執筆者:昆 知宏
「興味を持っている資本家がいるので、会社の価値を算定させてもらえませんか?」
先日、こんな打診がありました。
これは新しいセールスなのか?なんなのだろうか。
怪しすぎて怖いですよね。
当然ながら私はその話を聞いていません。
それでも、ちょっとだけ妄想をしてみました。
もし仮に「1億円で買います」と言われたらどうするだろう、と一瞬だけ考えました。
けれど、考えたのは本当に10秒ほどでした。
1億円でも、2億円でも、私は売りません。
昔なら迷ったかというと、たぶんそうでもなくいつでも考え方は一緒でした。
自分の会社に価値があるかを考える
今の事業はビジネスモデルもかなり整理されてきました。
再現性の高い仕組み、人脈。
相手方に事情を説明すれば私じゃなくてもビジネス関係を作ることは前向きに受け取ってくれると思います。相手の利益が明確であれば、それは当然です。
つまり、属人性が前よりも低い状態になっていました。
きちんと引き継ぎを行い、広告費をしっかりかければ、売上を2倍、3倍にしていくこともおそらく可能です。
だから事業として見れば、売ることも不可能ではないかもしれません。
ただ、それでも私にとって自社の価値は、お金では算定できません。
事業=人生
相談者にどう関わるか。
事業パートナーとどんな関係を築くか。
何を大事にして、何をやらないか。
そうした判断の積み重ねそのものが、今の会社になっています。
もし本当に会社を買いたいという人が現れても「手放したくない」と思う以前に、この仕事は自分の人生そのものなのだと、あらためて確認する機会になりました。
そう思ったとたん、少し愛おしくなりました。
あなたは自分の仕事をどう思っていますか?
このマインドでいる限り、私にしかできない価値を顧客に提供していくのだという意志も、より強くなりました。
もちろん、会社を育てて売るという選択が悪いわけではありません。
まあまあ聞く話でもあります。
ただ私にとっては、この会社は利益を生む箱ではなく、自分の生き方そのものです。
これからも自分の旗の下で、自分が信じる価値を丁寧に届けていきたい。
そして閉める時も、自分で最後の扉をそっと閉めたい。
そんなふうに思ったのです。
M&Aの妄想から自分の仕事のことを考えたときに、改めて自分が仕事にどう向き合っているかを知ることができ、少し嬉しい気持ちになりました。
あなたはもし事業を買いたいって人がいたら、どう考えますか?
その答えの中に、あなたの仕事に対する本当に気持ちが見えるはずです。