ごく少数のクレームに引っ張られてはいけない理由

執筆者:昆 知宏
  

ライフプラン作成でよくあることなのですが、結果がけっこうな赤字になってしまったケース。

額が大きくなると、相談者の方に伝えづらいですよね。

特に私はこれから住宅を購入しようと考えている人に、現実を提示しなければならないのでどういうふうに伝えていこうかを本当に悩みます。

とても厳しい現実をたたきつけるようでさすがにFPをしていても気が引けます。

最近は物価高騰の割に収入が増えてなく、晩婚化による住宅取得年齢の上昇を受けて、ライフプランを作っても赤字になる家計が多くを占めるようになってきています。

中にはこのままいくと赤字5,000万円なんていうケースもざらです。

事実をしっかりお伝えする

赤字でどうしようもない。

このような結果になったときには、あなたはどう伝えますか?

私は内心は気が引けてますが、結果を淡々とお伝えします。

例えば、事前に「思ったよりも悪かったです」とか「びっくりしないでください」とかこういった前置きをすることはおすすめしません。

なぜなら、ライフプランを依頼されたということに対してのアンサーは、加工されていない事実をお伝えすることに尽きるからです。

加工されているとはどういうことかというと、ヒアリング内容とは違う内容を勝手に織り込んで無理に赤字幅を狭めたり、黒字に持っていくことを言います。

何かを売ることを目的とするライフプランの場合は、こういったことを意図して求められる時もありますよね。

ですが、独立FPの対価は結果なため淡々と説明します。

相手の表情をみると、当然ながらショックを受けていることは見て取れます。

しかし少し時間をおいて冷静になると、皆さん共通して「本当にライフプランをつくってよよかった」と言っていただけます。

私もそう思います。

赤字であればあるほど、事前に作ってみて本当によかったですねと強く思います。

少数の反応に合わせては絶対にいけない

あなたはひどい赤字の結果になったときに相手に伝えづらいと思うことはありませんか?

私がそう思うには理由があります。

それは今から5年位前に、ひどい赤字の結果を提示したときに、相談者にキレられたことがあるからです。

「そんなはずはない!」といった感じで怒っておられました。

最後にはお金を投げるように出て行かれたことがあり結構トラウマです。

しかし、今まで10年FP事務所をやってきてそれが唯一の1件です。

その1件の人を怒らせないために、慎重に、真実を緩和してお伝えすることに何の意味もないのです。

これはこの件に限らず、ごく少数のクレームや苦言にサービスを修正する方がいるのですが、それはやめてください。

発生率が3%以下であれば無視、なかったことにしてしまいましょう。

独立してやっていくためには、こういうマインドセットは超重要です。

FPでしかできない解決策がある

ライフプランを作って希望通りの人生が送れますというハッピーエンドの方も多くいらっしゃいます。

それはそれでとても良いことです。

しかし、ライフプランを作って赤字になってしまった方が、ご自身で今後のライフプランをよりよいものへとかえていくことは難しいことです。

こういった方こそ、専門的な支援が必要で、効果も目に見えて分かりやすいものです。

そういう観点ではハッピーエンドの結果になるよりも、赤字の結果に終わった相談者の方の方が実はコンサルティングの価値を伝えやすいし、次につながりやすいという明確な傾向もあります。

相手の結果がどうなるにしろ、事実に向き合えるのはFPの醍醐味でありますし、とても伝えづらいような赤字になったとしても、その通りに伝えてあなたができることをしっかりと伝えればあなたも相談者もみんながハッピーになる。

そういう意味では、どんな顧客にも私はポジティブに提案できるようになりました。

ごく一部の方に合わせてあなたのサービスを変えないでください。

ネガティブにもならないでください。

(もちろん伝え方に配慮はしながら)

どんな相談者が来てもハッピーな結末にするぞ!という意気込みで2025年もFP業に一緒に従事していきましょう。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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