本場アメリカのFPから学んだこと

つくばのカフェより
執筆者:石塚 駿平

  

先週、2人のアメリカ人FPが講師を務めるセミナーに参加してきました。

日本FPアドバイザーズ協会が主催しているセミナーで、会場は銀座。

アメリカに行かずとも本場アメリカの話が聞けるとあって、とても貴重な機会です。

1人は従業員は10名、預かり資産が4億ドルのFP事務所を経営する女性FP。

もう1人は従業員4名で預かり資産が2億1千万ドルのFP事務所を経営する男性FPです。

さすがアメリカ、預かり資産の規模が段違いですね。

フィーも預かり資産の1%がベースであることを考えると、アメリカのFPビジネスは非常に高収益であることが伺えます。

2人ともとても良い人で、去年も2人が日本に来た時のセミナーに行ったのですが、だんだん仲が深まってきた気がします。

また機会があったらアメリカのカンファレンスにも参加したいですね。

今回のセミナーでは、米国式のFPビジネスの基本的な進め方と、最新事情を話してもらったのですが、数々の学びがあったので特に印象に残った部分をシェアしたいと思います。

FPはAIに駆逐されるのか?

AIの発展はアメリカでの議論の的になることが多く、

『AIの発展によってFPはいらなくなるんじゃないか?』

ということが言われることもあるようです。

しかし、今回来てくれた2人の答えはNOで、FPがAIに置き換えられることはないということでした。

その代わり、必ず起こるであろう変化があるそうです。

それは何かというと・・・

『AIを使うFPに、AIを使わないFPが駆逐される』

という現象です。

15年前にアメリカで実際に起こったこと

この論拠は何かというと、アメリカでは約15年位前に、ロボアドバイザーが出始めた頃、

『ロボアドバイザーによってFPの仕事が奪われる』

ということが言われていたそうです。

アメリカのFPの標準的なフィーは預かり資産の1%。

対してロボアドバイザーは0.1%。

圧倒的にロボアドバイザーの方が安いので、顧客はみんなそっちに行くんじゃないか?

ということが囁かれていたみたいですね。

しかし、実際にはどんなことが起こったかというと、

『ロボアドバイザーを使ってより良いサービスを提供するFP』

が生き残って繁栄したそうです。

FPの核となる強みは代替されない

AIについては、この流れと同じようなことが起こるのではないか?というのが2人の予想でした。

FPが持っている最大の強みというのは、

『人生の目標と全体のファイナンシャルプランを顧客と共有している』

ということであり、そこを判断軸にできるのはFPしかいない。

ロボアドバイザーやAIが提供できるのはあくまで枝葉の部分で、人生に与える影響や、全体のファイナンシャルプランに与える影響までは把握することはできない。

だから、その核となる価値をFPが担い、FPがツールを使いこなすことができればむしろプラスの影響を受ける、ということでした。

FPの仕事は、顧客の人生の選択肢を増やすこと

個人的にも同じようなことは思っていましたが、アメリカの最前線で活躍しているFPの口からそういった言葉が聞けたことは、とても印象に残りました。

また、僕が個人的にとても共感したキーワードがあります。

それは、

『FPの仕事は、顧客の人生の選択肢を増やすことだ』

という言葉です。

単純に資産残高を増やすだけではなく、それを達成することでどんな選択肢を取ることができるのかを示してあげる。

実際の例に出てきたのは、ある顧客の夢を聞いた所、

「ボブ・ディランのコンサートに行ってみたい。
でも、チケットだけで1000ドルもするし、会場までに行く交通費もあるから高すぎる」

と言っていたそうです。

しかし、資産残高やファイナンシャルプランを考えると、その出費をしても全然問題なく、その顧客が浪費をしたくないという強い思い込みがあるだけだったといいます。

そこで、しっかりと根拠を示した上で背中を押してあげた所、その顧客はコンサートに行くことができ、

「今までの人生で最高の体験だった!」

とものすごく喜んでくれたそうです。

このようなことは、FPだからできることですし、最も大きな価値を提供できるポイントでもありますよね。

アメリカの情報も取り入れてさらなる発展を!

以上、本場アメリカのFPから学んだことをシェアさせて頂きました。

この他にも色々な学びがあったので、引き続きメルマガでも書いていきたいと思います。

やはり、本場の情報に触れるというのは刺激になりますね。

女性FPの方とは以前に東京で妻と一緒にランチを食べて、今回は今週末につくばの自宅に来てくれることになりました。

僕も英語ができる強みを活かしながら、日本のFP業界の発展に貢献をしていきたいと思います。

また面白い情報があったら、共通するようにしますね。

P.S.

ちなみに、懇親会では先日ご案内を開始したプレセミナーの講師を務める亀井さんも一緒にいたのですが、『法人経営者の財務と個人資産を両輪で見る』というコンセプトを話したところ、

「それはとても良いアイデアだね!アメリカでも経営者向けに絞って成功しているFPはたくさんいるよ!」

と絶賛してくれました。

このFPビジネスの方法については興味があればこちらの動画を見てみて下さい。

https://fprise.com/hojin-komon_project_video/

石塚 駿平
株式会社FPライズ代表。独立FPに専門特化したコンサルティング、セミナー開催などを行っている。現在は依頼のほとんどを断っているが、相談料5万円の住宅相談をネットから月10名集客、開業コンサルティングを行なったFPが独立後15日で100万円以上の売上げを達成など、多くの成果を上げている。

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