『買いたい!』という感情のスイッチを押す方法

石塚駿平

モノやサービスを売る時。

お客さんに、

『これを買いたい!』

と心の底から思ってもらい、
財布に手を伸ばしてもらうには
どうしたら良いのでしょうか?

今回は、このことについて
お話をしたいと思います。

この話を聞けば、
お客さんの心の中にある

『買いたい!』

という感情のスイッチの押し方
を理解できるようになるはずです。

百科事典のセールスマンの話

ある所に、百科事典のセールスマンがいました。

そのセールスマンは、訪問販売で
その百科事典を売ろうとしていました。

その百科事典は重厚な革のカバーがされており、
世の中のありとあらゆる知識が詰まっていました。

セールスマンは朝から夜まで訪問先を回り、

「この百科事典には、
全ての知識が詰まっています!

これを買えば、わからないことは
全て簡単に調べることができますよ!」

「この革の装調を見て下さい。
美しいと思いませんか?

最高級の革を使っているんですよ。
立派で美しいでしょう?」

このようなセールストーク
お客さんに向かって話していました。

しかし・・・

結果は惨敗。

誰もその百科事典を買ってくれませんでした。

そして、訪問しては断られ、また訪問しては
断られる生活が長く続いていきました。

その後の業績は・・・

そのセールスマンは落ち込みました。

「なんで、どう頑張っても
売れないんだろう・・・」

そうつぶやきながらも訪問を続けましたが、
やはり百科事典は売れません。

彼の同僚は、

「お前は向いていないから、
もうこの仕事を辞めたらどうだ?」

と勧めてくるようになりました。

それから3ヶ月後。

そのセールスマンは、いまだに
百科事典が売れずに困っては・・・

いませんでした。

なんと、みるみるうちに業績を上げ、
今ではトップセールスマンの地位を
不動のものにしていたのです。

一体、どうやって彼は
そこまでの躍進を遂げたのでしょうか?

何を変えたのか?

売っている商品は変わっていません。

訪問販売という手法も変えていません。

訪問する客の層も変えていません。

それにも関わらず、彼の業績は
爆発的に伸びて行きました。

その彼が一体何をしたのかというと・・・

訪問販売の時のトークをこう変えたのです。

「おお、素敵な息子(娘)さん
がいらっしゃるんですね。

もしこの百科事典が家に置いてあれば、
息子(娘)さんが結婚する時に、相手の
ご家族にどう思ってもらえるでしょうか?

この革の装調を見て下さい。

この百科事典が本棚に置いてあったら、
きっと相手の家族は、

"こんな立派な百科事典が置いてある
ということは、この家の人はしっかり
した教養を身に付けているに違いない!"

と間違いなく思ってくれます。

そうすれば、結婚の縁談はスムーズに進み、
あなたの家族は尊敬される存在として
見てもらえるようになるでしょう。」

と、このような感じです。

このようにセールストークを変えただけで、
百科事典は飛ぶように売れました。

この話から得られる教訓

と、詳しくは覚えていませんが、
こんな感じの逸話をどこかで
聞いたことがあります。

これは、非常に大きな学びのある
ストーリーだと思いませんか?

ほとんどの人は、

"百科事典で知識を得ること”

ではなく・・・

"百科事典を持つことで
どんな人間に見られるのか"

という所に強く反応したのです。

ここから得られる教訓は、

『人は、そのモノやサービスの”機能”
ではなく、そのモノやサービスを手に
入れることで得られる”結果"を求めている』

ということですね。

上で挙げたストーリーで言うと、

・様々な知識が手に入る
・美しい装調の辞典が手に入る

ということではなく、

・自分の家族が恥をかかない
・”教養のある”家族だと思ってもらえる

ということの方が、

『買いたい!』

という感情のスイッチを押したのです。

間違って訴求してませんか?

この話をFPに置き換えて考えてみましょう。

特に典型例として挙げられるのは、
ライフプラン表の作成ですかね。

ライフプランニングを行なっている
FPの方は多いと思いますが・・・

勘違いをしている方は、

『ライフプラン表を作ること』

に価値があると思ってしまっています。

「お客さんはこのライフプラン資料を
受け取ることにお金を払っているんだ」

と、こんな風に考えてしまうのです。

しかし、この考えは間違っています。

お客さんが価値を感じるのは、
ライフプラン表を作ることで
手に入れられる”結果” です。

例えば・・・

・老後にお金の心配なく海外旅行にいける生活
・お子さんの進学費用を心配する必要のない生活
・家を購入した後もローンの心配をせずに済む生活

このような”結果”を手に入れることに対して
価値を感じ、お金を払っているのです。

そのことを考えながらお客さんに
価値を伝えることができれば、
お客さんの心の中にある

『買いたい!』

という感情のスイッチを押すことができます。

ポイントは、お客さんが欲しいと
思っている”結果"です。

それを見極め、その”結果”を
的確に訴求するべきなのです。

あなたがお客さんに話している
訴求のポイントは間違っていませんか?

今回の話を参考にしながら、
ぜひ一度考えてみて下さい。

お客さんの感情のスイッチを的確に
押すことができれば、喜んでお金を
払ってくれるようになるはずです。

それがたとえ高額でも、です。

石塚 駿平
株式会社FPライズ代表。独立FPに専門特化したコンサルティング、セミナー開催などを行っている。現在は依頼のほとんどを断っているが、相談料5万円の住宅相談をネットから月10名集客、開業コンサルティングを行なったFPが独立後15日で100万円以上の売上げを達成など、多くの成果を上げている。

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