FIREしても幸せになれない理由

執筆者:昆 知宏
    

最近、静かに金融資産を増やしている人が急増しています。

FPをしていれば、この流れは感覚で分かりますよね。

新NISAの影響もあり、「資産1億円」「4%ルール」「あと何年でFIRE」といった言葉は日常会話レベルになりました。

経済的自立・早期リタイア(FIRE)は、もはや特別な思想ではありません。

しかし、私はいつも考えてしまいます。

FIREしたあと、本当に幸せになれるのでしょうか。

FIREの欠点は「お金以外」の部分にある

FIREの弱点は、資産設計の問題というよりも、人生設計の問題にあります。

WEB上の事例を見ても、「退屈」「孤独」「目的喪失」「仕事が恋しい」といった声が少なくありません。

仕事は単なる収入源ではなく、役割であり、社会との接点であり、日々のリズムです。

それを一気に失うと、最初は解放感があっても、多くの人がやがて虚無感に変わるみたいです。

経済的不安は消えても、「自分は何者か」という問いが残る。

ここにFIREの落とし穴があります。

空虚は事前に設計しておくべき問題

そこで重要なのは、FIRE後に起こり得る空虚を事前に想像しておくことです。

自由になったら何をするのか。誰と関わるのか。

どんな役割を持つのか。趣味や社会活動、学び、発信など、時間を意味に変える仕組みを持たずに退職すると、空白は想像以上に大きくなります。

お金の準備だけでは足りません。

目的の準備、人間関係の準備、生活リズムの準備が必要です。

FIREはゴールではなく、「次のステージの設計図」があって初めて機能するものだと思います。

こう考えると私はFIREは向いていないように思い、今の仕事を継続できることが幸せであり、FIREを目指すことに魅力をあまり感じません。

だから私はサイドFIREを推したい

その点で、私はフルFIREよりもサイドFIREのほうが合理的だと考えています。

完全に働かないのではなく、生活費の一部を資産から賄いながら、好きな形で働き続ける。

収入がゼロにならないことで社会との接点も維持でき、役割も失いません。

時間的自由と心理的安定を両立できる形です。

お金を増やすことは大切ですが、幸せは「意味のある時間」とセットでしか成立しない。

金融資産を積み上げ、増える相場に入った今だからこそ、その先にある空虚を直視し、どう働き続けるかまで含めて設計することが、本当の意味での経済的自由なのではないでしょうか。

こういうことを考えると働き方のゴールは明確になるように思います。

FPの方は自分の時間を持てる方がきっと多いし、マネーリテラシーも高いと思うので、他の職種の方よりも自由という意味での〇〇FIREは達成しやすいと思います。

こういうテーマは深く、価値もあるのでぜひみなさんも自分の価値観を顧客にしっかりと発信してください。きっと興味を引いてもらえると思います。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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