「なんで、まだ話してもないのに
全部分かるんですか!?
え!?なんで、なんで!?
まるで私全部見られていたみたい。
占い師ですか!?(笑)」
先日こんなやり取りの後、
初めて会ったからいきなり
コンサルティングの依頼を
いただきました。
神妙な面持ちで相談に来られた
50代の女性の方。
経営者であるこの奥さんは、
夫からはすべて任せるから、
全部自由にしていいと言われ、
※ちなみに夫はサラリーマンで
妻の会社とは関係なくお金も出さない。
同居予定の将来社長である子は、
金遣いが荒く住宅ローンを
真剣に考えてくれない。
今回この子を主債務者にして、
連帯債務に入ろうと
思っているのだけど、
どうしたらいいの!?
他にも・・・あれもこれも
どうしたらいいんですかっ!?
このように相談相手がおらず、
考えがまとまらない状態に
困惑していることが分かりました。
まずは思考整理ですが
このような相談者の方の場合は、
まず相手の話を全部聞き取って
紙に書いてまとめ共有していくことで
思考を整理させてあげることが
有効だと思います。
まあ、普通は相談業務をする上で、
誰だってこういうプロセスを
踏みますよね。
あー、整理してスッキリしたー
ありがとー!
でも別にいいのですが、
せっかく相談に来ていただいた方の
未来を良くしていきたいので、
私はできればコンサルティング契約を
してほしいと思っています。
なので、この手順を踏む前に、
バーナム効果を意図的に使いました。
バーナム効果って何!?
バーナム効果とは、
誰でも該当するような曖昧な質問でも
まるで自分だけが該当するように
思ってもらうことです。
ちょっと前にTSUTAYAで、
「ヤバい心理学」だったか、
「黒すぎる心理学」みたいな本を
立ち読みしていて思い出しました。
占い師が多用するテクニックです。
こういうと聞こえが悪いですが、
別に悪用しているわけではありません。
というわけで、私は切り出す。
「奥さん、いま家を建てるのが
不安ですよね!?」
(そりゃ、だから相談に
来てるんでしょ)
「正直、このまま進めたら、
まずいと思ってますよね?」
(そりゃ、だから相談に
来てるんでしょ)
「それは住宅ローン返済が
一番の不安の種ですよね!?」
(そりゃ、FPに相談に来ているの
だからそうでしょ)
こんな曖昧な質問でも、
当たってる!となるのが
バーナム効果で、
「大丈夫です。奥さんの要望は、
大きくコストダウンして実現することが
できますよ!」
(雑談の中で断言できる材料が
あったので)
と私は言いました。
占い師的には、
「いまあなた恋に悩んでるしょ!?
でも、大丈夫ですよ!」
的なやりとりですよね。
雑談の中から断言材料を探る
肝心なのはここからになります。
凄いと言われる占い師は相談者の現状を
細木数子のように“ズバリ言うわよ”します。
FP昆もズバリ言うわよの準備は万端です。
なぜなら雑談の中から、
相談者の悩みが具体的に分かったからです。
まず家の見積もりが高すぎて、
不安ということ。
具体的なメーカー名は出ませんでしたが、
延べ床面積と工法を聞いて、
メーカー名と見積もり価格の予想が
つきました。
そして、私はズバリ言います。
「奥さん、今検討しているところは、
○○工務店ですよね。
そして見積もりが約4,000万円で
当初より大きく超えてしまって
どうしたらいいか困っていたんですよね。
誰に相談していいかも分からなかったの
ですよね。」
そして雑談の中で税理士さんから
保険の提案を受けていて迷っている
ということ話もありました。
契約者:法人
被保険者:34歳息子
退職金上乗せ目的
提案者:税理士
「奥さん、提案されているの、
○○生命の○○型保険ですよね。
(決算書を見せてもらっていたので)
決算書から判断すると月払い○○万円程を
提案されていませんか?
そしてピーク時の返戻率は、
102%くらいですよね。
息子さんの退職金になり税金対策に
なると言われてますが、
正直こんなに継続してキャッシュを
払い続けることに不安があるんですよね。
(従業員を大事にしたいと言っていたので)
実はそれよりも奥さん従業員のために、
お金を使ったりプールしておいた方が
本当はいいと思ってますよね。」
信頼を作るための方法
完全的中でした。
というか住宅や保険の知識がある程度
あれば雑談の中で90%以上間違いの
ないことをただ言っただけです。
でも相談者からすれば、
「なんで、まだ話してもないのに
全部分かるんですか!?
え!?なんで、なんで!?
まるで私全部見られていたみたい。
占い師ですか!?(笑)」
というふうになったのでしょう。
(意図的にやりましたが笑)
私たちFPは顧客との信頼を作り、
相談者の最善の問題解決をすることが
ミッションです。
テクニックは、なんか嫌!
と思われる方もいると思いますが、
信頼関係を作る方法については、
いろんな手段を知識として
持っておいた方がいいというお話でした。
だって、それができないと、
顧客の利益を守るべき立場の
土俵にも上がれないからです。