つくばの自宅から
執筆者:石塚 駿平
個人的にとても注目している、JPYCの発行が今週始まりました。
JPYCは1JPYC=1円として使えるステーブルコインです。
僕は、ビットコインなどの暗号通貨には、
「価値の裏付けがない投機的なものでしょ?」
と懐疑的だったのですが、ブロックチェーン技術でできることや、これからの金融の未来を考えると、
「これは将来的には確実に一般的なものになるよね」
と思うようになり、暗号通貨に対する見解を改めることにしました。
すみません、私が間違っていました、って感じです。
そして、ステーブルコインというのはそういった新しい通貨市場の血流になるものなので、日本ではどうなるか強い興味を持っています。
JPYCの発行を試してみた
という訳で、試しにJPYCを1万円分発行してみました。
JPYCのサイトに行って、アカウントを作って、本人認証をマイナンバーカードとスマホで行って、暗号通貨のウォレットや銀行口座との紐づけをして、1万円を指定された口座に振り込んだら、ウォレットの中に1万円分のJPYCが入金されました。
ただ、途中でイーサリアム、アバランチ、ポリゴンのネットワークの中から1つ選んだり、メタマスクのウォレットの紐づけがあったりなどして、知識がない人にとってはハードルが高いかな?という印象です。
これから新しいサービスが登場して、利便性は高くなっていくのでしょうが、普及までは時間がかかる感じがしますね。
ただ、暗号通貨の技術を使うことで、今までの金融にはできなかった革新的なことが色々とできるようになってくるので、広まるのは時間の問題でしょう。
日本でもメガバンクがステーブルコイン発行を予定していますし、SBIも株式のトークン化を進めるみたいです。
JPモルガンも預金のトークン化を進めており、なんとゆうちょ銀行も同じことをするようです。
金融関連の会社は、金融の未来はブロックチェーンを使った新技術にあるとわかっているので、どんどん取り組みを進めていっているという印象です。
暗号通貨を担保にお金を借りられる
では、ステーブルコインを使ってどんなことができるのか?
という話ですが、JPYCのリリースに伴って、色々とサービスが発表されたみたいです。
例えば、その中の1つは、
『ビットコインやイーサリアムを担保にしてJPYCを借りられる』
というものです。
仮に、1000万円分のイーサリアムを持っていたとして、それを担保に入れることで500万円のJPYCを年率4%で借りられる、みたいな感じですね。
数字は適当なので参考程度に考えてください。
ビットコインやイーサリアムがこれからも値上がりすると考えていて、保有したまま現金が欲しいという人にとっては、利用価値のあるサービスになります。
需要がある分野なのですが、多くの人は当てはまらないですよね。
そこで、逆に自分がそういった人たちに対してJPYCを貸し出す側に回ることも可能です。
JPYCを貸し出すことで運用ができる
その場合、JPYCを貸し出すことで4%程度の利子を受け取ることが可能です。
銀行預金と比較すると、だいぶ割が良くなりますね。
実際、米ドルのステーブルコインをこのような形で運用すると、10%超えの利回りが実現できていたりするので、十分に可能な範囲であると考えられます。
もちろんリスクもありますが、このような選択肢が増えるのは良いことですよね。
法人の場合、余裕資金の運用方法の候補の1つに上がるかもしれません。
また、こういったステーブルコインの活用法はあくまで数ある活用法の1つで、これからどんどん新しいサービスが生み出されるでしょう。
すでに見えているものでも、海外送金は確実に安価で迅速なものになりますし、振込の多い企業がステーブルコインで送金すれば、振込手数料を格段に抑えられます。
AIにおつかいをさせる時代
そんな中で、僕が個人的にとても未来を感じているのが、
『AIにステーブルコインを持たせておつかいをしてもらう』
という未来です。
例えば、
『Amazonか楽天でこの商品が〇〇円以下になったら購入して』
という指示を出した上で、AIエージェントにステーブルコインとその決裁権を持たせるのです。
そうすれば、自分で頑張ってセールの時期を狙わなくても、勝手にAIが買い物をしてくれるようになります。
AIエージェントの技術が進んでくれば、これくらいのおつかいはお茶の子さいさいでしょう。
技術が発展するとこんなこともできる
また、もっと先の未来を考えると、僕はAIエージェントが色んなAIやアルゴリズムにアクセスし、その分を従量課金で払い、目的を達成するという世の中が来ると考えています。
例えば、
『来年の8月1日から8月7まで、イタリアに旅行したいから計画を立てて。レンタカーを借りて、おいしいレストランを回りたいな。』
とAIエージェントに依頼したとします。
そしたら、AIエージェントが旅程を組み立てて、
『イタリアの交通混雑データ予想』
のアルゴリズムと、
『イタリアの美食家が運営するグルメデータベース』
にアクセスし、それぞれ利用料として0.8円と2.4円を払って旅程の候補を作る。
そして、許可を出せば航空券やホテル、レンタカー、レストランの予約を行う。
こんな感じのことができるようになる、という感じですね。
こういう風に、小さい従量課金を行うことはマイクロトランザクションと呼ばれています。
AIエージェントにステーブルコインを持たせれば、こういったことも実現できるでしょう。
技術の発展とともに、こういったことはどんどん一般的になっていくでしょう。
FPとしての価値を高める一つの手段
そんな感じで、ステーブルコインには、色んなことができるようになる可能性があります。
今から知っておけば、顧客に教育コンテンツとして届けることができるようになるでしょう。
まだまだハードルは高く、専門知識が必要ですが、いずれハードルが下がり社会に浸透していくはずです。
なので、今のうちに詳しくなっておけばFPとして提供できるものが増えそうですね。
自分のビジネスの決済につかったり、運用にも使えるかもしれないので知っておいて損はないはずです。
僕も、とりあえず色々と触ってみながら学んでいきたいと思います。