FPと幸福論

「今月は休みは3回しかありませんでした。

でもその日も、メールや電話は来ますので返します。

だから、休みって感じはしませんけど。

でも大丈夫ですよ。

24時間の全館空調みたいな感じなんです。

中途半端に休んだほうが、かえって燃費が悪くなりますからね。

車だってストップアンドゴーを繰り返すより、50㎞で走り続けていた方が燃費がいいでしょう。」

あなたはこのセリフを聞いてどう思います?

完全な仕事人間ですよね。

これ実は2019年までの私。

コロナ前の働き方です。

夜の11時過ぎまでパソコン開いてメールも返して。

まあ、本当によくやっていたよなあと思います。

若いって本当にすごい。

でももう今は無理。

そんな気力はありません。

FPは時代変化に常に敏感であれ

ちょうど老後2,000万円問題が出たころ。

あれは2019年でしたね。

ビフォーコロナの時。

あの時はすべてがイケイケムードだったように思います。

FP相談も老後の資産運用ニーズが爆発的に増えました。

現役時代にガーっと働いて、老後を豊かに過ごすのが理想。

この価値観の傾きはすごかったですね。

もちろん今もそうなのですが、最近は転換期にあるように思います。

実際FPライズのメルマガで執筆者みんなが最近同じようなことを書いています。

それを一言で言うと、

『未来先送り型の人生よりも、今この瞬間を充実させる。』

どうも価値観の主軸はこちらに移りつつあるような予感がします。

FPって突き詰めるところ「幸福論」のコンサルティングですよね。

相談者のイメージする幸福論実現に向けてサポートすることができれば、

満足度が劇的に上がると思うんです。

今までは老後の資金を増やすことに重きを置けば、満足してもらえました。

しかしこれからは個々の「幸福論」。

ここかなと思ってます。

これからの幸福論のひとつを実践してみる

人にアドバイスするなら、まず自分が理想を形にしないとならない。

これは私のモットー。

それで私は従来の価値観に沿って老後を迎えた時、いわゆる積み立て投資で数千万円の資産を作ったその時。

65歳をイメージしてそのときに趣味としてやりそうなものを考えました。

思いついたのは「登山」「カメラ」「菜園」「旅行」「地域活動」でした。

今から実践するために、水、木、金のうち2~3回をアポイント入れないようにしました。

必ず連休を作るようにしています。

で、老後自分がやりそうなものを先に始めてみたというわけです。

やってみて思ったのは何事も先にやるのは良いことづくめということです。

登山については30代なら体力で大抵なんとかできます。

車中泊を噛まして、明け方から登山し昼には帰ってくるという家族にも負担になりにくい行動もとれます。

これが60代となれば、なかなか体力的に厳しいし、楽しみも半分どころか1/4くらいになってしまうでしょう。

30代のうちから経験を積んでおけば、60代にできる幅は広がるでしょう。

カメラだってシャッターチャンスは若いときほど多いものです。

人生を振り返った時に自分好みの記録が目に見れる形で美しく残れば晩年の心の充実も変わるでしょう。

地域活動も月に数回小学校の通学路の清掃を勝手にしています。

団体に入ってしまうと時間的な拘束が出ちゃうので、今はそこまでしません。

誰かとつながりたいというよりはただの自己満足です。

通学時間帯にすると子供が集まってきて、ゲームみたいに一緒にごみを探してくれたりします。

そしてごみを捨ててはいけないし、そうしないように皆で努力・注意をしようと自発的に考えてくれています。

目の前からごみが消え、ごみが少なくなるように子供たちが考えてくれれば満足感があります。

心の満足度にお金はかからない

お気づきでしょうか。

私の場合は、老後にしたいことを実際にやってみるとたいしてお金がかからないのです。

旅行だって贅沢な旅行がしたいわけではないので、そんなにお金がかかりません。

むしろなるべくお金をかけずに楽しめるプランを考えることが好き。

そうなると私の場合は、今のお金を老後に投資信託で回していってもそのお金は生きたお金にはなりません。

最期に数千万円を慈善団体に寄付することにもそんなに美学を感じません。

それよりも今、支援したい団体へ少しでも寄付をしたり、自分の行動で1㎜でも何かが動く地域活動のほうに興味があります。

これが実際に行動してみて腑に落ちると、今後のライフプランは変わってきます。

少なくても週に2~3回を休んでも全然仕事を両立させることは可能です。

よくよく考えたらサラリーマンだとこのご時世、年平均換算で週2、3の休日は当たり前なので、今までの私がおかしかっただけです。

私からのおすすめは、あなたが老後になったらしたいこと、やりそうなことを見つけて今すぐやってみる事。

その先に自分のイメージする幸福論があり、実践できたことによる自信が相談者への質の高いアドバイスに直結するということです。

今のお金を目標額から逆算することにより無理して投資信託にぶち込んで、疲弊してしまうような人生は本当に相談者が望んでいることなのか。

個人の数だけある幸福論。

大多数のベストアンサーはきっとそこにはないように思うのです。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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