価値はあるのに、フィーが取れない構造の正体

執筆者:昆 知宏
   

現金預貯金3,000万円。

毎月10万円の変額保険積立。

それでも「お金のことが不安で仕方ない」とおっしゃる方がいました。

相談というよりも雑談という感じです。

FPとして、あなたならどう感じますか。

私は正直に言えば、「もう十分自由に近い状態なのではないか」と思いました。

NISA満額まで5年でNISAを回し、それ以外も資産を買い、変額保険を見直してiDeCoや自由な支出に使えば、もっと合理的な設計ができるはずだと思いました。

ただ、その言葉は飲み込みました。

FPなのになんで?と思いますよね。

立ち位置が違えば、踏み込まない

そもそも私は住宅相談がメインで、資産運用の専門家として見られているわけではありません。
その場の役割を越えて踏み込むことは、プロとして適切ではないと判断しました。

本気で踏み込むなら、それは設計全体を再構築する仕事になります。

しかしその場は、そうした前提で出会っていません。

だから私は、あえて何も言わないという選択をしました。

私が飲み込んだ理由

もし本気で踏み込んでアドバイスするなら、いくらのフィーが妥当でしょうか。

少なくとも変額保険を販売した側は、100万円程度の手数料を得ているはずです。

私はそれ以上に有意義で、顧客本位の提案ができる自信があります。

だからフィー100万円という設定自体をしても、価値対価としてはおかしくないと個人的には思っています。

しかし、「あなたの人生を変えます。フィーは100万円です」と言ったらどう受け取られるでしょうか。

怪しさ100%です。

そう感じるのが普通です。

ではNISAやiDeCoの手続きをサポートする程度なら5万円ほどでしょうか。

おそらく相手からしても、悪い話ではないでしょう。

しかしそれだったら、やりたくありません。

そもそも相手に「相談料を払う」という感覚がないからこそ、変額保険が積み上がっているのです。
だから最大級の善意でも、高すぎると拒絶される可能性も見えます。

この構造を理解したとき、私はすべてを飲み込みました。

救える人はいる。しかし設計が必要だ

私はその方の人生を変えられる自信があります。

一気にお金と仲良くなり、もっと自由な感覚を手にしてもらえると思います。

しかし出会い方とシチュエーションが違う。

それだけで価値は伝わりません。

だからこそ、集客はデザインしなければならないのです。

適切な報酬をいただきたい。

しかし前提が整っていない状態で高額なフィーを提示すれば、善意の提案であってもトラブルになるのです。
「高い」と絶句されるケースは珍しくありません。

他のFPさんでもご本人的には最大級の善意で価格提示しても、有料と知ったとたん拒絶されたり、怒られたりするという話はよく聞きます。

救える人はたくさんいる。でも私たちはボランティアでやるつもりはありません。

そのためには、価値と報酬の関係を理解してもらえる出会い方を設計する必要があります。

独立FPの結論はここにあり、出会い方を設計できない人は仕事を続けることが困難です。

そして私の今回の結論は、自分で飲み込んで、一切追わない。

私は私の専門に特化して、専門家として認知して出会った人に最善を尽くすのみ。

野球でいうと、ボール球は振らない。

これでいいのかなと思っています。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

関連記事