極力、L字手数料受取をやめてみた話

昆知宏

FPと切っても切れない関係にある保険。
もうすぐ保険を始めて10年になります。

この間に生命保険のルール改定はたくさんありました。

私も何度かもう保険は完全にやめてフィー100%のモデルに移行しようかなと思っていたのですが、一周回ってやっぱり保険は必要かなとなり、最近は二周回ってやっぱり保険は必要だよねと感じています。

保険をそこまでガツガツやっているわけではないので、保険料収入だけで生計を立てることは困難なのですが、それでも積み重なってきたものがあり、最低限の収入があることは本当にありがたいものです。

FPをやっているとライフプランを強固にするために保険は大事なソリューションであり、そこを自分で完結するのか、誰かにパスするのかではお客さんからすると印象はきっと変わりますよね。

収入どうこうよりも、相談者の不安を問題解決するために自分自身の手でできることってやっぱり大事だと思います。

保険を毛嫌いしていたり、保険にマイナスイメージを持っているのって実はお客さんではなくてFP自身だったりすることも多いですよね。

保険ばかり売るFPはダメだとか、フィー100%でやっている人は正義だとか、そんなことはどうでも良くて、自分の目の前に座ってくれているお客さんのお金の不安を取り除くことに集中するように思うようにしてからは、保険ってやっぱり大事だなと思うことが多くなりました。

あなたは保険に対してどう向き合っていますか?

手数料体系を変えた

保険はいらない、やめたい → やっぱり必要 → 業法変わって大変、やめようかな → やっぱり必要。

こんな感じで先ほど書いたように二周回って保険の必要性を感じているにあたり、最近変えたことがあります。

それは手数料体系をL字ではなく可能な限りフラット型にしたことです。

今まではそもそも自分自身がそんなに成績をあげていないので、いつまで保険ができるかも分かりませんでしたら、なるべく早くコミッションをもらいきる形にしていました。

それこそ10年、20年続けるビジョンがあまりなかったからですね。

それなら先にもらっておいた方がいいだろうという考えです。

私のイメージでは90%くらいの募集人が、そういうスタイルの手数料で活動しているように思います。

保険だけで生計を立てるには特に始めたての頃はそうでもしないと収入的に無理ですから当然といえば当然でしょう。

しかし長くやってくればミルフィーユの層のように薄く少しずつ積み重なってきて、それはこの業界に長く存続できたご褒美とも言えますよね。

薄く長くやろうと思っている

そういったこともあり、私は保険を継続していく決意をしたこともあり、手数料体系を初年度が凄く低いフラットタイプへ移行することにしました。

収益の柱は完全にFPコンサルティング業なのですが、保険は保険が必要な人にだけお話ししていくというスタイルです。

実際に年に面談する件数から保険の契約をいただく方の割合って20%程度しかいません。

もっとガツガツいけば50%くらいまで上げることで保険だけの収益でも生活が成立するスタイルもできるとは思うのですが、それをやってしまうと少なくても存在価値が薄れるのでそれはしようとは思っていません。

目先の保険収益ばかりを追いかけると、みんなだいたい同じ提案になるし、相手にとってその保険がベストというよりも、極論自分が売りたい商品を説得して売っているだけになってしまうからです。

なんとなく肌で感じているのは、相手本位ではなく自分本位の提案が中心になると、この業界には長くいれないと思うのです。

というよりも、これはどの業界でも同じことが言えますよね。

というわけでこの業界に長くいる覚悟を決めて、保険も無理に売らずに、手数料もフラットタイプに変えたところ、なんだか個人的にスッと楽になりました。

目先の1か月、1年を追いかけるのではなくて、5年、10年先をイメージして仕事をしていくスタイルに変えてみたのです。

さっさと稼いでFIREするという思考が最近なんとなく流行っていますが、お客さんに喜ばれる仕事を続けていく方が絶対に充実感があると私は思っています。

保険以外にも言えること

これは保険に限った話ではありません。

例えばコンサルティングについても、月謝制な感じで最近新しい試みを始めました。

終わりはなく、いつまでも続けてもらってもいいし、いつでもやめてもらってもかまいません。

月ごとにこちらとしては明確なベネフィットを提供する必要がありますが、コンテンツを作りこんでおけばそれを順番にするだけにすぎません。

良好な関係が続けば、フィーを一発でもらいきるよりも多くなるかもしれませんし、平均的な関係で終わってもフィーは通常と同じくらいな感じで設定するといい感じになると思います。

個人的には最終的には良好な関係な人たちだけと半永久的につながっていたいものです。

このシステムのメリットは、こちらからも終了できるということがあります。

つまり自分と合うタイプのお客さんだけを失礼なく絞っていけることにもなります。

いきなり多くをもらおうとせずに、関係深耕の具合によって、収益が濃くなる構造はやっていくと精神的に満たされるというのは個人的な実体験です。

あなたももし興味があれば少しずつ報酬体系をシフトしてみたらいかがでしょうか。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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