「知っている」と「やっている」は違う

執筆者:昆 知宏
   

法人の余剰資金をどう運用するか。

FPとして顧客に相談されることはあっても、自分の会社のお金をどうするかとなると、意外と保守的になる人は多いのではないでしょうか。

法人の余剰資金の運用先として、保険が選ばれるケースは多いと思います。保障を確保しながら運用できるという意味では、合理的な選択肢の一つです。

ただ、保障が特に必要なく、ある程度のリスクを取れるのであれば、私は今の時代、株式投資も有力な選択肢だと考えています。

もちろん法人のお金ですから、個人のお金以上に慎重な判断は必要です。

だからこそ、誰かに勧める前に、まず自分のお金で実験してみようと思いました。

法人のお金を実際に動かしてみた

私は去年の4月、そして今年の7月に分けて、会社の内部留保の50%を証券口座に移しました。

購入しているのは、日本の個別株が中心です。

これまで銀行口座で眠っていたお金を、実際に株式へ移してみる。

やってみると、思っていた以上にいろいろなことを感じます。

もちろん株価が下がれば、会社の資産も減ります。

「わざわざ値動きのあるものに変える必要があるのか」と思うのも当然です。

私の場合は、当面使う予定のない余剰資金だからこそ、その一部を実験的に運用に回しました。

そして面白かったのが、配当金です。

まだ大きな金額ではありませんが、実際に会社の口座へ営業外収益として入ってくる。

これは思っていた以上に気分がいいものです。

銀行に置いておくだけだったお金が、自分の会社とは別のところで働いている。

今のところ、含み益もそれなりに出ているのでそんな感覚があります。

営業外収益は純粋に気持ちいい

FPの仕事は、比較的固定費が大きくないビジネスです。

だからこそ、営業外収益が少しでもあることには意味があると思っています。

私の場合、2月と8月は毎年相談件数が少なく、売上も落ちやすい時期です。

そんなときに配当金が入ってくると、金額以上に精神的な安心感があります。

将来的には、家賃程度を営業外収益だけで賄えるようになればいいなと考えています。

そうなれば、本業で必要な売上はさらに小さくなります。

これは経営者として、かなり大きな意味があると思っています。

まだそこまで到達していませんが、「本当にそうなるのか」を自分のお金で実験している途中です。これまでの経験上、時間の問題だとも思っています。

FPこそ自分のお金で試してみる

FPは金融の知識をたくさん勉強しています。

ところが私の周囲を見ていると、知識が豊富なFPほど、自分自身の投資については意外と保守的な人も多い印象があります。

もちろん、それが悪いわけではありません。

リスク許容度は人それぞれですし、現金を多く持つ合理性もあります。

ただ私は最近、せっかく持っている金融知識を、もう少し自分のために使ってもいいのではないかと思っています。少なくとも顧客に提案しようと思っているリスクを自分でも許容できているか、そして実践しているかは大事な気がします。

自分のお金を動かしてみると、教科書では分からないことが出てきます。

株価が下がったときに何を感じるのか。

配当金が入ったときにどう感じるのか。

法人のお金が値動きすることに、どこまで耐えられるのか。

そして、投資したお金が本業とは別の収益を生み出すことが、経営者としてどれほど心強いのか。

これは実際にやってみないと分かりません。

自分自身が経験したことには、独特の説得力があります。

「知っています」ではなく、

「私は実際にやってみました」

と言える。

この差は、FPとして意外と大きいのではないでしょうか。

私はこれからも、いろいろなことを自分のお金で試してみたいと思っています。

うまくいくかもしれない。

失敗するかもしれない。

でも、その経験そのものが、いつか誰かにお金の話をするときの、生きた言葉になるのだと思っています。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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