つくばの自宅より
執筆者:石塚駿平
先日のメルマガ『マーケティングは自動化の時代へ』では、AIによるマーケティングの自動化についてお話ししました。
1つのコンテンツをAIが各媒体に広げてくれて、数字の分析も、改善の提案もやってくれる。
この流れはこれからも間違いなく進んでいくと思いますし、僕自身もクロードコードをメインに、業務の自動化をどんどん進めています。
ただ、その一方で、自動化を進めれば進めるほど見えてきたものがあります。
それが、AIによる自動化の『限界』です。
今回は、この件についてお話ししたいと思います。
今は、ブログ、メルマガ、SNSの投稿、YouTubeの台本といったコンテンツのほとんどを、AIで作れるようになりました。
そうなると、こんな考えが頭をよぎりませんか?
『コンテンツは全部AIに作らせて、反応を見ながらAIに改善させれば、集客が勝手に回るんじゃないか』
しかし、結論から言うと、これはうまくいきません。
実際、このメルマガもAIに全部任せているわけではなく、使っているのは一部分だけです。
なぜか?
それには3つの理由があります。
どこかで見たような記事になる
1つ目は、AIが書く文章は『ありがちな内容』に寄っていくということです。
AIは、世の中にある膨大な文章を学んで、「この流れなら次はこう書くのが自然だろう」という形で文章を作っています。
また、元になる文章というのは、すでに世の中にあるものです。
それを学習しているので、どうしてもありきたりなものになってしまうんですね。
例えば、「新NISAの始め方」というテーマでAIに記事を書かせたとします。
それなりにまとまった記事はできるでしょう。
でも、全国のFPが同じようにAIに書かせたら、どうなるでしょうか?
似たような構成、似たような説明の記事が、あちこちに並ぶことになります。
読む側からすると、どのFPの記事を読んでも同じ。
それでは、『この人に相談したい』と思う理由になりません。
相談者に選ばれるFPに必要なのは、
・実際の相談で出会った事例
・それに対する自分なりの見解
・自分自身の経験
といった、その人にしか書けない中身です。
ここは、AIからは出てきません。
改善が改善にならない可能性
2つ目は、AIに改善を任せると『測りやすい数字』を追いかけ始めるということです。
AIが改善できるのは、良くなったか悪くなったかを判定できるものだけです。
判定できなければ、どっちに直せばいいのかがわからないからです。
そうなると、AIが目をつけるのは、
・ブログのアクセス数
・メルマガの開封率
・リンクのクリック率
といった、すぐに数字で出てくるものになります。
タイトルを刺激的にすれば開封率は上がるかもしれないし、流行りのキーワードを入れればアクセスは増えるかもしれない。
AIは、そういう方向にどんどん改善を進めていきます。
でも、FPにとっての本当の成果は何でしょうか?
それは、『来てほしい相談者が来て、契約につながったか』ですよね。
これは数字として測りにくいですし、結果が出るのも数ヶ月後です。
すぐに判定できないので、AIの改善の中ではほぼ無視されてしまいます。
その結果、何が起こるかというと、
『数字は動いているのに、売上は変わらない』
という状態です。
アクセスは増えたのに、相談は増えない。
来たとしても無料相談だけで終わる人ばかり。
そんなことが十分に起こり得ます。
AIのチェックをAIに任せても見抜けない
3つ目は、AIが作ったものをAIにチェックさせても、問題を見抜けないということです。
「それなら、書くAIとは別に、出来をチェックするAIを用意すればいいのでは?」
と考える方もいるかもしれません。
でも、AIは人間の感性を持っているわけではありません。
なので、チェックするAIを別に用意しても、
『これは良い』
という、人間の感性を使った判断はできないんです。
結局、AIのチェックは、誤字や文章の長さ、構成の形といった、機械的に判断できる枝葉の部分に留まってしまう可能性が高いです。
結果として、『それっぽく見えるだけの記事』がチェックを素通りして、どんどん量産されていきます。
文章はきれいで、構成も整っている。でも、読んでも何も残らないし、相談にもつながらない。
自動化しているぶん、そういう記事が大量に世に出ていくのが怖いところです。
方向を決めるのは人間
では、どうすればいいのか?
僕は、AIは『増幅器』だと考えています。
元になる素材があれば、それを何倍にも広げてくれる。でも、素材そのものを持ち込むのは人間の役割です。
相談の現場で気づいたこと、自分の考え、お客様の声。
こういった素材を入れるから、AIを通しても『あなたのコンテンツ』になります。
そしてもう1つ、人間が決めなければいけないのが、目指す方向です。
・誰の、どんな相談を取りたいのか
・何をもって成果とするのか
ここが決まっていないままAIで施策を回すと、動かせば動かすほど、売上とは関係のない方向にズレていきます。
AIは決められた方向に向かって全力で走ってくれますが、その方向が正しいかどうかは判断してくれないからです。
判断まで手放さない
AIを使うFPと使わないFPなら、間違いなく使う方が勝ちます。
これはもう、疑いようがありません。
ただし、判断や、コンテンツの元になる部分まで手放してしまったFPは話が別です。
結局、これからはみんなが自動化していきます。
みんなと同じように自動化したら、似たようなコンテンツが溢れてしまい、絶対に見られないし、選ばれない。
そういう状態になってしまいます。
だからこそ、自分の『原体験』が本当に重要になってくる時代になりました。
あなたは、AIにどこまで任せて、どこを自分で握っていきますか?
ぜひ、一度考えてみてください。