値上げは"悪"かを考える

昆知宏

あなたは行きつけのお店はありますか?

私は月に1~2回ほど必ず行っている
ラーメン屋さんがあります。

自宅から10㎞、職場からも5㎞と
そこそこ遠い距離にあるお店ですが、
味を求めて行ってしまうのです。

お店は人気店ということもあり、
12:00前後に行くといつも
大行列・・・。

店の中では納まりきれず、
外にも列が続く感じです。

これを避けるために、
11:00の開店直後に行ったり
(それでも並ぶ)

ピークタイムを過ぎた14:00頃に
行く機会が多かったのですが、
(それでも並ぶ)

前回は仕事の移動の動線上、
12:00ちょうどにお店に行きました。

大混雑を覚悟していったものの、
なんと行列は一切なく、
あっさりと席に案内されました。

あれ?どうしたんだろう?

不思議でしょうがなかった私ですが、
その謎はすぐに解けました。

価格改定のお知らせ

いつも頼んでいるラーメンを
10%以上の値上げをしていたのです。

750円→850円というような感じで、
結構な値上げになっていました。

700円台で食べられるラーメンでは
個人的には最高峰と思っていたのですが、

800円台だと、うーん、
ちょっと割高感を感じるなあという
のが正直な感想でした。

味はもちろん変わっておらず、
100円アップすることにより、

並ぶ時間が短縮されるのであれば
むしろいいかもとも思いましたが、

うん、でも、割高感はあるよね。

という感じです。

常連の私がそう思ったのですが、
他のみんなもそう思っているはずで、

それが見事に客足に影響を与えて
いる典型的なケースだと思います。

100円の影響力はすごいです。

席はほぼ満席ですが溢れずちょうど
いいサイクルを繰り返しているようで

乗車率120%の電車が乗車率100%
ピッタリになっている感じでした。

このラーメン屋やるな

ここで多くの方が、
値上げによる売り上げダウンという
ネガティブなイメージを持った
かもしれません。

しかしいつも行列で死にそうなくらい
忙しい厨房のスタッフを見ていたので
これが失敗だったとは思えません。

今まで席に着いてからも
10分以上ラーメンが来るのを

待っていたのですが、
今回はなんと3分で来ました。

「はやっ」

という感じでしたし、

隣の席で”職場の教養”を読みながら
待っていたストイックなおじさんも

「はやっ」

と声に出して驚いてました。

価格を真剣に考える

価格を上げベストな客数になれば
働いている人の負担を減らしたり、
顧客の満足度が上がる。

売り上げは下がるかもしれないけど、
プラスのスパイラルが発生します。

この店主は一杯入魂系の人なので、
ここまで分かっていて
やったのだと思います。

きっと売り上げは10%落ちたけど、
丁寧に作れるようになったり、
スタッフも丁寧に接客できるようになったので

本当にファンの人たちに来てもらえれば
それでOK!

とう状況を値上げによって
作り出したのです。

これは私たちFPにも言えます。

低単価や無料で数をこなしていても、
自分自身も疲弊してくるし、
顧客へのサービス密度が
どうしても下がってしまいます。

魅力を正直に、ストイックに、
伝えていれば価格がどうであろうと
あなたのファンは来てくれるのです。

”高顧客単価→高顧客満足度”

常日頃意識していなければ
できませんが、

できるとこれ位以上に嬉しいことは
ありません。

100円上がったけれど、
快適に提供されたラーメンを
味わいながら感じたことでした。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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