『どの業界の人も、
深みにはまると、
漬け物をつけすぎます。
だからお客さんに
出せないくらいしょっぱい
ものになるのです。』
この前、ふとした拍子に書道家の
武田双雲さんのブログを見た時、
この言葉が目に飛び込んできました。
これは、武田双雲さんが対談番組の
ホスト役を初めてやった時のゲスト
である桂文珍さんの言葉だそうです。
最初に見た時は、
「漬物?何言ってるんだろう?」
と思ったのですが、、、
ブログに書かれていた言葉を
見て思わず唸ってしまいました。
専門家の評判を捨て去る覚悟
そのブログには、こう書かれています。
『これは、落語においても、
書道においてもマニアックな
世界にはまりすぎて、
まわりの素人、お客さんの
気持ちから離れていくことを示している。
専門家集団がよく陥ること。
漬け物をつけすぎない。
常に、素人の気持ちを忘れず、
新鮮な心で書と対峙していこうと
決めた日になった。
それは、プロから認められようとか、
専門家から評価をもらいたいと
いうような気持ちを完全に捨て去る覚悟だった。』
これを見て、あなたはどう思いますか?
モロッコでのストーリー
ちょっと話はそれますが、
これと関連をする体験をした
ことがあったのでシェアしますね。
それは、去年僕がモロッコに旅行に行った時です。
シャウエンという青い街として
有名な観光スポットに滞在したのですが、
そこで夕食を食べにレストランに行きました。
飛び入りで入ったのですが、現地の
雰囲気が出てるなかなか感じの良い
レストランで、スタッフも愛想が良いです。
僕は渡されたメニューを見て料理を
注文したのですが、その後にスタッフが
『飲み物は何にしますか?』
と聞いてきたのです。
そこで、僕は特に飲み物を
注文する気はなかったので、
『いえ、大丈夫です』
と言うつもりで、
『I’m fine.』
と答えたんですね。
(これ、日本語で言う
「大丈夫です」の意味もあります。
ちなみにですが、英語圏の人は
「How are you?」と聞かれたら
「I’m fine」とは答えません。。
それだと、なんというか
「まあ、問題ないよ」みたいな
ぶっきらぼうな印象になるようです)
そしたら、そのスタッフがどう
反応したかというと・・・
英語が通じない・・・
笑顔でいるんですけど、
何も反応がないんですよね。。
そこで、もう一度
『I’m fine.』
と言ってもやはり同じ。
なんでだと思ったのですが、
その時に一緒にいた彼女(カナダ人)から
「もっとシンプルに答えなきゃ。
YesかNoかで答えないと
わからないと思うよ」
と言われました。
そして、
「あなたの英語は彼に
とってレベルが高すぎるよ」
とも言われました。
僕は海外にいる時に、
自分の英語力に対して
『自分の英語力が高すぎるから
相手のことを考えてレベルを
落とさなきゃいけない』
と考えたことは一切ありませんでした。
自分の英語のレベルはまだまだで、
"海外で話すにはもっともっと
勉強しなきゃいけない!”
という考えが抜けきっていない
ことに気付いたのです。
レベルが高すぎると・・・
これ、冒頭の話に似ていますよね。
この現象は、どの業界でも起こりえます。
もちろん、FP業界でもです。
というか、FP業界では特に
起こりやすいと言えると思います。
これ、防ぐためには一回
意識するだけじゃ全然足りません。
こうやって、同じ事を何度も何度も
言われ、その度その度に
『自分は大丈夫か?
専門的になりすぎて、顧客を
置いてけぼりにしていないか?』
と自問自答をしないとズルズルと
深みにハマってしまいます。
同業の評判は無視しよう
また、武田双雲さんの言葉の中の
『それは、プロから認められようとか、
専門家から評価をもらいたいと
いうような気持ちを完全に捨て去る覚悟だった。』
という言葉は、本当に身にしみますよね。
業界の中にいると、
「同業者に”コイツはこんなレベルか”
と思われたくないから専門性の
高い記事を書かないといけない・・・」
という謎のプレッシャーを
感じる人がいますが、
これは全く的はずれです。
価値を受け取るのはお客さん。
お金を払ってくれるのもお客さん。
お客さん満足を考えることが大事で、
同業者からの賞賛を得ても意味はありません。
武田双雲さんの作品はそんなに
詳しく見たことはないのですが、
芸術がわからない僕から見ても
「なんかかっこいいな」
と思えるものです。
FPも、常に素人の目線を
忘れないことが大切ですよね。
あなたは、漬物を漬け過ぎていませんか?