FPを10年続けていま一番後悔していること

執筆者:昆 知宏
  

FPを10年間なんとかここまでやってこれたのに、もったいないことをしたなということがあります。

せっかく継続してきたのに、その財産を私はあまり活用してこなかったからです。

今になって日頃からコツコツ財産を積み上げておけば、今はもうちょっと違った展開になっているのではないかなと思うのですが、後になって気づいても時は遅し。

なのでまだ年数が浅い方や、これから開業する方にはぜひ実践してほしいことがあります。

それは何かというと…

既存顧客とのつながりを大事にしよう

私は住宅購入のコンサルティングという立ち位置から、基本的にはコンサルティングはリピートしません。

家を2回建てるという人は稀だからです。

そのため、コンサルティングの契約期間が終わったらそこで終了となり、その後に連絡を取ることはほぼありませんでした。

仕事としては一区切りだし、その先の収益機会がほぼないためそのような形にしていたのです。

中には年賀状や連絡をしてくれる人もいるのですが、全体の5%以下。

残り95%の方々はその一瞬だけ時を共にして、今はそれぞれの生活の中で交わることなく全く別な世界で生きていることになります。

ただ最近になって、これってとてももったいないことをしたなと感じています。

好意的なつながりは財産になる

私の残念なところは、正直に言うとコンサルティング後に関係を続けなかったことは、収益が生まれない相談が増えるかもしれないしそれで業務過多になってしまうという懸念でした。

独立当初からコロナ前まではひとりで鬼のように相談件数をこなしていたので、終わった仕事には確実に一区切りをつけてどんどん次へ次へと行きたかったからです。

昔していた住宅営業の名残かもしれません。
新規に集中しないと、効率的に仕事ができなかったからです。
契約をもらって、家が建ったらそこで終わり。

家づくりは本当にいろいろあって無事にそこまで来たら、一息ついて安心できるのでその次を見る余裕はありませんでした。

それを10年繰り返したら、これまで莫大な数の相談にのってきたものの、具体的に今も関係が続いていて連絡を気軽にとれるような人があまりいないのです。

まるでコンサルティングマシーンのようで、あと数年すればAIに置き換えられるような働き方をしていたわけです。正直、もうじわじわと置き換えられているような印象さえあります。

既存顧客との関係の続け方

例えば日ごろからニュースレターのような形で年に2回でも、たとえ一方的にでも連絡をするということはとてもいいと思います。

いい関係でコンサルティングが終わっているのなら、その関係のまま存在を忘れられないからです。

顧客を紹介してほしいとか、そういうことではなくて、【いい関係のまま関係が続く】ということが人生においてかけがいのない財産だということをいま感じています。

収益というよりも、人に頼られる意味、人生にとってのその価値を今感じます。

ビジネスをうまく回して売り上げを増やす、内部留保を増やす。
これも大事です。

しかし10年やってみて大事に思ったのは、人との関係性を築く価値です。

自分を頼りにしてくれる人がたくさんいるなんて、それこそ人生の宝であり、人生のすべてという感じが最近しています。

こういった精神的な充足を私はあまりにもおろそかにしていたと、今になって感じるのです。

もしあなたがこれからご縁があり出会った人、あなたから商品を買ってくれたり、関係が密になった相談者がいたらその方との関係性を強く太くするために考えて動いてみてください。

きっとあなたのFP人生の質が、今の何倍以上にも上がっていきます。

PS
私は10周年を口実に今までのお客様にレターを送ってみようと思います。
今からでもきっと遅くはないはずです。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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