年齢層のマーケティング

執筆者:昆 知宏
  

お客さんとの年齢差。

離れてくると、ちょっといろいろ今までのようにいかない。

前からじわじわと感じていたものの、そろそろハッキリ感じるようになってきた。

私は31歳の時にFPとして独立し、だいたい自分と同じ年齢層の方の住宅相談をメインに行ってきました。

お客さんのほとんどが±5歳くらいの自分と同じ年齢層だから、話は合うし、考えていることもだいたいお互いに分かる。世代の共通言語もたくさんある。とても楽しかったです。

しかし、独立して10年も経つとお客さんとの年齢層がどんどん離れてきます。

コンサルティング業として提供する内容に変わりはないのですが、なんというか芯となるコミュニケーションが最近前よりうまくいかないなと感じてきています。

価値観の相違や、自分と相手との現在地の違い。

年齢が一回り違うとなると、簡単に合わせることは現実的には簡単ではないようです。

親近感は最強の武器になる

アドバイス・コンサルティング業を営む中で、顧客との関係性を築くためには親近感が絶対的な武器になると思っています。

シンプルに「年齢が近い」というのは最強の武器になるし、その武器をこの10年余すことなく私は使ってきました。

生きてきた時代が一緒だから、多くを語らずともその人の苦労や心配事はだいたい理解ができます。

しかし、最近は世代の違いがどうしてもあり、私が思っていることと、相手が思っていることの根本的な相違を感じる場面が増えています。

そのような中で、どういった形で親近感を感じてもらえるかどうかを考えながら仕事をすることが多くなりました。

無理に親近感を演出すれば痛い人になってしまいますし、悩ましいテーマです。

10年活動して生まれたメリット

一方でメリットもあります。

私自身、10歳年齢が増えたということは、若い人と連携が離れてしまったということは紛れもない事実です。しかし、同時にシニアの方々と年齢が近づいたということでもあります。

正直にいうと、30代の時は50代、60代の方の相談は苦手でした。

コミュニケーションがうまく取れなかったからです。

しかし言葉が正しいかは定かではないのですが“人生経験”と言われる部分を積んだことで、自分よりも上の年齢層の方々にも最近コミュニケーションで困ることはないし、コンサルティングにおいての深いアドバイスができている感じがします。

こういったことは結果に顕著に表れて気づいたら自分よりも年齢が上の顧客が多くを占めるようになっていました。

無理にボリューム層を意識しない

住宅相談というと、今でも当然ながら子育てファミリー層がコアです。

年齢は圧倒的に30歳前後。

ここがボリュームゾーンになります。

大手の広告展開は当然ここに注力をして、大々的に広告費が投下されています。

私も今まではここで戦っていたわけですが、そもそも晩婚化・少子化・物価高騰でこのボリュームゾーンはかなり弱ってきていることも事実。少なくなっているパイを競合で取り合っている、しかも特に大手のアドバイザーは顧客との年齢層も近く強い。

この環境下で大の得意分野というところでもないところに時間とお金を投下するよりも、自分の新しいゾーンを探す・考えてみるという作業は多くの人に価値があると思います。

私も無理にボリュームゾーンに合わせなくなってからだいぶ気が楽になりました。

まとめると

・これから開業しようと思っている人は、得意とする対象(年齢層)を理解する

・自身と顧客との年齢層が近ければそれだけで優位性がある

・最近うまく嚙み合わないと思っている人はターゲットの年齢レンジを変えてみる

こんな感じです。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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