執筆者:昆 知宏
「しっかり召し上がってくださいね。」
「今日は暑いけど、バテないようにお気を付けください。」
私が昼食を買いに行くスーパーマーケット。
事務所から歩いてすぐのところにあります。
ここの店員さんはとにかく話かけてきます。
決して常連だからということでもなく、見ていると全員に話かけているのです。
もちろん常連になれば、会話の幅も広がります。
レジが行列を作っている中、声掛けをしているのに会計が遅延することはないし、忙しいのに会計と会話を一緒に成立されることはすごいなと感心します。
ちなみにこのスーパーはセルフレジがありません。
一方で、もう1つ近くにあるスーパーはセルフレジが主流です。
当然ながらそこにコミュニケーションが生まれることはありません。
若い人には響かない戦略
私がこの体験をもって思ったことがあります。
それはコミュニケーションを密にとることが好きなタイプか、それとも結果が同じならコミュニケーションが密でなくても別にいいと考えるタイプか。
ずいぶん話が飛躍してしまいました。
私がちょうどいろいろ考えていた時に、この体験によってハッと思ったからです。
私はコミュニケーションをとるのが比較的好きな方でシニアの方もその傾向にある方が多いようです。しかし、セルフレジがあるスーパーを見ると対面型のレジが空いていても、セルフレジのほうが行列を作っています。
あなたもこういった場面をみたことありませんか?
対面型のスーパーはシニアのお客さんが圧倒的に多く、セルフレジ型の店舗はファミリー層を中心にまんべんなくお客さんがいる感じがします。
スーパーの方針がはっきり分かれる瞬間を目の当たりにしました。
クイック化の欲求
スーパーでセルフレジが人気な理由。
これはいったいどうしてなのか?
一番の理由は、時間だと思います。
クイックに会計をより済ませたいというのは間違いありません。
ここで思ったことは、日ごろサービスを展開する時も最近はなるべく早く成果が欲しいという人がとても目立ちます。
例えば、住宅購入をサポートするときには、ベストな住宅ローンだけを瞬時に教えてほしいという感じです。
ライフプランを作って分析して、理想な土地と建物を探して、住宅ローンはそれから考えましょうという話し方だと煙たがられるという印象です。
最近は相談者のほとんどがネットの住宅ローン比較サイトを使っています。
セルフレジと同じで非対人、クイックという欲求には合致しています。
そこで問題が解決する人は私たちのお客さんにはなりません。
長期間か短期間か
相談者が若い傾向にある人は、以下のことが言えます。
すぐに結論が欲しい。
長い説明はしんどい。
長期間サポートよりも、結果が欲しい。
(期間の長さはメリットではなく、最短で結果が欲しい。)
この前提があるうえで、ネットの超クイックサービスでは不安が残る。
こういった人が相談にくることが最近、顕著な傾向にあります。
FPとしてはじっくり戦略を練って、じっくり方針を固めベストな家計を作っていきたいところなのですがこういう話し方は最近劇的に響かないということを実感します。
そうとなれば、もっと結果にフォーカスして行っていく。
例えば、こってりしたサービス(長期間)とあっさりしたサービス(短期間)の2種類を提案するということは非常に有効でしょう。
結果的にあっさりしたサービスから入った人でも、関係性と価値が伝わればこってりしたサービスを望む方も多いと思われます。
今日の結論は、「入り口で離脱しないようなトレンドフォローが大切」という話でした。