コンサルフィーのはじめの一歩

中西雅司

「そんなに安い金額でいいの?」

目の前の40代の甲高い声の女性が、
私の提案に対して、そう言いました。

私は思わず、

「えっ?」

と、心の声を口に出してしまいました。

あまりにも驚いたからです。

なぜなら、、、

人生初のフィー5万円の提示

その日は、私がFPとして独立して
1年3ヶ月ほど経った、
天気の良いある日の午後でした。

お客様のご自宅近くの
イトーヨーカドーの1階にあるパン屋の
20席ほどあるカフェスペースで、

お客様にFPコンサルの
ご提案をしていました。

それまでの私は、1人のお客様から
多くても1万円のフィーしか
いただいたことがありませんでした。

しかし、その日は人生で初めて、
5万円のフィーを提示したのです。

その当時の私は、自分のコンサルに
5万円の価値がある自信はなかった
のですが、提案せざるを得ない理由がありました。

フィーだけで

私はもともとFPとして独立した時に、
保険代理店をやっていました。

その主な理由は、他のFPの先輩も
そのようにされているという理由からです。

しかし、お客様のためを思えば思うほど、
保険がどんどん売れなくなってしまう。

結果、保険代理店を辞める決断をしました。

そうなると、フィーだけで収益を
上げていかないといけません。

もともとの1万円のフィーでは、
月に30人対応しても、
ようやく30万円。

しかも、当時の私の集客力では、
月30人の集客は不可能でした。

「まずい」

心からそう思った結果の
提案でもありました。

『1人のフィーが5万円。』

とても高いハードルでしたが、
入念な準備をした上で、臨んだ結果、

「そんなに安い金額でいいの?」

と想像を超える嬉しい言葉を
言っていただけたのです。

私が面談時にやったことは?

私が提案時にやったことは決して
難しいことではありません。

例えば、FPのあなたは、
以下のAとBのどちらの
歯医者さんに治療してもらいたいですか?

A:普通の歯医者

B:自分が子供の頃に歯医者で治療ミスを
されて後遺症が残った経験から、そんな
歯医者をなくしたいと思って必死で勉強してなった歯医者

多くの人は多少値段が高くても
Bを選ぶのではないでしょうか?

私はそれに気づき、
プロフィールの説明内容を変えました。

今までは、単純に、
経歴だけを説明していました。

「滋賀県の高校を卒業し、浪人。

その後、一人暮らしがしたくて、
北海道の大学に行き、保険会社に勤務後、
独立してFPをやっています。」

しかし、その日以降は、

「なぜ今のFPの仕事をやっているのか?」
「FPの仕事、お客様に対する想い」
「将来のビジョン」

をお話するようにしたのです。

私の場合は、要約すると、
こんなことを伝えていました。

「私は保険会社の本社で年間8万件もある
苦情を全て見てきました。

結果、保険会社がいかにお客様に迷惑を
かけているかを知りました。

会社を変えようと思って5年間努力を
続けましたが、会社は変わる気がない
ことがわかりました。

私は、正しい情報を知らずに苦しむ
お客様を1人でも減らしたい。
その想いで独立してFPとして活動しています。」

もちろん、変えた説明は
これだけではありません。

しかし、のちに同じお客様に
聞いてみたところ、想いに
共感したとのお話もいただいています。

想いを伝えることの重要性

FPのあなたは、お客様に自分の想いを
伝えていますか?

慣れていない人も、少しずつでも
伝えるようにすると、

それだけで、お客様からの見る目が
変わってくるのではないでしょうか。

もっと言うと、お客様だけではなく、
ビジネスパートナーなどあらゆる人に
想いを伝え続けることをお勧めします。

共感してくれた人がお客様を紹介して
くれることもあります。

また、その本人がお客様になることも
ありますので、是非実践してみてください。

P.S.
私は、これ以降、フィーの額を
10万、20万、30万と順調に
増やすことができました。

そのきっかけを与えてくださった
お客様に感謝の気持ちでいっぱいです。

中西雅司
大手生命保険会社に約8年勤務後、2013年にファイナンシャルプランナーとして独立。これまで40万件以上のクレームを見てきた経験から、保険適正化コンサルタントとして活動をする。現在はFPのための経営コンサルタントとして、FPの育成にも力を入れており、『保険の販売手数料に頼らなくても、FPが活躍できる業界を作る』という想いの実現に向け日々邁進している。

関連記事