執筆者:昆 知宏
先日、家具屋さんに行った時のことです。
目的の家具は、北欧デザイナーズ家具。
事前にネットで情報収集して「これが買いたい!」というのもがあったのですが、新潟のような地方だと現物を置いているお店がほとんどありません。
いろいろ調べて新潟では1店舗のみが取り扱いをしているということで、夫婦で行ってみました。
実際にお店に行って現物を見れて、商談もできて満足だったのですが、この家具屋さんは商品のラインナップが新潟というエリアの中では独自性があるということに加えて商売のやりかたも独自性がありました。
商品力がある場合、確かにこの方法はいいなと思ったのです。
どういうことかというと…
値札がない
ショールームを見学すると100点を超えるアイテムが店内にあります。
目的の家具のほかに、もちろん同じような系統の家具がラインナップされているので、魅力的なアイテムがたくさんありました。
テーブルの外にも照明器具にチェア、ラグなど素敵なものばかり。
どれも実際に触ってみたり、座ってみたりすることもできるのでいろいろ試させてもらっているうちに欲しいなと思うものがいくつかありました。
軽い気持ちで「これいいですね」なんて見ていくと、あることに気が付きました。
どれも値札が付いていないのです。
とはいえ、なんとなくこのチェアは10万円くらいかな?それだったら結構いいんじゃないの?買っちゃおうかな。みたいな感じで見ていきました。
帰ってからメーカー直販のネットで調べてみると、なんとそのチェアは38万円でした。
「うわ、やば。」
と思ったのと同時に、「なるほどな」と思ったのです。
値札を付けていたら多くのお客さんは価格でビビッてしまうからです。
お店ではまずは体感してもらい、価格ありきではなくまずは興味を持ってもらうことを重視しているのだなと思ったのです。
無料で提案しない
最初の訪問時には、店員さんに価格を聞いても教えてくれません。
では価格をどうやって知りえるかというと、見積もりを依頼する必要があります。
しかも単品ではなくて同時に自宅の平面図も提出して、家具プランを依頼する必要があります。
全体的にコーディネートさせてほしいというのです。
しかもその費用に55,000円もかかります。
強気ですよね。
ですが、その費用は購入家具代金から相殺されます。
なので55,000円以上のものを(お店の物は90%それ以上しますが)購入すれば、見積もり提案費用はかからないというわけです。
お目当てのテーブルは買う予定で、テーブルは55,000円以上するため、プランを依頼することにしました。
この時点でお店としては、55,000円以上の売り上げは確定し、さらに他の家具を提案できる機会を持てます。
もしこの時点で買う気が一切ない顧客であれば、初回訪問で見極めができます。
無駄がないシステムだし、考えられているなと思いました。
セット販売が上手
約4週間後…。
ひとつのテーブルから始まった商談。
宅内の家具一式、提示された見積もりはいくらだと思いますか?
ちなみにお目当てのテーブルは、定価で22万円。
これは事前にネットで調べていたのでこれは知っていたことです。
普通であればテーブルが欲しいと言ったら、定価で22万円です。
5%ほど頑張ってお値引きします。
じゃあ、買います。買いません。
これで終わりますよね。
じゃあ、この家具屋さんは何を提案してくるのか?
提示された見積もり値はなんと…
300万円!でした(笑)
しかし私は内心、これくらいで出してくるだろうなと思っており想定内でした。
店員さんはさすがに恐る恐る提案をしていましたが、思った以上に私がどっしりと構えているので面食らっていました。
提案された内容は、テーブルよりもはるかに高い(笑)、チェア、ラグ、ベッド、マットレス、照明器具などでした。
お店の方も全部売ろうなんて全く思っておらず、何か1、2点追加でヒットすれば御の字という温度感というのは見て取れます。
そのため、いわゆるセールスの圧も発生せず、本当に上手だなと感心しました。
しかも一つ一つの単価もネットで買うよりも結構安くて良心的なのです。
お見事!
結局私もテーブル以外にも何かを購入しそうです。たぶんします。
特にベッドのマットレスは近々買おうと思っていながら、この家具屋で買うことは全く考えてなかったけど、候補に入ったというのは、本当にこの家具屋の提案はお見事であると言えます。
まとめ
・新規顧客が収益に繋がるのかを早期に見極める
・無料で提案しない
・単価アップの機会をシステムに取り入れる
これは私も意識してFP活動をしていますが、あなたも意識的に取り入れてください。
収益も増えるし、時間も増えることが確実です。