FP面談の軸となる心構え

大手ハウスメーカーの建築条件付きの土地を大きく予算超過してでも買おうとしている相談者。

しかもフルローンで目いっぱいの変動金利を予定。

作ったライフプランだと、金利が1%前後で推移すればギリギリ支払っていけなくもない結果。

しかし、大きく金利上昇したら家計破たんのトリガーとなる可能性を含む。

私はこの計画を止めてあげたい。

ストレートに言うとこの住宅購入が家計に見合っていないから。

しかしなんて声を掛ければよいのだろうか。

赤字になっているわけではないし、希望しているエリアで土地をすぐに代わりを探すことは非現実的。

大手ハウスメーカーが条件付きで売り出すような好立地に対抗馬を出すのは容易ではない。

正解がわからない。

そんな中、

「変動金利でオススメなところはありますか?」

話しはこちらの思考と逆方向の質問。

さすがに話の本質はそこではないですよと、説明はしたものの...嫌われてしまったかな。

もっと、もっと、伝え方にボキャブラリーが欲しい。

大丈夫だと言って欲しい顧客

あなたもこのような経験はありませんか?

相談者の考えていることが、ベストではない選択肢だとしてもそれを止められる術がない。

相談者の考えを否定することも避けたい。

何が正解か。

ここは嫌われてでもストレートに言うべきだったのか。

コンサルティングに繋がるかどうか以前に、自分の社会的使命を全うすべきか。

それともただ「大丈夫だと言って欲しい」と思っている方には、そこに寄り添えばいいだけなのか。

そんなことを考えながら面談をしていてなんか中途半端に終わってしまいました。

存在意義を考える

自分がこの社会にFPとして存在して、他のFPとの違いは何か?

他の人に代替えできない提案は何か?

本当は良くない結果が起こると思っているのに、相手を否定したくないから黙っていることが良いのか。

面談が終わってしばらく考えた後に、やはりハッキリ言えば良かったと思いました。

よくよく考えたら、相談者はセカンドオピニオンのようでした。

(最近、複数のFPに意見を聞く人が多くなった印象を受けます)

最初のFPの結果も悪いもなく良くもなくという感じだったみたいなので、私の作ったものと同じような結果だったように思います。

という意味では、ライフプランの正確性は顧客には伝わったのかもしれないです。

複数に意見を聞く人の心理

「初めから低料金でそこまで分かれば十分」と思っている顧客であればそれまでですが、その先の解決方法こそプロの領分。

少なくとも私はセカンドオピニオン(2番目)の立場だった以上、もう少し伝えることはあったよなと反省しました。

1回目の相談で納得や満足ができれば2回目(セカンドオピニオン)は普通聞かないですよね。

医療でもそうですが、1回目の説明が不満だから2回目があるわけです。

となると診断結果は似たようなものだったとしても、具体的な処方箋はしっかりと出すべきだった。

その内容が相手にどう思われようが、少なくとも同調路線で話をしたことがいい選択ではなかったと思います。

FP業は奥が深い。

・相手の本音を引き出す。

・こちらから提供できる最善策もきちんと伝えきる。

他の情報に惑わされずに面談の軸をこの2点にしっかり持ってくることで、面談の一つ一つを納得して消化できるようになると思います。

終わった後のもやもやほどスッキリしないものはありません。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

関連記事