FPという仕事のやりがい

昆知宏

電話口で号泣する相談者。

次のアポイント取ろうと思って、
連絡をしたら、

話は思わぬ方向に展開。

・・・

開業以来初めて、返金保証を実行しました。

私は住宅相談のコンサルティングで
業務着手前に着手金を頂くのですが、
初めて全額返金したのです。

返金保証を用意しているFPの方は
そこそこいると思います。

しかし実際に返金保証を実行することは
滅多にないことではないでしょうか。

このような話をすると、

「え?何かトラブったの?」

と思いますよね。

それは違います。

それどころかFPの仕事のやりがいを
最も感じた瞬間であったのです。

購入しない提案

無料相談で何かの商品を売ることが
目的のFP。

開業前にFPとして最もなりたく
なかった姿です。

これをやってしまうと、
善意と見せかけてのただの物売りに
なってしまうと思ったからです。

私はずっと物売りをやってきたので、
もう物を売ることはウンザリしていました。

だから物を売らずに、
正しくアドバイスをそれに対しての
対価を貰える仕事に憧れを持っていました。

それにはコンサルティングフィーを
頂く以外の方法はなかったのです。

しかし住宅を購入しなければ、
そのフィーをもらうことはできません。

それでも今回は、
家を購入することを
見送る提案をしました。

収益には一切なりませんでしたが、
ものすごくスッキリした気持ちです。

ライフプランを語れるのはFP以外いない

世帯年収も高く、住宅購入意欲もある。

コンサルティングの着手金まで、
入金してもらったのにそれなのに、
家を買うことをやめてもらいました。

なぜなら、夫婦の生き方やこれから
やりたいことを考えると、

住宅を”所有”することがベストでは
なかったからです。

相談者(妻)には夢があり、
教育者として海外に行きたい!

でも、そんな夢みたいなこと
言っていてはダメだから、

覚悟を(実際は諦める決断に近づく)
決めるために家を買うことを
決意したようです。

専門家に依頼をすれば後に引けなく
なると自ら決意したのでしょう。

私はこの購入動機が腑に落ちず、
改めて深く質問をしてみたのです。

「ところでこの間語ってくれた夢、
本当は諦められていないですよね?」

涙が止まらない相談者

ご主人も奥さんに配慮してか、
住宅を購入する決意は固まったとは言うけど

愛するパートナーの夢の実現を
支援したいという想いが見えました。

きっと海外に行く夢は日に日に高まる。

しかし所有した住宅が人生の漬物石の
ようになり幸せを生まない。

私はこう思い、伝えました。

聞くと、夫と喧嘩したといいます。

夫婦で家を建てることを決断したのに、

「今はいい家は建たない」

と出勤間際に言われ、
突き放されたような気持ちになった
とのことでした。

奥さんが自分自身にも夫にも、
言えなかった第3者の言葉が、
図星だったようです。

人生の重大イベントで、
相談にのることができるこの仕事。

だからFPは、やめられません。

PS

いつの日か家を建てるときが来て、
また相談に来てくれるのが楽しみでなりません。

最後にもらったメールが、
とてもうれしかったので、
せひ見てください。

こういうふうに言ってもらえることが
FPの醍醐味だと思うのです。

↓↓

FPさんのお仕事は、素敵なお仕事ですね。

おかげで、
「今はいい家が建たない」に隠れた、
旦那の思いやりや家族への
愛に気付くことができました。

夏休みが開けたら、
自分のクラスの子たちにも
話そうと思います(笑)

お金のことも、学校でちゃんと
やっていかないとですね。

そして、価値観や生き方は、
ひとりひとり違うことも(笑)

何が何だか分からなくなってる状態で、
いい判断なんか絶対できないですね。

混乱にさえ気づけてませんでした(笑)

本当にありがとうございました。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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