住宅FPとして成功するために必要な力

執筆者:昆 知宏

   
GWに石塚さんに会った時に「住宅FPの講座をまたぜひやってください」とお声がけをいただきました。

2015年から2017年にかけて第1期、2期、3期と100名近くの方にご参加いただいてからそれっきりになっています。その後、成果を出された方もいらっしゃり嬉しく思います。

※ぜひ過去に受講された方で最近の成果があれば教えてください!

最後に講座を行ってからもう7,8年。

あっという間です。

私自身も変わらず住宅FPの最前線でプレイヤーとして活動しています。

基本的なビジネスモデルは当時と変わらず、不変です。

変わったのは集客方法やマーケティングです。

昔はメルマガのリスト取り、対面セミナーの開催、facebook広告。

このあたりが主体で多額の広告費をかけて運用していました。

今は、これらの方法で成果が出る手ごたえがありません。

コツコツブログを書く、最近はSEO対策の記事をストックする、顧客事例のコンテンツを充実させるという古典的な方法をとっています。

顧客事例のコンテンツについては再現性が高く結果につながりやすいので、次に講座をする機会があれば詳しくレクチャーすることができそうです。

成果を出し続ける住宅FPの共通点

これは住宅分野に限らずですが「生活感覚の翻訳力」かなと思っています。

住宅FPとして成功するためには、住宅ローン、税制、補助金制度などの専門知識が欠かせないのですがFPなら誰もが理解している前提です。しかし、その知識だけでは顧客の心に届きません。

成果を出しているFPたちに共通するのは、単なる知識量ではなく「翻訳力」です。つまり、複雑な制度や数字を、目の前の相談者の “生活に置き換えて” 伝えられるかどうか。

たとえば、住宅ローン控除の説明で「13年間で最大400万円控除されます」と言ってもピンとこない方は多いでしょう。実際にどのような還付されるかを説明し、「春にボーナスが1回増えます。でも半分くらい、固定資産税でまた取られます(笑)」というトークができれば、話の解像度が上がります。

住宅ローンの変動金利のルール説明などもFPテキストに書いてある通りに説明しても「???」です。自分スタイルで分かりやすく説明できるセンスが成功しているFPには共通してみられることです。

時代の変化に敏感な「情報感度」と「現場力」

住宅市場は常に変化しています。

住宅会社の考え方、地域のクセ、金利の動き、建築費の高騰、補助金制度の改正、各自治体の支援策そしてそれらは地域ごとに微妙に違う「地場の変化」も含みます。住宅FPとして成功している人はこうした「変化」に敏感です。

特に住宅分野は地域によって全く情報が異なります。例えば新潟県でいうと、第一の都市である新潟市と第二の都市である長岡市では何もかも違います。

常識も人柄も異なる部分が大きいため、地域に特化した存在になりやすいです。これはつまり大手資本の人たちに負けづらい、独自性という強みを持てるということを意味します。

情報感度とは、単にニュースを読むことではありません。

「現場で起きていること」を、住宅会社や不動産仲介業者、金融機関、卸売業者などから拾い、そこに “自分の視点” を乗せて届ける力こそが信頼と差別化を生みます。

例えば、倒産しそうな会社の情報は、現場の情報が分かれば半年前には掴むことができます。この情報は表には出づらいですが、顧客にとっては最も欲しい情報ですよね。そのほか、表面上は良く見せても、施工管理が絶望的な会社の情報とか…。

※ただこのような情報提供する場合は、顧客の利益保全だけが目的であって事前にNDA(秘密保持契約)を交わすなど注意が必要です。

横の連携がすべて

FPはサッカーに例えると、自分でシュートを決めにいくようなポジションには適しません。

多くの専門家と提携し、他の専門家と顧客にとって一番のゴールをアシストしていく存在です。住宅FPの場合、主役は住宅会社です。

地元や大手の住宅会社、工務店、不動産業者、家屋調査士、司法書士などとの連携は、相談者への提案力と安心感を高める武器になります。異業種連携こそが、信頼されるFPとしての幅を広げるのは間違いありません。

このあたりの人脈のデザインが完全に自分の個性にもなるし、想いをどうデザインするかは他のFPとの大きな差別化になります。私が一番力を入れている分野でもあります。

例えば、若手で勢いのある経営者やプレイヤーにコンタクトを取りに行って会いに行くという姿勢は大事です。住宅業界は古いところも多い業界なので、これからの業界をつくっていく若い人とは積極的につながっていきたいです。

一方で不動産業界は大手を主体として結果を出している人とどうつながるかです。都市部の場合は、大手不動産会社が情報をグリップしているケースが多く、そのような人たちがもっている物件をどう提供してもらえるかは住宅FPとして顧客に価値を提供できるかに直結します。

最初は不動産の人脈が疎くて、不動産の分野についてはなかなか顧客に価値を提供できなかったのですが、長くやっていてこのあたりが強化できてきて仕事がしやくなりました。

住宅FPはローンの相談はほんの一部

住宅FPの仕事は、住宅ローンだけを扱う仕事ではありません。「人生で最も大きな買い物に寄り添う」という、極めて感情の伴う仕事です。やってみると分かりますが、この感情面は本当に重いです。とても責任とやりがいがあります。

だからこそ、制度や数字だけでなく、「この人と話すと安心できる」と感じてもらえる存在であることが、何よりの強みになります。自分自身をどうデザインするかが非常に重要ですが、私自身はかしこまらず素のままでやっています。

そういったゆるみを許容してくれないタイプの顧客とはそもそもお付き合いしたくありません。それだけ住宅購入の想いは重く、合わない人と1年、2年人間的に付き合うのはしんどいのです。

こんな感じで専門性だけではなく、伝える力・つながる力・環境(横展開)を整える力を掛け算していく──それが本当に信頼される住宅FPのあり方だと、私は考えています。

人に教えるというのは大きなエネルギーがいります。

BtoBと、BtoCを両立するのは私的には少しつらいので、対エンドユーザーへの仕事がひと段落ついたら、いつかまたみなさんに私が蓄積してきた情報を提供できればと思っています。

その際はぜひ直接お会いしましょう。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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