FPの多くは支出を甘く見ている

先日久しぶりに日曜日に休みを取れたので、家族で仙台に行ってきました。

地方民あるあるのイケアを目的に出発し、そこに車を停め周囲に買い物に出かけるというコース。

仙台に行ってからはまずは牛タンを食べて、仙台駅方面に向かって買い物。

子どもたちの目的であったポケモンセンターに行って、お土産も買ってイケアに戻ってきて、また買い物と夕食みたいな感じ。

早朝に出発して、夜に帰ってくるという弾丸日程でしたが楽しかったです。

こんな感じでプチ旅行に行くと、まあ財布からお金が出るわ出るわ。

家具などの大物は一切買いませんでしたが、帰ってきてアプリでレシートを数えてみると...合計は23,207円。

内訳はほぼ飲食代です。

政府が旅行を促進することで飲食関係にお金が行き、地域経済が活性化する理由が自分でやってみると分かります。

ここに高速道路料金とガソリンの合計がだいたい10,000円。

合計は約33,000円。

さらに宿泊をすると倍にくらいになりますよね。

今日お話したいのはこんな感じの支出を、多くのFPは見逃しているということです。

貯蓄は過大、支出は過小申告

私がこれまでにFPとして活動を10年近くやってきた経験を一言で言うとこれ。

多くの相談者は、貯蓄を自分たちの実績よりも多く見積もっており、支出を少なく見積もっています。

つまり相談者の話している内容の通り100%ライフプランを作ると、精度の高い物が作れないことを意味します。

その原因は、みんな自分の使っているお金を正しく把握していないこと。

例えば旅行費用は年間10万円くらいと見積もるケースがなんとなく多いような感じがします。

実際地方から家族でディズニーランドなんていったもんなら、10万円はあっという間に消えてしまいます。

もちろんそれ以外にも今回私が行ったような買い物プチ旅行なんてものは、みんな支出に入れていない。

お小遣いの範囲でやりくりしていると頭の中では思っていても、実際はそんなことなく大きく支出超過してしまっています。

こういった支出は多くの家庭でほぼ必ず発生しています。

見えない支出をどう読み取るかがFPの腕

私は相談者に対して昨年度貯蓄額の実績を求めることがあります。

単純に通帳の記帳残高で2021年1月と2022年1月の差を見てもらいます。

「いくら貯金ができているか正確には分からない」と話す方は多いですが、この方法だと事実の実績値が出ます。

その額をまず参考情報として入手しておいて、その上で収入と支出を聞き取ります。

そしてシミュレーションしてみると、ほぼほとんどのケースで実績値よりも申告額の貯蓄額が勝ります。

ここから言えることは、まさに貯蓄を過大申告、支出は過少申告です。

もちろん車や結婚式などの大きな支出がたまたまあればそれは仕方ないのですがそうではない場合は、いわゆる「その他支出」を突き止める必要があります。

不思議なものでここは使っている方は本当に把握できていないことが多いんで、解明することでシミュレーションの精度も増し、相談者にも具体的な貯蓄計画と目標を示すことができます。

作り手によって結果が変わるライフプラン

FPの怖いところって、作る人によってライフプランが変わってしまうところ。

相談者から見たら違いが分からないから最初に相談した人の腕の当たりはずれで人生が左右されることになります。

なんかそれは気持ち悪いですよね。

そもそもクイックシミュレーションとか、生活費を3段階の中から多め、標準、少なめなんてざっくりしたものを選んで作るシミュレーションも存在します。

個人的にはそんなものでライフプランを作っても意味がないどころか、逆効果だと思います。

しかしながら、商品購入のクロージングアイテムとして適当なライフプランがツールで使われていることが現実です。

これは残念でなりません。

気軽にできるライフプランと真剣につくるライフプランは全くの別物なんだということを私たちFPはもっと伝えていく必要があります。

ちょっと話が反れましたが、真剣に作っているつもりのライフプランでもお客さんからの支出を甘く見積もってしまっては意味がありません。

自分自身が相談者と似たような環境で、似たような経験をすることで支出はよりリアルに見えてきます。

相談者との対話に時間をかけてしっかりとしたライフプランを作っていくことは、ただそれだけで他者との差別化にもなります。

FPの仕事の原点は本来はそこですよね。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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