価値あるライフプランの話

昆知宏

私たちは仕事でお客さんのライフプランを山のように作っていますよね。

FPを長くやっているとヒアリングをしているだけで収支のグラフが脳内に鮮明に浮かび上がってくるように私もなってきました。

ようやく少しベテランの域に入ったのかもね、フフン♪

なんて思っていますが、先日5年前に作ったあるライフプランとにらめっこをしていました。

誰のライフプランかというと、自分のものです。

あなたは自分自身のライフプランを作ったことはありますか?

独立している人は収入は安定しないこともあり、ライフプランなんて作ってもあまり意味がないよねと思ってしまうことも多いと思います。

私も当時そんなことを思いながら、シミュレーションを作った記憶があります。

そして5年経った今、改めて見ているとだいたいその通りになっていたのです!

ライフプランなんて作って意味があるの?

将来の事なんて誰にも分からないのだから、ライフプランなんて作ったって絵に描いた餅で意味ないでしょ。

これも一理ありますよね。

私も若い時はずっとそう思っていました。

しかし最近はそうは思いません。

若い時は無限の可能性があるので、そう思っていたのですが、年齢を重ねていくと考え方も変わってきます。

どういうことかというと、今ある情報が今の自分にとってはすべてであり、今後を予想するにも今の情報ほど信用できるものはないということです。

特にサラリーマンをしていれば年収の予測も大方予想できるものになっており、それはそのままの職場で仕事を続けても、転職してもそう大きくは変わってこない。

つまり今ある情報だけでライフプランを作っても、その精度は自分が思っている以上に高いものとなり、十分に信用できる情報となり得る。

特に住宅ローンなどの大きな借金をする場面では、自分自身の返済能力を把握するにあたり、大いに参考になる。

ライフプランってめちゃくちゃ今後の方針を指し示す材料になるよということを経験から自信を持って言えるようになったのは、ファイナンシャルプランナーをして5年経過したあたりかもしれません。

実際自分が過去に作ったライフプランもその通りになっているわけだし、ただヒアリングシートの内容を入力して機械的に算出されたデータをお客さんに説明するのか、実際に信ぴょう性があるというデータだということを実体験からお客さんに説明できるかでは、同じものを提示するにも受け手の印象は雲泥の差となりますよね。

ライフプランを省略するFPも結構多いことは知っていますが、「作ることにとても意義があるのです!」と断言できるFPは個人的には強いように思います。

計画通りの収支にFPが支援できること

絵にかいた餅をできるだけ正確なものとしてお届けするには?

お客さんには何をしてあげたら良いのでしょうか?

毎年1回の定期面談をするというもの有効ですが、お互いにエネルギーを使いすぎるような気もします。

そんなことをせずとも健全な収支を作るために、簡単に目的達成できる方法があります。

それは特別なことでも何でもなく計画的な貯蓄をできるだけ機能できる状態で、相談を終える事だと考えます。

5年前に作ったライフプランが5年後にその通りになっているためには、目標貯蓄額にしっかり到達することが大前提かと思います。

なんとなく貯金をすることの難易度が思ったより高いことはみんな知っていますよね。

なので強制貯蓄機能を相談時に作って、相談後に確実に機能する仕組みづくりをするのです。

NISAやiDeCoをしていない層というのはいまだに多くて、月々の収支をコントロールして余裕を作ってそれらの箱に強制貯金を作ることができれば家計相談はほぼ成功したと言えると思います。

FP相談のとりあえずの最適解というのは、本当はシンプルなものです。

私も当時始まっていたつみたてNISAや、個人用のDCにしっかり資金を割り振ることにより、結果的にそれが功を奏して目標達成をしていたようなもので、家計の無駄や改善ポイントを見つけ、それを強制貯金するシステムを作るというFPの根幹的な業務を思い返すことができました。

相談に価値をつけよう

しかしながら、ご存知のようにこの手のコンサルティング手法はお金をあまり生みません。

家計改善をして余裕資金をつみたてNISAやiDeCoに投資するというアイディアはどう考えても王道かつ、一般世帯では最適解かと思うのですが、FPがこれを提案してもあまりお金にはなりません。

ここに保険の見直しなどをセットで差し込まないと相談単価というのは著しく低い物になるでしょう。

FP業界における矛盾とも言えますよね。

これを解決するためにどうすれば良いかというと、価値を分かってもらうほかありません。

いわゆる100%顧客サイドの提案をすることによって、お客さんが得られる利益は、そうではない提案に比べるとどれくらい違うと思いますか?

きっとFPであるあなたには分かりますよね。

ほとんどのFPはここの説明を省略してしまっています。

そんな当たり前のことを教えても価値がないと思い込んでいるところがあります。

例えば、マネーセミナー経由で保険で資産運用を始めたAさんと、NISAではじめたBさんが同じ利回りで運用した場合の将来手元に残るお金のシミュレーションを作ってみてください。

金額が大きくなって投資年月が長くなれば、その差がかなり大きなものになるのはご存知ですよね。

つまりその差は、仮に保険屋さんに相談した場合と、FPであるあなたに相談する価値になるわけです。

ここに対していくらの価値をつけるかは相談者が決める事ではありますが、少なくても5,000円、10,000円というのはおかしいですよね。

ライフプランの作成と家計改善の提案の価値はあなたが思っている以上に価値があります。

それをどうやって伝えていけば良いのか、どう伝えていくべきか、5年前の自分のライフプランを見ると、その価値が絶対にあるし、もっと自信を持ってお客さんに伝えていくべきだと思ったのでした。

FPで食べていけないというのは、ほとんどのケースで提供できる価値を自分自身で安く見積もりすぎているだけなのです。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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