FPの価値を上げる新たな視点

つくばのスタバより
執筆者:石塚 駿平
   

組織教育を専門とするとあるアメリカの教授が、日本に来て教育についてこんなことを言っていたそうです。

『コンテンツよりも先に、繋がりが大事』

この話をしたのは、世界で200万部を突破している著書もある、マサチューセッツ工科大学(MIT)ピーター・センゲ氏。

僕が直接聞いたわけではなく、この方が来日したときの話の記事を見ただけなのですが、非常に含蓄深い言葉だと思いました。

教育について大事なのは教育の中身(コンテンツ)ではなくて教育を受ける人同士の繋がりの方が大事である。

教育に関する世界的権威が、こう言っているのはとても興味深いです。

自身の深い専門性と経験から言っていることなので、きっと信じても良いのでしょう。

FPが提供できるもう1つの価値

FPビジネスを発展させるにあたって、ここ数年 僕が意識していることとして、

『コミュニティ』

があります。

もっと具体的に言うと、顧客同士のコミュニティ。

共通のFPからサービスを受けて、同じ考え方を共有し、同じ方向に向かっている顧客同士が交流をして、仲良くなる場があれば、FPの価値が向上するのではないか?

と考えています。

FPの価値向上というのは、顧客単価のアップ、解約率の減少、口コミ紹介の増加、などですね。

自分のコミュニティを作り、深めていくことができればこのようなことを実現できるのではないかと考えています。

アメリカのFPの例

こういった方法について、僕の中で印象に残っている事例があります。

以前、アメリカのシカゴでフィーオンリーのFPが集まるカンファレンスに参加したとき。

講師の一人に、

『シングルマザーの弁護士に特化した女性FP』

がいました。

めちゃくちゃニッチだな。。さすがFPの本場アメリカ・・・

と思ったのですが、その方は顧客同士のコミュニティ作りを意識していて、一緒にスパに行くイベントや、ゴルフをやるイベントなどを企画していて、同じ境遇の人に会えるということで大変好評のようです。

そりゃあ、シングルマザーの弁護士という境遇が一緒で、楽しいことを一緒にできて交流できたらすごい嬉しいだろうな、と感じました。

ここまで尖っているのはなかなかないと思いますが、顧客同士が交流できるイベントを作るというのは、非常に良いアイデアだと思ったのです。

コミュニティの価値は相対的に上がる

でも、コミュニティを作るというアイデアを持って実行しているFPはほとんどいないですよね。

だから、繋がりの価値を理解してコミュニティを構築できるFPになることができれば、かなり大きな差別化になるのではないかと考えています。

特に、これからAIの発展によって、今までFPが担っていた少し複雑な業務が、顧客が自分でできるようになっていくはずです。

例えば資産運用を始める手順を教えてもらいながら、実際に自分に合った金融商品の選定や購入というプロセスもサポートしてもらう。

このようなことであれば、どんどんハードルが低くなっていくはずです。

証券会社などもAIのサポートを使って色々な手続きや作業を簡単にできるようにしれくるでしょう。

でも、AIによって人と人との繋がりを作ることができません。

だから、コミュニティの価値というのは相対的にどんどん上がっていきます。

これができれば顧客は価値を感じる

冒頭に出した、

『コンテンツよりも先に、繋がりが大事』

という言葉について、実際のFPビジネスの中では繋がりを先に提供するのは難しいかもしれませんが、

『自分の提供するコンテンツよりも、仲間との繋がりが大事』

であるということを理解すれば、FPビジネスを発展させるヒントになるのではないでしょうか。

例えば、

・ライフプランの先にある夢をみんなで共有して、刺激やインスピレーションを得てもらう

・同じ目標を持っている人と繋がり、仲間意識を持ってもらう

・FPサービスを受けた前と後で、自分の人生がどう変わったのかを共有してもらう

このようなことができれば、それだけで大きな価値を提供することができます。

視点を広げて考えてみよう

また、自分と顧客が楽しめるようなイベントを企画するのも良いですよね。

去年、オンラインコースという形で成功しているFPビジネスの秘訣を公開してくれた金沢の谷崎さんは、自分の趣味である登山や料理のイベントを開催して上手くいっているようです。

自分が楽しめるイベントを企画すれば楽しいですし、顧客に友達を連れてきてもOKという形で案内すれば、自然と顧客の輪が広がるでしょう。

というわけで、FPの提供するアドバイスの中だけで考えるのではなく、視点を広げて顧客同士の繋がりやコミュニティという考え方も考えてみる。

そうすれば、たとえサービスの質を変えなくてもFPとしての価値をアップさせることができます。

面白い考え方だと思いますし、これからの時代どんどん重要性が増してくるはずなので、ぜひ頭の中に入れておく、実行できるようであれば実行してもらいたいと思います。

P.S.

僕もこれから研究したいので、もし成功例が出たらこっそり教えてください。

石塚 駿平
株式会社FPライズ代表。独立FPに専門特化したコンサルティング、セミナー開催などを行っている。現在は依頼のほとんどを断っているが、相談料5万円の住宅相談をネットから月10名集客、開業コンサルティングを行なったFPが独立後15日で100万円以上の売上げを達成など、多くの成果を上げている。

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