今回の記事も、NPFAのカンファレンス
レポートをお届けしたいと思います。
今回は、
『アメリカのFPビジネスモデル』
について掘り下げていきますね。
以前に現地のFP事務所の訪問レポートを書いたのですが、
『とても役に立ちました!』
という報告をいくつか頂きました。
そして、NAFPAカンファレンスでも
『FPのビジネスモデル』
に関する演題があり、特にフィーをメインにする
アメリカのFPビジネスモデルについて理解が
深くなったと実感しています。
そこで、そのFPビジネスモデルについて
この記事で網羅的にお伝えしていきますね。
日本でも将来的には同じような状況に
なることが予想されるので、必ず役に立つはずです。
5つのビジネスモデル
先に結論からお話しましょう。
フィーオンリーで活動をしているアメリカの
FPビジネスモデルは下記の5つに分類されます。
①Traditional AUM model
→預かり資産残高に連動する伝統的な料金体系。
※AUMはAsset Under Managementの略です
②Hourly Planning
→作業にかかった時間に対して料金を頂く。
③Fixed retainer
→決まったパッケージ料金を用意している。
④Subscription
→月額課金制で料金をチャージする。
⑤Hybrid AUM / retainer
→①と②の組み合わせ。その他の組み合わせパターンもある。
セミナー会場で、プレゼンターが参加者に
どのビジネスモデルをメインで採用しているかを
聞いていたのですが、以下のような分布でした。
①45%くらい
②25%くらい
③25%くらい
④5%くらい
※会場内のアンケートなのでバラツキはあると思います
それでは、それぞれのモデルについて詳しく見ていきましょう。
①Traditional AUM model(資産残高連動型)
これが、最も歴史のある料金体系です。
アメリカではカストディアンと呼ばれる金融機関があり、
FPと契約をすると顧客はそこの口座に資金を入れます。
FPはその口座を管理して金融商品の売買ができ、
その口座残高に連動したフィーが引き落とされることになります。
フィーの引き落としがこの口座から行われる為、
フィーの引き落としをあまり意識しない顧客が多いようです。
フィーの相場は1%で、個人や小さい事務所では
それより低く設定をしている場合があります。
また、残高が大きくなるとディスカウントがあるのが一般的で、
2億円を超える部分は0.8%のような形で変動をしていきます。
初年度はやることが多いですが、
2年目からはやることが少なくなり、
その分ビジネスとしての効率は高くなる形です。
②Hourly Planning(時間制モデル)
これは、訪問した現地のFP事務所が採用しているモデルです。
詳しくはこちらを見て下さい。
(前編)アメリカに存在している『時間制ビジネスモデル』とは?
https://fprise.com/hourly_based_model/
(後編)アメリカに存在している『時間制ビジネスモデル』とは?
https://fprise.com/hourly_based_model2/
事前にプランニングに必要な時間を見積もり、
時間に応じたフィーをチャージします。
このモデルの場合、資産運用は行わずに
指示を出して顧客が実行するパターンが多いようです。
『余計なお金を払わずに、情報を得て自分で実行をしたい』
という顧客には向いているビジネスモデルです。
③Fixed retainer(定額パッケージ)
このパターンで典型的なのは、
・1年目には松竹梅パターンで複数の定額パッケージを用意する
・2年目からは定額でサービス提供
・資産運用とファイナンシャル・プランニングが組み合わさったサービス内容
・資産残高よりも案件の難易度で料金が決まる
こういった形のようです。
時間制モデルとの違いは、
・予めパッケージで用意しているので融通がきかない代わりにシンプル
・資産運用部分まで実行する
という所かと思われます。
④Subscription(月額課金制)
これは、アマゾンプライムやネットフリックスのような
最近流行りの月額課金制モデルですね。
あまり情報は出てこなかったのですが、
月額費用を払うことで
・メールでの質問
・必要に応じて電話での面談
・自分のライフプランが見れる会員サイト
・資産運用の実行
このようなサービスを提供しているのではないかと思われます。
若い世代がこういった月額課金制モデルに
慣れているので、それに対応したモデルなのでしょう。
もしかしたら、これから増えてくるかもしれません。
⑤Hybrid AUM / retainer(ハイブリッド型)
これは、①〜④のモデルを組みあせた型ですね。
一番基本的な型としては、
・初年度は固定料金のフィー
・2年目からは定額でサービス提供
・資産運用を希望する場合は、資産残高に応じたパーセンテージで追加フィーが発生
という形があります。
③をベースにして①を加えている形ですね。
色々と組み合わせることで、顧客の要望に柔軟に応えることが可能になります。
日本でも活用できる
以上が、フィーオンリーのビジネスモデルのまとめになります。
※コミッションを受け取るFPの場合は、
このいずれかのモデルにコミッションが入ってくる形になります
日本でも、これらのモデルを採用してFPとして
活動をすることは十分に可能なはずです。
実際にアメリカで使われているモデルとして説明をすれば、
顧客も理解してくれやすくなるでしょう。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。