専門外ながら相続案件の処理を先日一つ完了しました。
しかも揉めに揉めている事案。
私は日ごろ住宅購入相談という
どちらかと言うとハッピーなお客様向けに行っているので、
正直そうではない相談は苦手です。
というかどう振舞えばいいのかが
よく分からないからです。
相談内容は、親が亡くなって不動産を相続することになったが
何をどうしたらよいか全く分からないということでした。
しかも兄弟から一方的に相続放棄されて以後
音信不通になり相談相手もいないとのこと。
確かに知識もないし、
誰に相談すれば良いかも分からないのなら
不安になるのは当然です。
結果的にサポートした内容
・既存不動産をどうしたいかヒアリング
・不動産業者へ依頼し査定
・不動産業者と連携し近隣情報収集
・司法書士へ依頼し相続登記相談同席
・建物の内部調査
・遺品整理手伝い
右往左往しながら結果的にはこんな感じになりました。
話しの大前提としては
3人いた相続関係者の2人から話し合いなく
一方的に相続放棄された状態。
その後連絡しようにも電話も出ず、訪ねていっても居留守。
こんな感じで何をどうしたらよいか
分からなくなったということです。
相続財産は数百万円の預貯金と
クライアント実家の不動産。
登記上とGoogleマップの情報から
不動産の価値は0円との予測が立つ物件。
建物を壊すにしても接道がなく再建築不可の土地のため、
重機も入れず解体費はかなりの高額になることが予想される。
つまり放棄しないとマイナスになってしまうという現状でした。
親が残してくれた数百万円を
何とか手元に残してあげる方法はないのか?
実家である建物をきちんとした形で
最後に整理することはできないのか?
相続放棄せずになんとかできないか。
なかなかの難題でした。
どこまで寄り添いながらベターアンサーを出すか。
内容も大事だが相手の気持ちを読み解くこと。
寄り添うことが大事。
色々やってみて気づく点がありました。
人脈を駆使しないと解決は難しかった
再建築不可の建物の価値は0円。
むしろ解体費で数百万円のマイナス。
このような物件は不動産屋さんには相手にされません。
実際放棄した相続人の人が
何社かの不動産屋に声を掛けた痕跡もありました。
当然、査定額は0円。
築70年近い建物に接道なしでは厳しいのは当然。
それではあれば相続のお金で
近所に迷惑をかけないように解体だけは行おうか。
しかしクライアントには
連絡の取れない兄弟に連絡なしで
自分の手で壊すことを決断することに
ためらいが見え隠れします。
しかもお金の面もマイナスにもなってしまう。
私は勝手なイメージで相続相談って
お金を持っている人が相手で
相続税でもめないように、
そこに上手くサポートしていくもの。
キャッシュポイントも多いのだろうなと思っていたのですが、
実際はそんな相談はあんまりないのでしょうね。
色々行き場をなくした物や気持ちを抱えている人が多くて、
相談相手がいなくて困っている。
とはいえ、お金もないからビジネスとして成立しない。
困っている人はたくさんいるのに適切な相談相手がいない。
あんまり寄り添いすぎても期待する答えを出せないから、
FPとして何を解として出せばよいのか。
明確な答えが出せないのは難しいです。
しかし実際クライアントは、解は何であれ、
相談相手がいることそのものに価値を感じてくれていると思いました。
この仕事の対価はいくらが妥当なのでしょうか?
結論からいうと、
不動産はほぼ無料に近い形で業者に買い取ってもらいました。
建物は壊さずに手を入れて借家として貸し出すそうです。
これによりマイナスにならずに済みました。
建物のことで悩む必要はなくなり、
相続をプラスの形で終えることができました。
そして建物を(とりあえず)自分の手で壊さずに済みました。
大きな価値と結果を提供できたのではないかと思います。
ただ私はこの仕事に対しての対価が分かりません。
一般的に相続相談FPとして行う場合は、
これはいくらが相場なのかが気になります。
ぜひ分かる人というか、妥当な額があれば教えてください。
妥当な額がはっきりしてFPとして生活が成り立つのなら、
このようなことを相談したい潜在顧客は山のようにいます。
なのでフィー型FPにはチャンスが眠っているとも言えます。
しかもいわゆる業者側からはお金にならないから相手にされません。
行き場のない悩みや不安の解決はきっと社会貢献になります。
たまたま遭遇した相談ですが
社会問題と同時に何か新しい可能性を見ることができました。