市場は伸びているのに、なぜ苦しいのか。

執筆者:昆 知宏
   

最近、住宅業界のニュースを見ていると、

「リフォーム市場が拡大している」

という記事をよく目にします。

新築価格の高騰を背景に、今後はリフォーム市場が成長する。

たしかに、その流れ自体は私もあると思っています。

実際のデータを見てみると、前年対比で約1.3%の増加でした。

この数字を見て、「リフォーム市場はこれからがチャンス」と結論づける記事も多いのですが、私は少し違う見方をしています。

売上が伸びても市場が伸びたとは限らない

ここ数年、住宅業界では建材価格や人件費の高騰によって、工事価格そのものが大きく上昇しています。

個人的な感覚で見積もりを総合的に考察すると、年間4%前後の値上げです。

そう考えると、市場全体の売上が1.3%伸びたとしても、価格が4%上がっているのであれば、実質的には工事件数は減っている可能性があります。

つまり、

「市場が伸びた」

のではなく、

「単価が上がっただけ」

という見方もできるのです。

市場規模という数字だけを見ると好調に見えても、その中身を分解すると、まったく違う景色が見えてきます。

データは切り取り方で印象が変わる

これは住宅業界だけの話ではありません。

「市場拡大」
「過去最高売上」
「〇%成長」

こうした数字は一見すると説得力があります。

しかし、その背景にある物価上昇や値上げまで考慮しなければ、本当の姿は見えてきません。

データそのものが嘘をつくことはありません。

ですが、データの見せ方によって、人が受ける印象はいくらでも変わります。

特に記事作成をAIに依存すれば、間違ったリードになる文章が現れるのも理解できます。

だからこそ、数字を鵜呑みにするのではなく、

「なぜこの数字になったのか。」

「本当に市場が成長しているのか。」

という視点を持つことが重要なのだと思います。

FPが見るべきは「数字」ではなく「実態」

私はこれからの日本企業は、名目上の増収増益が続く企業が増えていくと考えています。

物価が上がれば販売価格も上がります。

その結果、売上も利益も数字だけを見れば伸びやすくなり、長期的には株価も上昇する企業が増えるでしょう。

しかし、その一方で個人の暮らしはどうでしょうか。

地方で住宅相談をしていると、「豊かになった」という実感を持つ方は決して多くありません。

住宅価格は上がる。

住宅ローン金利も上がる。

生活コストも上がる。

数字の上では景気が良く見えても、家計には余裕がない。

そんなギャップを感じる場面が、この今年で一気に増えました。

だからこそ、私はFPへの相談ニーズは今後さらに高まると考えています。

企業の決算書や経済指標だけでは見えない、一人ひとりの生活の実態を見ること。

数字を分析するだけではなく、その数字が家計や人生にどのような影響を与えるのかを読み解くこと。

これからの時代、その役割はますます重要になっていくのではないでしょうか。

昆知宏
新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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