大手に相談する人、小さなお店に相談する人ーFPを長く続けるヒント

執筆者:昆 知宏
    

最近、車を乗り換えようと思って、いつもお願いしている小さな車屋さんに相談しました。すると彼は正直に「大手に持っていった方が、10~20万円くらい高く下取りしてもらえるかもしれませんよ」ということでした。

理由を聞けば納得。大手は資金力があるし、とにかく在庫を回していきたい。特に大手の●●社は今、ムキになって在庫集めをしている。だから多少高く買ってでも仕入れたいと思っているから狙い目だよ。

でも、その車屋さんがぽろっと言った言葉が印象的でした。

「大手は車の愛がないんですよ。データとお金だけで動かしてる感じ。車が商材なだけで、車屋ではないね。数をやらなきゃだから仕方ないんですけどね」

彼自身は「うちはディーラー査定よりは高く取れるけど、限界もある」と言いつつ(実際にディーラーよりも高かった)、「でも車が好きだから、大事に扱いたい」とも言っていました。その一言で、私はたとえ10万~20万円違っても、この車屋さんに任せたいと思いました。自分が大事に乗ってきた車だからこそ、数字だけではなく愛のあるところに渡したい。

FP業界でも同じ構造がある

これ、実はFP業界にも当てはまります。

FPのほとんどは小規模事業者。

でもライバルは銀行や証券会社、保険会社といったとんでもなく巨大な“大手”です。

大手にはブランド力があるし、窓口に行けば一気にいろんな商品情報が得られる。安心感やスピード感を求める人は、自然と大手を選びます。

ただ、大手の相談はどうしても「商品販売ありき」になりやすいです。住宅ローンなら自社・もしくは提携先、投資なら売り手優位な商品。仕組み上、それは当たり前ですが、お客さん個別の事情にどこまで寄り添えるかというと…正直限界がある。

一方で私たち中小FPは、商品販売がゴールじゃない。むしろ「目の前のお客様にとって何が一番いいのか」を一緒に考えられます。数字の合理性ではなく、その人の人生に寄り添える。まさに「愛のある車屋さん」と同じ立場なんです。

大手を選ぶ人、中小を選ぶ人

じゃあ、どんな人が大手に行き、どんな人が中小に来るのか。

大手を選ぶ人は「安心感」「効率」「お得さ」を大事にする人。合理的で、「どうせ相談するなら大手のほうが確実で安心」という考えです。

一方で中小を選ぶ人は「信頼できる相手に任せたい」「気持ちをわかってくれる人に相談したい」という人。多少条件が不利でも、「この人に見てもらいたい」という思いで動くタイプです。ストレートに言えば、そこに付加価値があるってことです。

私が10万~20万円低い査定でも、大事に扱ってくれるところに出したいという気持ち。それと同じで、FPでも10万円、20万払ってでも「自分の人生をちゃんと考えてくれる人にお願いしたい」というニーズは確実にあるんです。

小規模FPが長く続けるために大事なこと

だからこそ、私たち小規模FPがアピールすべきは「誠実さ」と「人間味」です。

・商品ありきではなく、本当にお客様にとってベストな提案をすること

・一人ひとりに合わせて、きめ細かく伴走できること

・そして何より、「人として信頼できる」という安心感を出すこと

これを発信していけば、「中小を選ぶ人」にしっかり届きます。SNSやブログでも、知識だけではなく、自分自身の価値観やエピソードを語ると伝わりやすいですよね。

大手のやり方を真似する必要はありません。むしろ「人とのつながりを大切にしたい」と思うお客さんに誠実に向き合うことが、私たち中小FPが長く続けていける最大の武器なのです。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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