執筆者:昆 知宏
FPをしていると、お金に関する知識は当然ながら深くなっていきます。
税金、保険、住宅ローン、資産運用など、勉強することはいくらでもあります。
ただ、FPという仕事をしている人は、あなたの住んでいるエリアにもたくさんいるはずです。
「お金に詳しい」というだけでは、なかなか差別化が難しいかと思います。
結局、そこから先は営業力や人柄、紹介などに収益が左右されることになります。
そこで私は、FP以外の専門分野を持つことを意識してきました。
私の場合、それが「住宅」です。
好きなことなら、研究を続けられる
私は住宅購入の知識を、他のFPよりも磨き上げることを一つのテーマにしてきました。
なぜそこまで熱心にできたのか。
単純に、家のことを考えるのが好きだからです。
興味のない分野を「差別化のために勉強しよう」と思っても、なかなか続きません。
一方で、好きなことなら勝手に調べます。
気がつけば、仕事とは関係なく研究している。
こういう状態になると、知識の蓄積スピードが全然違います。
だからFP以外の専門性を作るなら、「儲かりそうな分野」よりも、「自分が興味を持てる分野」を選んだほうがいいと思っています。
実体験が、知識を一段深くする
そして、もう一つ大事なのが「実体験」です。
資産運用でも保険でも、私は基本的に、自分がいいと思っていることを人に伝えたいと思っています。
自分で実際にやってみる。
使ってみる。
失敗してみる。
その経験があると、テキストに書いてある知識とは違う話ができるようになります。
住宅も同じです。
私は新築住宅を建てた経験があり、昨年は私財を投じて大規模リフォームも経験しました。
自分の家なので、設備や建材を選ぶときも、普段の仕事以上に真剣になります。
断熱性能はどうなのか。
この設備にいくら払う価値があるのか。
実際に住んだらどう感じるのか。
光熱費はどう変わるのか。
床材や家具、家電まで含めて、「快適に住むためには何が必要なのか」を自分のお金で研究することができました。
大規模リフォーム自体は、私個人にとってはかなり大きな支出です。
でも、それを単なる消費ではなく、専門性を高めるための「事業投資」と考えることもできます。
得た収益を業界に還元して、また新しい相談者に知見として提供するというサイクルです。
この経験でさらに住宅購入者が感じる不安や疑問を、よりリアルに理解できるようになりました。
FPの先に「コンシェルジュ」をつくる
住宅に関係する税金や補助金についても、単に制度を勉強するだけではなく、自分自身が当事者になることで、実際の手続きや使い勝手まで分かります。
そして、ここで終わりではありません。
これからは外構や庭のデザインについても、さらに研究していくつもりです。
特に大規模な外構や庭づくりになると、きちんとアドバイスできる人は限られます。
高所得者や準富裕層になれば、住宅そのものだけでなく、「家をどう楽しむか」というところまでニーズが広がります。
「FPなのに、そこまで詳しくなる必要がありますか?」
と言われれば、確かにFPの資格だけを考えれば必要ありません。
でも、住宅を専門と自負するのであれば、できないより、できたほうがいい。
私はFPを入口にして、最終的には住宅のコンシェルジュのような仕事をしています。
自分が好きなこと。
自分が実際に経験してきたこと。
そして、本当にやりたいこと。
この3つがうまくつながったところに、FPとしての専門性を超えた「自分だけの仕事」ができてくるのではないでしょうか。