業績不振の日産のアイディアがFPにも使える話

執筆者:昆 知宏
   

先日、東京ビッグサイトで開催された「ジャパンモビリティショー」に行ってきました。

私のお目当ては...

・MAZDAのコンセプトカー

(現ユーザーなので今後の方向性が見たい)

・ダイハツの新型FRコペンコンセプトカー

(維持費の安いオープンカーならセカンドカーとして持てる?)

・LEXUSのコンセプトスポーツとか高級車を眺めたい

(目の保養に)

こんな感じでした。

コンセプトカーは市販されるかどうかは未知数です。そのため夢のあるコンセプトで開発をされていて見ていて楽しくていつも摂れない栄養分が取れた気持ちになりました。

その他、実際に既に市販されていて購入できる車の中では、三菱アウトランダーやBMWのMシリーズ、そして日産のフェアレディZというスポーツカーにとても惹かれました。(車詳しくない人ごめんなさい!)

三菱のSUVやBMWは以前からいいなあと思っていて、いつか買えたらいいなという想いがあるのですが、正直に言うと日産の車は今まで私の購入候補にすら入っていませんでした。

ところが……

フェアレディZの現物を見て、運転席に座らせてもらっただけでこれかっこいいなあと思って、新車の価格や中古車の価格を調べたりしました。

「興味ゼロの人間を、興味がある人に変える」のは、理屈やスペック比較ではなく、まず「接点」を作ることなんだと改めて感じました。

実は業績不振に陥っている日産はこれから新しいマーケティング戦略を考えているそうで、個人的にその戦略はいいんじゃないかと思ったのです。

日産が“売らない店舗”を増やす

最近の日産のニュースをご覧になった方もいるかもしれませんが、同社は全国のショッピングモール内に展開する「ウォークイン店舗」を、現在の13店舗から30店舗以上へと倍増させる方針を発表しました。

ポイントはここです。

・ 販売しない

・ アンバサダーが説明するだけ

・ 購入見込みがなくても、とにかく接点を増やす

・ 路面店よりも来店数は“10倍”

つまり、

「まず知ってもらい、見てもらう場所を増やす」

「来店のハードルを、徹底的に下げる」

これが狙いです。

その効果はすでに出ていて、展示車に乗り込む人の姿も多く、結果的には近隣の販売店での購入につながっているとのこと。(まさに私が途中まで体験した動線です)

私たち独立系FPにとっても参考になるかも

人は、興味のないものをわざわざ調べません。

「お金の相談」なんて、なおさらです。

でも実際には、

・住宅ローンはギリギリの計画

・教育費はざっくり

・保険はなんとなく

・老後資金は“たぶん大丈夫”

こんな状態の人がほとんど。

しかし、彼らは自分からFPに相談に来ない。

理由は単純で、「FPに相談する」という選択肢がそもそも頭の中にないからです。

これは、日産における“候補にない人”と同じ構造です。

我々がやるべきは「売り場」ではなく「接点づくり」

FPも、自分のサービスを“売り込む”必要はありません。

日産の「ウォークイン店舗」のように、

・売らない場所

・触れてもらう場所

・相談のハードルをゼロにする場所

を用意することが大切です。

たとえば、

・無料家計診断イベント

・カジュアルに立ち寄れるオープンオフィス

・SNSでの短い役立ち投稿(売り込みゼロ)

・ブログの「読むだけで価値がある」系記事

・LINE登録で“まず体験”できる無料PDF

こうした取り組みはすべて、“FP版のウォークイン店舗”と言えます。

そして、いったん接点が生まれれば、興味ゼロだった人でも、相談候補に入り、最終的に有料サービスへ進むことがあります。

「まず知ってもらう」ことに、もっと本気になるべき

日産の幹部はニュースでこう語っています。

「検討段階でいかに我々を考えていただくかが大事」

これは、独立系FPにもそのまま当てはまります。

いかに候補にすら入っていない人に、まず“気軽に触れてもらう”か。

ブログやSNSを続ける価値も、実はここにあります。

「知ってもらう」という一番重要な仕事を、毎日やっているからです。

いまFP業界は、差別化も競争も激しくなっています。

ですが、最も強力な武器はいつの時代も変わりません。

それは「存在を思い出してもらえる状況を、自分で作っておくこと」

日産の戦略は、規模は違えど、私たちFPにも必要な発想です。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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