FPが提供する価値の3ステージ

つくばの自宅より
執筆者:石塚 駿平
  

今週の月曜日のメルマガで、昆さんが

『FPは人生デザイン業である』

ということを言っていました。

老後資金や教育費、保険や住宅など、FPのメインである領域でしっかりと価値を提供していくのはもちろんですが、お金の使い方も一緒に考えてあげる。

顧客が、自分の人生をどう生きたいかを引き出し、その人生を送る為のお金の使い方をサポートする。

これが、FPが目指すべき1つの方向であり、それができたらものすごい大きな価値を提供できるとと思います。

そういったことができるFPはほとんどいませんからね。

浅い部分で価値提供をするFPの方が多数派

ちなみに今週、子どもの1ヶ月検診に行ってきたのですが、終わったら乳幼児食品の会社にミルクのサンプルなどが入った袋をもらいました。

その中には、

『これから必要な子育て費用をシミュレーションしませんか?』

というチラシが入っていて、保険のことは一切書かれていませんでしたが保険ビジネスなのでしょう。

ビジネス展開としては上手だと思いますが、こういった所に相談した所で相談員の人は保険を売りたいと思っているので、顧客の人生まで深く踏み込んで考えてくれることはないでしょう。

FPが提供する価値の3ステージ

僕は、FPが提供する価値にはいくつかのステージがあると感じています。

どのステージにいるのかによって、顧客が受け取る価値が変わり、顧客の満足度やもらえるフィーの大きさ、顧客と築ける信頼関係の強さも変わってくるもので、

『FPの熟練度』

とも言えるようなものですね。

なんとなく、そういう感じだなとは感じていたのですが、これを機に3つのステージに分けて言語化をしてみたいと思います。

ステージ1:顧客の疑問に答える

まず最初は、顧客の疑問に答えるというステージですね。

聞かれた質問や抱いている不安を解決してあげる『FP相談員』のようなイメージです。

FP協会でもそういった事業を行っていたりしますよね。

これが、FPの最初のステージだと思います。

しっかりとした知識や、問題解決能力を持って顧客の疑問や不安、課題を解決する。

これができれば、FPとして価値を提供することができます。

でも、顧客に提供できる価値の限界というのがあって、

『顧客が問題だと考えていること以上のこと』

は提供できないんですよね。

なので、もらえるフィーのレベルというのは数万円程度に留まってしまい、これだけではFPビジネスとしては成り立ちにくいという現実があります。

ステージ2:価値を自ら作り出せる

次に、顧客に提供できる価値を自ら作り出せるというステージがあります。

『お客さんが問題に思っていることはこれだけど、本当はこれをやるのが一番なんだよな』

ということを自ら考えて、FPサービスやコンサルとして提供できるという段階ですね。

顧客が意識できている問題というのは表面的な問題で、本質的な問題はもっと深い所にあったりします。

この部分を解決できるようにサービスを設計し、顧客を教育してその価値をわかってもらい、納得してもらった上で実行の支援をしていく。

このような動きをすると、キャッシュフロー表の作成や面談、実行サポートなど複数のサービスが組み合わさった複合的なサービスになる場合が多いのですが、

『顧客が得られる結果に対する対価』

を頂けるようになるので、顧客単価を高くすることが可能です。

500万円分のメリットがあれば、30万円を頂いてもおかしくないですからね。

このステージに上がれれば、FPビジネスがビジネスとしてしっかりと成り立つようになります。

ステージ3:顧客から価値を引き出す

そして、3つ目のステージが顧客から価値を引き出すというステージです

ステージ2でも十分にFPビジネスとして成り立つのですが、ステージ2の特徴としては

『FPが持っている価値を最大化して提供する』

というものであり、主体はFPの能力やスキルとなります。

これでも全然問題ないのですが、FPの能力やスキルに加えて、顧客から価値を引き出すことができたらもっとすごいよね?というのがステージ3です。

『どんな人生を送ることができたら幸せなのか?』

ということは人によって違いますよね。

僕は家族との時間が十分にあって、好きな人と仕事をして、海外旅行に行って自分がやりたいことができたら幸せですが、あなたの場合は別の形があるはずです。

こういった価値観を引き出して、顧客が幸せな人生を送ることができるようにサポートをしてあげる。

例えば、老後資産のアドバイスをするにしても

『今の状況を考えると、お金を貯めるよりも、夫婦関係を良くする為にお金と時間を使った方が良いんじゃないか?』

というような気づきを顧客に与え、そのようなことができるように後押しをしてあげる。

昆さんが言うように、こんな形で幸せな人生をデザインしてあげることができれば、顧客からも価値を引き出すことができます。

自分の能力やスキルを活かしながら、顧客に内在している幸せの種を見つけ出し、それを咲かせることができたら、FPとしては最上の価値を提供できるでしょう。

一緒に探求していきましょう

こんな感じで、僕が考えているFPのステージを言語化してみました。

多くの人は、ステージ1しか見えていないので

『FPは食えない、稼げない』

ということを言いますが、他のステージが見えてきたらそんなことはないと気づくはずです。

また、ステージ3というのは全てのFPが目指すべき所で、ここまで到達できたら顧客との信頼関係や提供できる価値、そしてもらえるフィーもまた別次元のものになるでしょう。

僕の知る限り、FPの本場アメリカでも特にAIが出てきてからはステージ3に関することが盛んに議論されているそうです。

いつかはそういった情報も届けられるようにしたいですね。

なかなか概念的というか、抽象的な部分も多いので、FPが実践している具体例や、議論や交流ができる場というのもFPライズで用意していきたいと思っています。

まだまだ未開拓の分野なので、一緒に探求ができると良いですね。

石塚 駿平
株式会社FPライズ代表。独立FPに専門特化したコンサルティング、セミナー開催などを行っている。現在は依頼のほとんどを断っているが、相談料5万円の住宅相談をネットから月10名集客、開業コンサルティングを行なったFPが独立後15日で100万円以上の売上げを達成など、多くの成果を上げている。

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