最近の住宅相談はFPの“経験値”が問われる?

執筆者:昆 知宏

サラリーマン家庭でも、40代で金融資産5,000万円以上を築いている人がいます。
その一方で、貯蓄100万円以下の状態でフルローンの住宅購入に挑む人もいます。

FPの仕事をしている人なら、この強烈な格差を日々感じているのではないでしょうか。
最近は、株高と金利上昇によって、その差がいよいよ目に見える形で広がってきている印象があります。

資産を持っている人は、配当や含み益でさらに余裕が生まれる。
一方で、住宅価格や金利の上昇によって、これから家を買う層はどんどん苦しくなっていく。

同じ会社員でも、まるで別世界のような家計になりつつあります。

苦しい人も、余裕のある人もFPに来る

ただ不思議なのは、住宅ローンに苦しみそうな人も、問題なく返済できそうな人も、同じようにFPへ相談に来るということです。

例えば午前中に55歳で早期リタイアをするためのライフプランの相談をしたかと思えば、
次の相談は貯金が150万円、世帯年収650万円で5,000万円の住宅を買ってもいいかという相談と変化の幅が大きいのです。

そして最近の相談傾向としては、

「希望する物件を無理なく購入するのは厳しい(というか無理)」

という結論にいよいよなってしまうというケースがかなり増えてきました。

住宅FPとしてつらいのは、相談者の多くが「家を買いたい」という前向きな気持ちで来られることです。

しかし、ライフプランを作ると、希望の物件に対して1,000万円以上予算が足りない。

そんなケースも珍しくありません。
当然、空気は重くなります。

現実的な選択肢は限られている

では、どう改善するのか。

方法はシンプルです。

・身の丈に合った物件にする
・世帯年収を上げる

基本的にはこの二択になります。

しかし「身の丈に合った物件」と言うのは簡単ですが、実際には、

狭い建売住宅。
築年数が経過した中古住宅。

そういった選択肢になることも少なくありません。

都会のほうでは全然それでいいじゃん?となると思うのですが、地方では憧れのマイホーム像を持って相談に来られた方にとってこれはかなり厳しい現実です。

すると次は、「世帯年収をどう上げるか」という話になります。

具体的には、転職か副業です。

実は住宅購入をきっかけに転職する方は少なくありません。
住宅購入のボリュームゾーンは30代前後。

ちょうど仕事を覚え、ある程度成果も出せるようになり、

「もっと評価される環境があるのではないか」

と思い始める時期でもあります。

さらにライフプランを通じて、

「あと100万円年収が高ければかなり違う」

という現実も見えてきます。

今なら、その変化に挑戦できる体力もエネルギーもある。

だから人生を動かす決断につながるのです。

住宅FPは“人生”を語る仕事へ

実は私自身も、住宅購入をきっかけに人生を大きく変えました。
27歳で家を買い、27歳で転職をしています。
その後FPとして独立する大きなきっかけになった転換点でした。

将来を考えた時に、「この年収では厳しい」と痛感したのです。
当時の年収は330万円でした。

そこで当時の環境に見切りをつけ、とにかく挑戦してみようと思いました。

その結果が、今につながっています。

そして最近特に感じるのですが、住宅FPは単に数字を説明する仕事ではなくなってきています。

ローンを組めるかどうかだけではなく、

「どう生きたいか」

「どんな人生を送りたいか」

まで含めて話せる必要があります。

以前は、住宅FPは相談者と年齢が近いほうが親近感があり若い方が有利だと思っていました。

しかし最近は少し考えが変わりました。

住宅価格高騰。
金利上昇。
働き方の変化。

こういう厳しい局面だからこそ、年齢を重ねた経験値や実体験が、相談者の支えになる場面が増えているように感じます。
悩める30代に寄り添って、向き合って自分なりの意見をしっかりと述べることができるからです。

これからの住宅FPは、ライフプランだけではなく、「人生そのもの」を語れる人が強くなる。
マネー専門家というよりも、メンター。
そんな時代に入ってきたのかもしれません。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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