ライフプラン提案のやってしまいがちな間違い

昆知宏

「ズバッと言わないで、やわらかめでお願いします...。」

FPをやっていると誰もがぶち当たる問題。
それは、ライフプランを作成したのはいいものの
結果が思わしくない場合の対応です。

私は昔企業系FPもやっていたことがあります。

そういうときは、
うまーい具合にオブラートに包む
能力が求められました。

勝手に収入を上げてみたり
支出を下げる提案を織り込んで結果を
提案することを求められていました。

それは、そうですよね。

何かを売るために作成するライフプランは
結果が悪いことを誰もが望んでいないからです。

でもだからといって勝手にデータを
いじるのもどうかと思うのですが、

お客さんも買いたい!
企業側も売りたい!

となればそこに何を求められているかは
自然と見えない力によってひっぱられていくものです。

一言でいうと、、、

「こんなのバカらしい!」

独立して以後は当然ながら、
事実をそのままお出しするライフプランを
作るわけです。

しかし、時としてそれは残酷。

あなたも経験がありますよね?

結果が思わしくないときにあなたは
どう対応するでしょうか?

考えられる対応方法

A:事実をそのまま出す
B:事実をそのまま+改善案を出す
C:改善案しか出さない

提案の型が決まっている方の場合は、
そんなの〇〇に決まってるでしょ!

ときっとなると思います。

本当はAで行きたいところですが
実際、私はBでやっています。

これはスタンスにもよります。

例えば私のように家を買うのが大前提で
相談に来られている人の場合、
Aの提示は正しいようで正しくないのです。

面談は、それはそれは重くなります。

しかし世間一般的には、
Aの提案を受けることは
お客様はあまり多くありません。

何かを売ることを前提に収支を作る時に
例えば赤字のお客様にAを出す行為は
商談機会を自分で潰しにいくようなものですよね。

しかしお客様の未来を考えた時に、
売ってはいけない場面というのは
実際は多く存在するのです。

FPとしては当然Aの提案を受けるのが
ベストだと思い私たちも普通に考えれば
そう思いますよね。

しかし本音がそうでもないところが
ライフプラン作成の難しいところです。

どういうことかというと...

大丈夫だと言ってほしい!!

ライフプランを作成したいお客様で
家などの大きな買い物を予定している人の
ライフプラン作成の本当の目的は何でしょうか?

事実を知りたいから来られる。

これが正解だと思いますか?

実は違うんです。

大丈夫かどうかを確認しにきているのです。
大丈夫だと言って欲しいのです。

したがって事実をそのまま出した場合に
理想とする生活の実現が無理となったときに

その説明を冷静に受け止められる人って
多くないと思います。

その証拠として、

・怒って帰る人
・もう少しやわらかく言って欲しい

と”怒り”を感じる方が一定数存在しています。

こんなことになるとあなたはどうですか?

私はとてもじゃないけどこの仕事を
続けていくメンタルは持てません。

「ライフプランは事実を見るからこそ
意味があって事実に向き合うべきです!」

なーんてやっちゃうと、
面談の雰囲気は最悪。

でもだからと言って甘やかしたって
それこそ意味がないでしょうという葛藤。

これは永遠のループですね。

いつでも結論は必ず大丈夫

これまでいろいろやってきて、
私なりの結論は厳しいのはダメかなということです。

そういう時代なのかもしれませんが
ズバッと言ってくれる人って少なくなり
助言もすぐに苦言ととらえられる時代。

とことん優しくあるべき。
こっちが正解だと思っています。

もちろんライフプランの改ざんをするわけではありません。

結果が思わしくない場合には、
どうやったらよくなるかをどんどん選択肢を提案します。

収入を上げれば大丈夫。
支出を下げれば大丈夫。

極論この2択しかないわけなのですが、
どんどん深く掘り下げます。

転職は現実的なのか。
今までのキャリアはどうなのか?
モチベーションはどうなのか?

無駄な支出は何なのか?
下げるのは簡単だが、メンタル的に大丈夫か?

こういう問いかけをしていくことにより
結論は結局は出せないのですが、

相談者の方が自分で必死に考えて
自分なりの答えを出してくれることが
多くなりました。

結局「家を買うのは無理」という
結論になることも多いのですが、

それを私が言うのではなくて、
相談者自身が考えることにより自分で結論を
出せるようになるのです。

はっきり言って事実は何も変わりません。

しかし結果は同じなのですが、

・怒って帰られるのか
・自分自身で答えを出し納得されるか

満足度は劇的に変わることは想像できますよね。

今の世は厳しさよりも、やさしさ。

もっとやさしいFPになろうと、
そんな気持ちの今日この頃でした。

特に男性FPは理論的に結論を
出してしまう傾向があるので、

”やさしさ”って本当に大事だなと思います。

コンサルタントこそ心の余裕が大事。
これに尽きます。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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