「あなたはこの文章を書いて下さいね。」
という題材を渡されて、そのテーマに沿った
文章を書いているのです。
こういう風に仕事を受注した場合、
後は「伝え方をどうするか」だけが問題になります。
他のポイント、例えば・・・
・どんなサービスを扱うのか?
・どんな人をターゲットにするのか?
というのは考えなくても済むわけです。
しかし、私達は違いますよね?
誰をターゲットにするのかとか、
どんなサービスを提供するのかとか、
どんな料金で提供するのかとか、、、
全部自分で決めなくてはなりません。
『この人たちに、このテーマで話して下さい。』
と毎回上司に命令されたりしませんよね?
なので、『伝え方が9割』という言葉を鵜呑みにして、
「伝え方をどうするか?」だけを考えるのは危険です。
著者のバックグラウンドを理解した上で、
本の内容を読み取っていくべきです。
マーケティングで大切なこと
じゃあ、マーケティングのメッセージを
作る上で何が大切なのか?
結論から言うと、次の順番になります。
①誰を相手にするのか?
②何を言うのか?
③どう伝えるのか?
つまり、この本で言う所の
『伝え方』は3番目です。
ただ、これだけだと意味がわからないと思うので、
なぜそうなのかという説明をしていきますね。
誰を相手にするのか?>>どう伝えるか?
『誰を相手にするのか。』
これは最も大事な問題です。
ターゲットを誰にするのか?
ということです。
例えば、、、
最高級ホテルのレストランで、
世界的な有名なフレンチシェフの料理を食べた後、
まるで宝石を散りばめたような
夜景の見える最上階のスイートルームで、
最高の言葉で女性にプロポーズをしたとしても・・・
相手が既婚者だったら絶対上手くいきませんよね?
逆に、相手の女性が「早く結婚しなきゃ!」と思っていて、
親からもプレッシャーを受けているような状態だったら、
例えプロポーズが魅力的じゃないでも快諾するはずです。
同じように、最高級A5ランクの神戸牛の
ステーキが食べられると言っても、
相手がお腹いっぱいだったら断られます。
逆に、相手が死ぬほどお腹すいてたら、
吉野家の牛丼でも飛びつきますよね。
つまり、相手が誰なのか?
のほうがはるかに大事なのです。
何を言うのか?>どう伝えるか?
次に大事なのは、『何を言うのか』です。
FPの場合は、「私はこういうことができますよ。」
とサービス内容自体を伝える部分です。
これも、『どう伝えるか?』よりも大切な部分です。
例を挙げましょう。
「これ、とても素敵なものなんだ。
約1,000年前も昔のもので、模様も趣がある。
これを見ると、自然の偉大さを君も感じると思うよ。
僕からの誕生日プレゼント、受け取ってくれないかな?」
と言われて、川辺で拾った石ころを手渡される。
それよりも・・・
「これ、あげる」と言われて300万円のダイヤモンドリング
を渡されたた方が確実に嬉しいはずです。
しょうもないサービスを
魅力的に伝えて売るのは難しいです。
逆に、素晴らしいサービスだったら
多少伝え方が下手でもOKです。
メッセージ作りの基本
というわけで、順番としては、
『どう伝えるか?』は3番目に大事な事です。
『伝え方が9割』ではありません。
マーケティングの世界ではよく、
リスト>オファー>コピー
と言われます。
リストは顧客リストのことです。
誰を相手にするか?の部分です。
オファーは相手への提案です。
何を言うのか?ですね。
コピーは伝える言葉のことです。
この部分が『伝え方』になります。
どの相手に、何を伝えるのかが決まった後に、
『どう伝えるか?』を考えるべきなのです。
マーケティング的な目線を持って、
魅力的なメッセージを作りたいのなら、
このような全体的な目線を持った方が良いでしょう。
本のタイトルは、売るために考えて付けるものなので、
誤解が生じやすいものです。
そして、大衆は流されやすいものです。