値付けで失敗するビジネス

石塚駿平

Yahooニュースを見ていたら、
誰もが知っている超有名イタリアンレストランに
関するニュースが目に飛び込んできました。

・・・

そう、サイゼリヤです。

(・・・間違ってはいないですよね)

ニュースの内容は、値上げに関する話です。

どうも、今まで299円だったミラノ風ドリアが300円になるなど、、、

端数が出ないように1円の値上げを行うそうです。

(ちなみに、ドリアは日本発祥でイタリア人はなんだか知りません。

それに、ミラノ風と言ってるにも関わらずミラノとは何の関係もないのを知っていましたか?)

小銭のやり取りを減らす為に行うみたいですね。

ニュースに対するコメントを見てみると、

「1円くらいだったら値上げのうちに入らない」

「むしろ、1円分売り上げが上がるからいいんじゃないか」

という風に、好意的に反応をしていました。

確かに、50円とかならまだしも、
1円なら大した影響はなさそうですよね。

しかし・・・

僕は個人的には、この変更は失敗に終わるのではないかと思っています。

失敗すると思う理由

なぜかとうと、299円と300円では1円しか変わらないけれど、

『心理的に感じる価値』

は変わってしまうからです。

これは、表面的な意識では知覚できない、もっと深層心理的なものです。

頭で考える分には変わった気はしなくても、無意識のうちに影響を受けるタイプのものですね。

実験結果が示す事実

フランスの心理学者ニコラス・ゲガンが行った実験で、このようなものがあります。

学生を2つのグループに分け、近所の家庭にパンケーキを売りに行かせました。

1つのグループは1.99フラン(約199円)、もう1つのグループは2フラン(約200円)という値付けをしたのですが・・・

その結果は、

・1.99フランのパンケーキ→約60%の家庭に売れた
・2フランのパンケーキ→約45%の家庭に売れた

というものになったのです。

約1円の差なのに、約15%もの差が生まれました。

パンケーキを買う側としたら、約1円の差は無視できるほどに小さいと思うでしょう。

でも、実験の結果はそうではないことを示しています。

半端な端数には理由がある

僕は、これと同じことがサイゼリヤでも起こると思います。

「サンキュッパ」

に代表されるようなキリの悪い値付けが世の中に溢れているのには理由があるのです。

それに、どんな会社かは完全に忘れてしまったのですが、
端数をやめて区切りの良い値段にして失敗した会社は存在しています。

なので、もしあなたが

『価格にお得感を出して購入者を増やしたい』

というのであれば、端数を利用した値付けをするのがおすすめです。

しかし、逆の場合もあります

しかし一方で、こういった端数を利用した値付けではなく、区切りの良い数字を利用した方が良い場合もあります。

それは、

『購入者に高い品質を期待させたい場合』

です。

スーパーマーケットでは価格の末尾が98で終わる値付けをよく見ますが・・・

高級な百貨店ではあまりみないですよね。

また、例えば婚約指輪を買うときに

『499,800円』のものよりも『500,000円』の方が適切な気がしますよね。

このように、値付けによってお得感を出して購買意欲を高めるのではなく、
高い期待を持ってもらうようにすることもできるのです。

心理効果を考えて値付けをしよう

値付けを行うときには、ぜひこのような

『深層的な心理効果』

も考慮に入れて見てください。

サービスの質が全く変わらなかったとしても、
値付け1つで知覚する価値というのは変わってくるものです。

不思議な現象ですが、覚えておいて損はないですよ。

石塚 駿平
株式会社FPライズ代表。独立FPに専門特化したコンサルティング、セミナー開催などを行っている。現在は依頼のほとんどを断っているが、相談料5万円の住宅相談をネットから月10名集客、開業コンサルティングを行なったFPが独立後15日で100万円以上の売上げを達成など、多くの成果を上げている。

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