【要注意】知識が増えると失うもの

中西雅司

今日お伝えするのは、知人の経営者のエピソード。

30年くらい前の話だそうです。

私の知人の経営者は、

「インターネットのプロバイダ」

で営業として、働いていたそうです。

その時のことを思い返してみて、

「専門家として、常に頭に置いておくべきこと」

に気づいたとのこと。

この話は、私たちFPにとっても、非常に重要なことです。

でも、ついつい忘れがち。

加えて、この話は、

「あまり経験のないFPにとっては、自信になること」

なので、ぜひ知っておいてほしい。

どんな話かというと、、、

インターネットが普及する前のこと

30年前といえば、インターネットはまだ、ほとんど普及していない時代です。

そのため、多くの人は、インターネットに関する用語は、ほとんどわかりませんでした。

そのため、経営者の彼は、営業として、最初の頃はとても苦しんだそうです。

言葉を覚えるだけでも、必死だったとのこと。

でも、働く期間が長くなるにつれて、いろんなことがわかるようになりました。

結果として、いろんな言葉も覚えて、

「上手なプレゼン」

をできるようになっていきました。

ところが、

上手なプレゼンができるのに・・・

「上手なプレゼン」ができるようになったにもかかわらず、

新人当時と比べて、営業成績がそれほど伸びたわけでは、ありませんでした。

それどころか、新人の頃のほうが、お客様の反応は良かったような気がするそうです。

当時は、その原因を明確にわかっていなかったそうですが、

今から振り返ると、

「1つの重要なこと」

に気づいたそうです。

新人の時の説明は

それは、何か。

それは、、、

新人のときのほうが、

「わかりやすい言葉で説明していた」

とのこと。

具体的には、、、

新人当初は、わからないなりに、一生懸命にこんな説明をしていたそうです。

「日本からアメリカに国際電話をかけると高いけど、パソコンとつないでインターネットを使うと安いです。ほとんどお金がかかりません」

これは、とてもわかりやすいですよね。

知識が身についてからは

でも、知識が身についてからは、こんな説明になっていたとのこと。

「従来の無手順の通信環境から脱却して、PPCIPによるパケット通信で、次世代の通信環境を提供します」

インターネットの専門家ではない私たちからすれば、

どちらがわかりやすいかは一目瞭然ですよね。

少なくとも、私はさっぱりわかりません。。。

彼は、このことを思い返してみて、

「常に、お客様の知識レベルに合わせる意識」

の重要性に気づいたそうです。

これって、私たち、FPも同じ面がありますよね。

専門用語が当たり前になる

実際、経験を積めば積むほど、より高度なコンサルティングができるようになっていきます。

が、

「専門用語や難しい知識が当たり前」

になっていきます。

一方、お客様の知識は時間が経っても変わりません。

ついつい、このことは忘れてしまいがちです。

なので、常にこれを意識しておくことはとても大切なことです。

具体的には、

・できる限りお客様の言葉で話すこと

・「お客様は、基本的な言葉もわからない」と意識しておくこと

・お客様がついてきていないなと思ったら、一度立ち止まってみること

などを心がけるといいでしょうか。

経験のないFPの勇気になる話

一方で、このことは、経験のないFPにとっては、

勇気と自信になることでもあります。

私自身も昔そうでしたが、未経験から独立したこともあって、

「自分よりも凄いFPがたくさんいる」

という気持ちで自信が持てない状態でした。

お客様対応をしている時に、

「私がやるよりも、あのFPさんに紹介したほうが、お客様のためになるのでは?」

と思ったことも何度も何度もあります。

でも、決してそうではありません。

どんなFPでも必ず強みがある

経験が少ないほうが、意識しなくても、

「わかりやすい言葉で伝えられる」

という強みがあるのです。

今日の話を、もし当時の私が知っていたら、

知識や経験で勝てなくても、

「わかりやすい言葉で伝える力では負けない」

という自信を持つことができたと思います。

知識・経験を積んだFPも、経験があまりないFPも、それぞれ強みがあり、それぞれ求めているお客様がいます。

なので、自信を持って、どんどんお客様のために力を注いでいってください。

わたしたちFPが活躍すれば、間違いなく、もっと良い社会になっていきますから。

これからも、あなたの活躍を心から応援しています。

中西雅司
大手生命保険会社に約8年勤務後、2013年にファイナンシャルプランナーとして独立。これまで40万件以上のクレームを見てきた経験から、保険適正化コンサルタントとして活動をする。現在はFPのための経営コンサルタントとして、FPの育成にも力を入れており、『保険の販売手数料に頼らなくても、FPが活躍できる業界を作る』という想いの実現に向け日々邁進している。

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