とあるマーケティングの
セミナーでの話です。
30歳くらいの若い講師の方が、
キチッとしたスリーピースの
スーツを着て講義をしていました。
参加者は30名くらい。
かなり満員のようで、
冬にも関わらずセミナー会場は
熱気に溢れていました。
ウェブに関するマーケティングの
話が中心で、それ自体はなかなか
為になったのですが・・・
そのセミナーの中でその講師が、
“あるビジネスの話"
をしてくれた時、何だか胸に
引っかかるような感じがしたのです。
どんな話かと言うと、
「私は前に携帯電話のオプション
サービスを運営している会社に
務めていたのですが、これは
結構いいサービスなんですよね。
月額300円くらいのサービスなんですが、
何がいいかって言うと、そのサービスは
小額だからみんな解約しないんです。
存在を忘れちゃうんですね。
だから、継続課金がどんどん積み
上がっていって、安定的な収入になる」
という話でした。
違和感を感じる・・・
この話には、
「うん、うん。なるほど。
確かにいいビジネスだ。」
と共感している人もいました。
・・・でも、
この話を聞いて僕が感じたのは、
『何か違うな。。』
という違和感です。
なぜ違和感を感じたかと言うと、
『顧客からお金を頂き、
その料金以上の価値を提供する』
というビジネスの基本原則から
離れていると感じたからです。
もしかしたら、あなたも同じような
違和感を感じたかもしれません。
2種類のビジネス
世の中のビジネスには、
2つの傾向があります。
1つは、数字を追うあまり、
顧客への価値の提供がおろそかになる
『ビジネス志向型』
のビジネスです。
この最たるものは、詐欺です。
詐欺は、相手に価値を与えずに
お金だけをむしりとろうとします。
もう1つは、顧客への価値の提供を
最大限行ない、お金をあまり頂かない
『顧客志向型』
のビジネスです。
この最たるものは、ボランティアです。
ボランティアは、価値を与えても
その対価を受け取ろうとはしません。
ちょっと極端な例を出しましたが、
この2つの傾向はどの
ビジネスにも存在します。
"どちらでもない"ということはなく、
大抵はどちらか一方に傾いています。
いわば、天秤のようなものです。
ビジネス志向型の傾向が強いと、
大きな利益を出すことができます。
個人的なイメージだと、
ソフトバンクや楽天なんかが
ビジネス志向型かと思います。
しかし、ビジネス志向型が行き過ぎて
しまうと、評判が悪くなってしまい
お客さんはどんどん離れてしまいます。
顧客志向型の傾向が強いと、
顧客から良い評判を得ることができます。
何でも大盛りにしてくれる食堂とか、
めちゃくちゃ安いコロッケ屋さん
なんかがその典型例だと思います。
しかし、顧客志向型が行き過ぎて
しまうとお金が入って来ません。。
その結果、ビジネス自体が
継続できなくなって倒産・・・
という結末になる場合も多いでしょう。
バランスを取る必要性
『ビジネス志向型』と『顧客志向型』
これらは、どちらが一方的に良くて、
どちらが一方的に悪いというもの
ではありません。
バランスを取ることが大事なのです。
FP業界を見渡してみると、
『お客さんのことを第一に』
とか、
『お客さんの為になることをしたい』
と考えて、顧客志向型になり過ぎて
収益を出せない人が多いような気がします。
そして、『喰って行けない』という
状態になってしまうのです。
顧客志向型が行き過ぎると
いつかビジネスは崩壊します。
なので、繰り返しになりますが、
バランスを取ることが大事なのです。
顧客のことをおろそかにしろ!
というつもりは全くありません。
(過度な保険を売って手数料を稼げ!
という考え方とは全く違いますよ)
しかし、ビジネスを継続させることを
考えると、どちらか一方に偏り過ぎないのは重要です。
あなたは、ビジネス志向型と
顧客志向型のバランスは取れていますか?
もし一方に偏っていると感じたら、
バランスを整えてみてもいいかもしれません。
その方が、結果的に自分の為にも
顧客の為にもなるはずです。