つくばのスタバより
執筆者:石塚 駿平
今週の火曜日に、慶応大学の講義を聴きに行ってきました。
一般向けに開かれている講義で、ハーバード大学で不動産開発を教えている名誉教授が日本に来るという話を聞いたので、面白い機会だと思って行ってみたのです。
ハーバード大学でどんな講義が行われるかというのは、気になりますよね。
結果としては、講義自体はすごい驚きがあるという訳ではなかったのですが、グループワークだったり、教授との受け答え、課題の提出などが日本の大学より質が高く大変そうなイメージが湧きました。
きっと、そこに大きな価値があるのでしょう。
このイメージができたのは自分の中では収穫でした。
ちなみに、以前にアメリカのFP協会の年次大会に参加しにボストンに行ったことがあり、その時にマサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学には観光で行ったことがあります。
お土産でハーバード大学のロゴが入ったペンを買ったことがあるのですが、この体験と合わせると、より解像度が高まった気がします。
まあ、たぶん行くことはないでしょうが・・・
不動産のデザインとファイナンスの隔絶
不動産に関しては、FPも扱う分野であり、個人的にも興味が出てきたので勉強を続けているのですが、今回の講義で面白いと思ったことをシェアしたいと思います。
日本に来てくれたハーバード大学の教授の専門は不動産開発であり、不動産のことや住宅・空間デザインのこと、ファイナンスのことに精通している方なのですが、
「不動産デザインとファイナンスは密接に関係しているのに、両方をわかっている人は少ない。特に、不動産ファイナンスを学んだ人が、不動産デザインのことを全く気にしないで数字しか見ないのには辟易する。
不動産ファイナンスを学んだ人は、いかに儲かるかどうかだけ考えて、その土地をどのようにデザインし、人が心地よく過ごせるかまでを考えることができていない。
本当はそこが収益を生み出す源泉なのに。」
ということを言っていました。
本当は一緒に考えるべきことを、別々の人が偏った考え方でやってしまうのが問題なようです。
あちらを立てればこちらが立たず
また、逆もしかりで建築を学んだ人は、空間デザインや見栄えばかりを気にしてファイナンスのことがわかっていない。とも言っていました。
これには講義に参加していた日本の大学教授も同意していて、その方は
「デザインを作り直してをクライアントであるデベロッパーに提示した時に、自分はお客さんの使い勝手や居心地にこだわっていたが、デベロッパー側はその場でスプレッドシートに数字を当てはめて収支を計算し、その結果を元に判断をしていた。
その時、顧客側が求めているものは全く違うんだという衝撃を受けた。
その経験を元に、今は建築科の学生に顧客側の視点と建築とファイナンスを一緒に考える重要性を伝えている。」
ということを言っていました。
FPが求めるものと、顧客が求めるもの
この話は、FPにとっても大きな学びがあると思います。
特に、
『自分が追い求めるものと、顧客が追い求めるものが違ってしまう』
という間違いは、FPの分野でも起こってしまう可能性が高いものです。
例えば、何かコラムを執筆する時に、他のFPにどう思われるかを気にしてしまい、なるべく格調高くレベルの高い内容を書こうとしてしまう、なんかは典型的な例ですね。
向き合うべきは顧客であって、他のFPではありません。
他にも、『商品を扱わないでアドバイスをするのが真のFPだ!』と考えて自分の理想と突き詰めるFPの中には、顧客と向き合えていない人がいるように見受けられます。
自分の理想を求めることが先行してしまい、顧客の求めることが目に入らなくなってしまう状態ですね。
FPとして相談を行うのであれば、あくまで大事なのは『顧客がどう思うか』です。
ここが一番の視点であるのは間違いありません。
顧客が良いと思うのであればそれが良くて、別に求められていないものであればそこまで関係ないのです。
ハーバード大学の教授の講義を聞いて、この重要性を再認識されられました。
特に、専門的な分野に首を突っ込むと、顧客が何を求めているのかという視点が抜けがちになるので、気をつけていきたいですね。
あなたは、顧客のことを第一に考えて行動ができていますか?
ぜひ、定期的に確認をしてみてください。