つくばの自宅より
執筆者:石塚 駿平
そういえば、イデコの掛け金の上限が引き上げられるみたいですね。
僕は会社でiDeCo+を使っているのですが、上限が2.3万から6.2万に引き上げられるのは大きな変更です。
この改正は、税制改正大綱では打ち出されているのですが、国会での成立がまだ見通せないようで実施が少し遅れてしまう可能性があるようです。
しかし、近い将来この改正が行われると、恩恵を受ける人は多いのではないでしょうか?
僕の場合、夫婦でやっているので合計で満額で掛けると月12.4万円。1年で148.8万円です。
30年続けたとすると、元金だけで4,464万円にもなります。
これに運用利回りが乗ってくると、それだけで老後資金の心配をしないでいいほどのお金が貯まりそうですね。
焦点は『枠を使い切る』より『枠をどう使うか』
これに、NISAの非課税枠1800万円が合わさるとさらに大きな額になります。
NISAを夫婦でやると3600万、iDeCoを夫婦で30年やると4,464万円、運用益を合わせると、合計でゆうに1億円は超えることになります。
ここまで大きな額になると、普通の家庭では目一杯使わなくても十分に老後資金を作ることができそうですよね。
枠があると、いかに全部活用するかということを考えがちですが、満額全部使うというよりは、『枠の中でどのように制度を活かしていくか』の方が大事になってくると思います。
その一方で、Youtubeなどのメディアでは、iDeCoやNISAなどの制度を使うことが大事であるという情報がこれからも溢れてくるでしょう。
そっちの方が、キャッチーで興味を引くことができますからね。
ネットの情報は両極端になる
特に今のSNSの状況を見ていると、人々の注意を引くためになるべく印象の強い情報が多くなっているように感じます。
極端なことを言ったほうが、注目を集めることができるからです。
「資産運用も大事だし、自分の人生を楽しむための支出も大事だから、自分にとって良い塩梅を見つけていきましょう」
という正論を言うより、
「今から資産運用をしないと後悔します!でも、これをやっておけば大丈夫!」
ということや、
「貯蓄なんて意味がない!お金を使う方が有意義な人生を送れる!」
というような、極論を言ったほうが明らかにみんなの注意を引くことができますよね。
人のお金に対する価値観は変わる
個人的には、将来の為の資産運用も大事だし、人生を楽しむ為の出費も大事だと考えています。
バランスの取り方としては、若い頃は
『どうにかして資産3億円を作れば、配当収入だけで贅沢ができる!』
という考え方に魅力を感じていましたが、特に『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』という本を読んでからは、経験にお金を使うということは投資と同じくらい大事なんだと学びました。
そして、実際に夫婦で4ヶ月間海外旅行に行って経験にお金を使いまくるということをやった結果、本当にやってよかったと思っています。
こういった経験を経て、老後の資産作りよりも思い出を作る為にお金を使っていく方に少し考えが向いていくようになった気がします。
お金の情報がネットに溢れても生き残るFP
お金に関して大事なのは、色んなことを経験して自分なりの価値感を構築していき、バランスを取ることだと思います。
SNSでは、どちらか一方に偏った情報が多くなっているので、なかなかバランスを取るという考えに至らないケースがこれから増えていくでしょう。
そんな状況の中、一人一人の家計を分析してバランスを取るという役割はFPに求められてくるでしょうし、これから重要性が増していくでしょう。
さらに、貯蓄思考が強い日本において、
『将来の為に資産運用をすることも大事ですが、お金を使うことも大事です』
という価値観を教えることができ、顧客の人生を豊かにするお手伝いができるFPは、さらに重宝されるはずです。
SNSなどのネットの中では、そんな存在はいませんし、これからも出てこないでしょう。
お金に関する表面的な情報はこれからも溢れていくでしょうが、そこから一歩先に踏み込んだバランスの取り方や、人生の価値観などの部分は、生身のFPにしか扱えません。
だから、この部分をわかっているFPの価値はこれから上がっていくでしょうし、ネットに情報があるからといって淘汰されることはありません。
僕はこう思うのですが、あなたはどう思いますか?