数百万円の損失から逃れた話

執筆者:昆 知宏
  

先日ジャパンキャンピングカーショーというイベントに参加してきました。

千葉県の幕張メッセで行われる年に一度、日本中からキャンピングカーメーカーが集う一大ショーイベントです。

その場ではキャンピングカーが100台以上展示されていて、各ブースで外観や内装を見ることや商談もできるという夢のようなイベントでした。

私はいつかキャンピングカーを持ちたいと思っているのですが、「買うならこれがいいかな」「やっぱりあればいいかな」みたいな感じで半日があっという間に過ぎていきました。

とはいえ、キャンピングカーは新車で買うと1,000万円をこえます。

私が欲しいなと思ったものは1,300万円くらいでした。

なかなかの金額ですので、見るだけにして終わりという結果になりました。

しかし最近はもう少し価格の低い展開で、今持っている車を改造しますという業者も増えており、私の目的も持っているミニバンを改造するための実車見学・商談でした。

価格は300~400万円くらいでできるので現実的ですが、それでも普通車一台買える額です。

そんな中、衝撃的なことが起きました。

候補だった業者が倒産した

先週もメルマガで倒産ネタを書いたので、2週連続になってしまいましたが、3月3日に私が商談した業者がなんと急に倒産をしたのです。

これにはさすがに、ドキッとしたというか冷汗が出ました。

なぜかというと、キャンピングカー業界は契約時に50%以上の内金を入れることが条件の業者が多いのです。

そして納期が半年から2年というのがザラです。

業界ではこれが当たり前なのですが、当然ながら途中で倒産をしてしまえばお金が戻ってくることは期待できないと思います。

そうなるとキャンピングカーを新車で購入することは極めてハイリスクということになり、これからのキャンピングカー業界に大きな冷や水を浴びせた形になります。

なぜ倒産したのか?

失敗から学ぶことは多い。

これは経営の原則です。

今回この会社が倒産した理由は明確のようです。

その理由はキャンピングカーはローンなども活用して手の届く価格帯のものだとトヨタのハイエースを改造することが多いのですが、そのハイエースがメーカー受注停止になってしまったからです。

受注を受けても、メーカーで生産ができないのでベース車両が入ってこず売り上げが作れない。でも、受注は取らないと将来の売り上げも作れないので、受注はどんどんとる。

広告宣伝費もかけるし、お店への投資もする。

見込み売り上げがあっても、支出だけが過多になる。

そして限界を迎える。

こんな感じです。

ベースとなる車両が入ってこないので、キャンピングカーメーカーは今お客さんが持っている車両にも持ち込み改造を受けることが増えています。

従来はNGだったので、これは資金繰りのためです。

私は持ち込み改造を検討していたわけですが、たしか内金で80%以上であったし、自分の車も数か月一度預けないといけないのでもし依頼をしていたら完全に詰むところでした。

恐ろしいです。

経営で学べること

これを受けて私たちが学べることがあります。

これは住宅業界でも良く言われることですが、工事着手時に半分以上のお金を要求してくる会社は疑ってかかれということです。

倒産する会社の多くは、着工時に70%以上のお金を要求していたという話は実話でも良く聞きます。

また、誰かに依存しているビジネスは脆弱といえます。

例えば今回の場合は、ハイエースの供給が何かしらで途絶えると、自分はいくら頑張っても巻き返しが厳しく、どうにもならないということです。

自分でコントロールできない要素に強く依存している場合は注意です。

例えば、集客が大口の紹介やリーズに依存しているなどのケースではそれが途絶えたときに致命的になってしまいます。

なんでも何かに依存してしまうのは、良くないと思いました。

とはいえ、私はこの会社に依頼をしようか思いながら結局やめたのは、その会社のホームページを見たときに私の好きな経営方針ではないということがありました。企業文化が共感できず、冷めてしまったというのが功を奏した形です。

拡大路線で売上を追いかけすぎている傾向が顕著に見え、拒否反応がありました。

作っているものが良くても、なんかお金の使い方として嫌だなと感じたのです。

こういった直感も大事ですよね。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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