執筆者:昆 知宏
何事も勉強。
私は住宅FPの仕事をする前に、マイホームを建てました。
当時は医療業界の営業職をしていたので、家の知識は全くなく素人として挑んだ家づくり。
その後大きな問題なく15年間住んできた家を、いろいろあってリノベーション工事をすることにしたのです。
当初の役目を終えた二世帯住宅を単世帯住宅に変えるというのが目的で、15年目で大規模修繕工事をするというのはタイミング的には極めて稀なことです。
住宅FPとして、新築の経験はしたものの、最近ニーズの高いリフォーム工事の実体験がなかったので仕事に生かすためにも実体験を積みたいというのも目的でありました。
そして、実際に外壁を全部はがしてみたり、家の見えないところをすべてオープンにしてみたりしたところ…
なんと!我が家は欠陥住宅だった
いろいろ勉強をするという目的なので、リフォーム工事は新築を建てた業者とは全く別のところに依頼をすることにしました。
メンバーは玄人向けの構成で、依頼したい工務店を先に決め、その後工務店との打ち合わせの中で詳細イメージを伝えることに限界を感じたので設計士さんもいたほうがいいと思いコストをケチらず空間概念の考え方に共感できる設計士さんもつけることにしました。
これが住宅FPを10年以上経験した私の中でのベストアンサーです。
とはいえ、「そんな大きな問題はなかろう」と高をくくっていたのですが大工さんが少し気まずそうな雰囲気で私に伝えたいことがあるようでした。
帰宅後、家を見たところなんと、内部の木枠がボロボロに腐っている状態だったのです。
原因は明らかで雨漏りでした。
目に見える内部には雨水は侵入していなかったので15年間気づきませんでしたが、外壁の内側に侵入していたようです。
症状を見るに最近起こったような感じはなく、新築直後から漏れていたような感じの腐敗具体でした。10年以内に気づいていたら瑕疵保険の範囲かと思いますが、既に保険期間は切れています。
その他にも、屋根から雨漏りしている箇所も見つかりました。
板金屋さんの表情からこちらも室内には侵入していないもの、もちろん放置できるものではなく修繕が必要とすぐに察しました。
とても勉強になった
こんなことが起きると、普通は大ショックですよね。
新築を建てた会社へ怒りの矛先が向くというのが普通の発想だと思います。
でも私は、少しあり得るかなと思っていたところもありました。
攻めたデザイン、施工管理のクオリティから想像すると、十分にそういう結果はあり得るだろうとプロとなった今は予想の範疇でした。
とはいえ、まあギリ大丈夫だろうと思っていたのですが、結果ダメだったことがわかり、私自身は改めて施工管理の重要さやリスクを回避した図面作成の大事さを身をもって痛感することができ、これからの住宅FPとしてアドバイスの幅がグッと広がったと言えます。
依頼した設計士さんも、このタイミングでやっておいて本当によかったですねと(気づいて修理できるから)という感じで言ってくれました。
実はそれ以外にも、隙間の施工不良による害獣侵入による糞の蓄積、図面と筋交いの位置が違うことによる強度懸念などありまして、人によっては訴訟ものだと思いますが、私はむしろ本当に勉強になってありがたいという気持ちでした。
結果はどうあれ、このタイミングでリフォームするつもりだったのでいろいろエピソードができて話のタネとしてむしろオイシイとも思えるくらいです。
すごいプラス思考でしょ(笑)
住宅会社を紹介している人は本当に気を付けてください
最近は住宅紹介ビジネスが流行っており、FPの方でも行っている方は多いと思います。
内心、軽い気持ちでやっている方が多い印象がありとても心配です。
ストレートに言うと、紹介した住宅会社がこのような欠陥工事を行った場合にあなたは責任を取る覚悟はありますでしょうか?
法的な責任はないとしても、紹介をされて建てたお客さんは確実にあなたを恨むことになると思います。
特に紹介を求めている低価格で拡大路線の住宅会社ほど、内部はボロボロです。
とても一棟一棟適切な現場管理なんてできていないし、現場に入る職人も低価格で叩かれて低報酬のためモチベーションも低く、経験も少ない人で多く構成されがちです。
欠陥住宅リスクはかなり高いと言えるでしょう。
しかしこういうところはコンサルティング会社にたんまりお金を積んで営業マーケに力を入れているので、紹介をすると決まりやすいです。
私は基本的にはこういう会社は内情を知っているのでノータッチですが、紹介会社は好んで紹介するため、いつか(近いうちに)問題になるだろうなと感じています。
保険の紹介ビジネスと近い闇を感じます。
あなたがもし住宅FP分野を考えていて、住宅の紹介コンサルティングまで考えているなら、少なくとも自分の家を作った経験があるか、住宅業界で働いた経験があることが望ましいです。
そうではないなら、ハイリスクであるということを経験則としてお伝えします。
表面上の営業マーケ資料だけを鵜呑みにして、その住宅会社を判断してはいけません。
特に昨今は住宅価格高騰により、過度の価格競争をしている会社が多くクオリティは危険水域に迫っているということだけは理解をしておくと、大きなトラブルに巻き込まれることはなくなると思います。
コンサルティング業はすべてが勉強と実体験です。
PS
これから我が家には追加見積がきます。勉強とはいえ、負担は痛い...。