評価されるほど“辞めづらくなる”仕事を捨てる勇気

今年の4月から大学で「ファイナンシャルプランニング入門」「ファイナンシャルプランニング論」という講義を担当しています。FPを始めて、FPを講義形式で教えることは初めての挑戦でした。

全部で30回中25回の講義を終え、FP6分野を横断的に教え、興味を持った学生にはFP3級の取得まで視野に入れてもらう構成です。
 
 

1年間担当して強く実感したのは、準備・実行・評価の負荷が想像以上に大きいこと。特に準備は9割と言っても過言ではありません。スライドづくり、制度のアップデート確認、演習内容の設計……時間とエネルギーの消耗は、本業に影響が出るほどでした。


かなり頑張ったので前期の学生からの評価は悪くなく、学校からは来期もぜひとオファーをいただきました。人間は期待されると応えたくなる生き物です。私も例外ではありませんでした。

誰にも相談できないまま抱えていた“もやもや”

でも正直、本業と並行するのはしんどい。けれど期待されている。続けるべきだろうか。辞めるべきだろうか。


 この「答えの出ないもやもや」を誰にも相談できずに抱えていたある日、たまたまFPライズの石塚さんに相談する機会がありました。


その際、石塚さんのメッセージの中にある言葉が添えられていました。

「ウォーレン・バフェットが最近の株主総会で、『私は毎朝ベッドから起きて、本当にやりたいことに取り組めている』と言っていた。人生は本来そうあるべきだと思う」

その言葉を聞いた瞬間、私は自分に問い直しました。
 “朝ベッドから起きて、その日私は授業をやりたいと思っているだろうか?”

答えは、残念ながら即答で「Yes」ではありませんでした。

私はそれよりも発表になったばかりの2026年の住宅補助金の情報を、これから家づくりをする方に向けて一刻も早くコンテンツにまとめたいと思っていました。

このような原動力があるということは、私にとって本業の仕事は本当にやりたいことに含まれているようです。

1分後に出した辞退という結論

自分に正直に向き合った結果、私はその1分後に来期の辞退を申し出ました。
 

もちろん、今回の大学講師経験は非常に有意義で、貴重な経験でした。
 

ただ、40代に入り、使える時間は有限であることを嫌でも意識するようになります。
 
 

だからこそ、“できること”ではなく “本当にやりたいこと”に時間を割く決断が必要だ と感じたのです。


社会的使命や「やるべきこと」の顔をしたタスクほど、人は疑わずに抱え込んでしまいます。
 でも、本当に必要なものはそんなに多くありません。むしろ、必要以上に背負ってしまっていることのほうが圧倒的に多いのです。

そういうことは、朝起きてしたいことでなければ捨てる勇気を持つことは大事です。

FPこそ“捨てる決断”を持つべき

FP業は、やればやるほど仕事が増える職業です。
 相談、講演、執筆、研修、SNS発信、情報収集……やろうと思えば無限に仕事が生まれます。


それゆえ、「できるからやる」「求められているからやる」 で動いてしまうと、すべてが中途半端になり、価値提供が薄まります。全部やろうとすると、全部嫌になってしまいそうです。

私たちは顧客に「優先順位をつけましょう」とか「お金も時間も有限です」と伝えています。
 だとしたら、最初に実践すべきは私たち自身ではないでしょうか。

大切なのは、
 “本当にやりたいことなのか?”
 “心のエネルギーを使う価値があるのか?”
 と、自分に問い直すこと。

そして、答えがNOなら勇気をもって「捨てる」。
 その決断が、長期的には自分の価値提供をより純度の高いものにしてくれます。

あー、すっきりしました。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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