なんだか危険なお金の話…?

執筆者:昆 知宏
    

恥ずかしながら、私自身もずっと昔、投資詐欺にひっかかったことがあります。
当時はかなりのショックでしたし「自分はなんて判断が甘かったんだろう」と情けない気持ちにもなりました。

ただ、今となっては、あれは良い勉強代だったと思っています。
その後の判断基準や、相談者を見る視点には、確実に影響を与えてくれました。

FPとして仕事をするうえで、「なぜ人はこういう話に引き寄せられるのか」を体感できた経験だったとも言えます。

はっきり言ってもらえて助かります

先日、相談者から「この投資案件、どう思いますか?」と聞かれることがありました。
細かい資料まで確認したわけではありませんが、これまでの経験と知識の中では、「高確率であまり良くない未来が起こりそうですね」という感触がありました。

そのまま正直に伝えると、相談者は「やっぱりそうですよね。はっきり言ってもらえて助かります」と、明らかに安心した様子でした。

FPとして、こういう瞬間に立ち会うことは少なくありませんよね。
そもそも、不安で誰かに自分で思っていることを代弁してほしいという気持ちがあったのだと推測されます。

そのあとに続いた一言で、空気が変わりました

「実は、上司から強く勧誘されていて、セミナーに来ないかと言われているんです。」
この時点で、なおさら危険な匂いがしてきます。
明らかに善意ではないと直感的に思いますよね。

しかも、その方はかなりしっかりした会社にお勤めでした。
だからこそ、上司の方がこの先どうなってしまうのか、あまり考えたくない未来まで想像できてしまったのです。
せめて、自分のお金を投資するだけに留まっていてほしいものです。
それであればもし失敗しても、それは勉強代で済ますことができます。

10年以上前からよく見てきた構図が、形を変えずに今も繰り返されている。
そのことに少し驚きつつも、私はそれ以上踏み込むのをやめました。
正論を言えば状況が良くなるとは限らないですし、距離を取ることもFPとしての判断だと思っています。

失うのはお金よりも、信頼かもしれない

結論として、こうした話で一番リスクが大きいのは、「被害者」よりも「紹介者」なのではないかと思います。

仮に破綻した場合に金銭的な損失も大きいけれどそれ以上に、これまで積み上げてきた信頼が一気に崩れてしまうリスクが大きすぎる。

その話が本当に良い話だったとしても、そこから得られるリターンと、もしウソだった場合に失う実損失と信頼の失墜を天秤にかければ、どう考えても割に合いません。
私なら1秒でこう考えます。

株式の平均利回りが年7%前後と言われる中で、それを大きく上回るリターンを、しかも元本保証で出す話が現実的かどうか。

私は大学の授業でも、自分の子どもに言うつもりで危険なお金の話について何度も話してきました。

私自身の考え方は資産形成のスピードアップは、利回りの追求ではなく、働いて収入を増やすもしくは倹約して入金力を高め、スタンダードな金融商品を積み上げていくこと。
せいぜいリスクをとるなら勉強して個別株で勝負でしょうか。

欲を出せば、知識が乏しいのに近道をしようとすれば、必ずお金の負の力に飲み込まれてしまいます。
もうこれが真理でしょう。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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