「昆くん(私のこと)、ちょっとちょっと。
このぬいぐるみ、今日中に1個売ってきて。
わかったな。値段は3,800円。
値引きはダメだよ。よろしく頼むよ。」
今から10年前の出来事です。
卸売業の営業をしていた私は、
朝礼後部長に声をかけられました。
いたって普通のぬいぐるみを、
唐突に1個売ってこいと言うのです。
お値段も、まあまあします。
取引先は基本は法人。
無駄なものは絶対に買ってくれません。
上司の指示は絶対です。
その日の行動予定表とにらめっこすると
「ぬ、ぬいぐるみを買ってください...」
と、とてもじゃないけいど言えなそうな
訪問先のラインナップ。
(はぁ)...重苦しい一日が始まったのでした。
「え?そんなの超いやなんだけど...」
と思ってくれた方。
私と同感です。
普通そうですよね。
ちなみに売り上げ伝票を立てないといけないので
自腹で買うとかインチキはできません。
結果はどうだったかというと、
実は所属する営業員全員がこの話を
されていたようで、
だいたい半分の営業マンはぬいぐるみを
売遂げてきたのです。
※そりゃ査定に影響するから必死です。
そして、私はというと奇跡的に
その日の最後に訪問したクリニックの
院長婦人に買ってもらうことができました。
今でもこの時の感謝の気持ちは
忘れることはありません。。。
・・・
突然なんでこんな話をしたかというと、
これって信頼関係のテストだったんです。
あなたは今ぬいぐるみを何個売れる?
特に何の変哲もないぬいぐるみ
3,800円(税別)をあなたは何個
売れる自信がありますか?
当時の私は必死になって奇跡的に
1個買っていただくことができましたが
今となってはこの命題の難易度は
正直そう高くはありません。
と、思うようになってしまいました。
1個くらいなら正直余裕です。
10個だっていけると思います。
あなたはいかがでしょうか?
今だったら単純に、
「困っているから、頼むお願い!」
と言えば買ってくれる人は周りにきっといます。
反対には私がそういう言われても、
買ってあげるでしょう。
そうです。
関係性がある程度ある人だったら、
その人の頼みは断りませんよね。
当時の部長はそういうところを
どうもチェックしていたように
思うのです。
イメージしてみてください
ぬいぐるみだとイメージが
具現化しないかもしれないので、
これを仮に、
「くまモンのぬいぐるみ」
としましょう。
3,800円(税別)という
この高くも安くもない絶妙な
くまモンです。
さあ、イメージしてください。
あなたがお願いすれば何くまモンが
お届けできそうですか?
くまモンを笑顔で買ってくれそうな
人は何人イメージできましたか?
ここから家族や友達は除外しましょう。
さあ、どうですか?
あなたの周りには何人が笑顔になって
くまモンを持ってますか?
あなたからくまモンを売られたことを
喜んでネタにしてくれそうな人は
どれくらいいましたか?
私はパッとイメージしただけで、
10人の人がくまモンを持って
いました。
そうです。
その人たちがあなたのコアである
ビジネスパートナー。
もしくはロイヤルカスタマーの
はずなのです。
広げようくまモンの輪(笑)
きっとあなたのビジネスにおける
売上の大半はあなたのくまモンを
持ってくれている方々から
提供されているはずです。
そうではありませんでしたか?
私はちょっと嬉しくて泣きそうになりました。
だって10年前は1個のくまモンを
必死になって最後の最後の滑り込み
セーフでやっと売れたのに、
今ではそうではない。
買ってくれそうな人たちがたくさんいる。
やばい、なんて幸せなんだろうと思ったのです。
実際当時私からくまモンを(本当は別キャラ)を
買ってくれた院長婦人は、
その後ロイヤルカスタマーに変身を遂げ
私の成功体験のひとつになっています。
営業部長の意図してたのは、こういうこと
だったんですね。
最後にもう一度。
あなたのくまモンを買ってくれそうな
人たちをイメージしてください。
ほら、幸せな気持ちになってきませんか?
なんなら本当にくまモンを持って行って
このエピソードの話をしてみてください。
3,800円(税別)のぬいぐるみを
とりあえずよく分からないけど
買ってくれるその人との関係性を
是非これからも大事にされることを
おすすめします(笑)